熟年の文化徒然雑記帳

徒然なるままに、クラシックや歌舞伎・文楽鑑賞、海外生活と旅、読書、生活随想、経済、経営、政治等々万の随想を書こうと思う。

ツワブキが咲き始めた・・・公共の場に花を一杯に

2005年10月24日 | 花鳥風月・日本の文化風物・日本の旅紀行
   園芸店で二鉢買って庭植えしていたツワブキが、株分けを続けている間に、大分庭に広がった。
   斑入りの黄色がかった葉のコントラストが美しく、下草だけれど、こぼれ日にあたるとそこだけ光り輝く。
   葉がふきに似ていて、つやつや光っているので、ツヤブキ、それがナマってツワブキになったという。

   京都の社寺の庭では、今、ムラサキシキブと一緒にツワブキが美しく咲いていると思うが、豊かに起伏する苔むした庭園の水際に良く似合い、なかなか、風情がある。
   私にとって、印象に残っているのは、山口県の津和野でのツワブキである。
   群生と言わないまでも、街の一寸したところ、あっちこっちに黄色い花を咲かせていた。
   森鴎外のお墓にも咲いていた。
   綺麗な小京都津和野は、風格のある町で、街そのものが文化財で、散策していて楽しく、それに、街が小さいので気楽に山の上のほうまで歩いて行ける。

   旅をしていて楽しみの一つは、可憐な路傍の草花や野山の花木等風景を彩る花々の美しさに感動することである。
   ヨーロッパを車で走っていて感激したのは、一面のヒマワリ畑の目も眩むような激しい衝撃である。
   スペインでも、フランスでも、イタリアでも、ところによるが農村地帯では、一面にゴールドの世界が広がる。
   それに、大分少なくなったが菜の花畑も、正にゴールドの世界で、グラインドボーンに行く途中、あまりにも素晴しかったので、そこで長い間小休止して遅れてしまった。

   黄色で思い出すのは、花ではないが欧米での紅葉である。
   日本のモミジ等の様に錦ではなく、赤く紅葉する木々も少ないので色は単純で黄色一色だが、森や林が真っ黄色に染まるのである。
   黄金色に落ち葉の敷き詰められた小道を、真っ黄色の木々に染まったトンネルを歩いたが、感動的な瞬間で、本当に「時よ止まってくれ」と言いたくなるほどであった。
   アメリカのニューイングランドを車で走った時、オランダの田舎の林を歩いた時、イギリスの湖水地方を車で走った時、森や林は輝いていた。

   余談だが、日本には常緑樹が多い為か冬でも緑が残っているが、ヨーロッパの街路樹や田舎道の木は落葉樹が多いので、秋から冬にかけての風景の変わり方が実に色彩的で、晩秋には、田舎の風景が赤紫がかった美しいワインカラーに染まる。
   任期を終えて夏のブラジルからの帰り、初冬のレマン湖を車で走った時、やや霞のかかった空気に浮かび上がるなんとも優雅な秋色の田舎風景を見て感激しながら走ったのを覚えている。
   何故かと言うと、この時、運転の初歩だったので、ハンドブレーキを十分外さなかったために煙を出して、回復の為に分らないフランス語で四苦八苦したからである。
   四季の変化の乏しいブラジルだが、名誉のために言うと、田舎道で出会う真っ黄色に覆われたイッペーの大木や、紫色の優雅な花に包まれたジャカランダの大木の風格とその美しさは、また、格別なのである。

   もう一つ思い出すのは、ヨーロッパでは、路傍や公園の芝生では、植えっぱなしの春の花の球根が自然に咲き乱れることである。
   日本の様に梅雨がないので、地中の球根が腐らずに翌年もそのまま咲くためであり、真っ先に、クロッカスを筆頭にこれ等の花が春の到来を教えてくれる。

   それに、ヨーロッパの道路際には、色とりどりのポピーの花が咲き乱れていて、これが実に綺麗である。
   ギリシャの古代神殿などの遺跡の跡に咲き乱れるポピーも印象的だが、この道端のポピーも旅情を慰めてくれる。

   この頃、道路公団も粋になって、高速道路に沿って美しい花を植え始めて、ドライブが随分楽しくなった。最近では、欧米より、その努力は上かもしれない。
   それに、日本の地方公共団体も、道路沿いに並木道をつくり、コスモスなどの草花は勿論、桜や皐月等の花木を植えて街並みを美しくしようとしている。
   太陽に焼け付くサウジアラビアの街路樹は、夾竹桃一色だが、あんなに水の貴重なところでも必死になって街路樹を守っている。
   公共の場に、花を一杯にする運動を起こしたいと思う。

コメント
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