増田俊男が「空前の内需拡大バブル」で、一寸ありそうにもないような2007年大予測を行っているが、それなりに筋が通っていて、そんな考え方が出来るのかと思って読むと実に面白い。
アメリカにとって最大の生命線は、ドルの防衛だと言うのである。
ユーロの創設はドル体制の最大の脅威で、その後世界中のドル拒絶反応が強くなり、徐々に侵食されてきている。
今、アメリカの最も恐れているのは、軍事的攻撃よりもロシアと中国のドルへの攻撃である。
また、OPECのドル建て石油決済は必須であり、フセインが石油取引をユーロに切り替えると宣言したことでイラクを攻撃して崩壊させたのであって、今回のイランへの対応もこの一点にかかっている。
サウジアラビアに圧力をかけ、イラクを崩壊させて、OPECの石油決済のユーロへの移行を止めたが、EUとロシアのユーロへの傾斜は止め得ないので、最後の砦は中国で、中国への戦争を仕掛けて中国を属国化してドル化させるのがアメリカの戦略だと言うのである。
まずイランであるが、あらゆる機会を利用してイランを挑発しており、イスラエルに、レバノンのイランのフロントであるヒズボラを叩かせているのはイランへの軍事的挑発で、これに乗せられてイランが動くとイスラエルと共同で、ICBMに通常弾頭をつけて大規模な軍事攻撃を仕掛ける。
イランが加盟を求めている上海同盟、即ち、中国が、ロシア、旧ソ連領西アジア諸国、インド、パキスタン等を巻き込んで形成している同盟に楔を打つことになり、中ロへの強力な圧力にもなる。
増田氏のもう一つ面白い指摘は、イラクの民主化についてである。
フセインを倒してもイラクの内戦は収束せず益々悪化しており、この為にブッシュも中間選挙に負けてしまったのだが、アメリカの目的は中東全体の民主化だと言う。
内戦が収束しないのは、イラクの民主化を最も恐れているいるサウジアラビアの王族等からのテロ資金援助であることはアメリカは百も承知しており、イラクの内戦の続く限りイラクの石油を米国の利権のために温存できる、その間にサウジアラビアの石油を掘り尽くすのだと言う。
形だけにしろ、全く民主主義など縁のなかったイラクに自由な民主主義の風土が少しづつ醸成していることは事実で、これがアルジャジーラで放映されてると、中東諸国の民主化は進展して行く、これがアメリカの狙いだと言う増田氏の指摘は正しいと思う。
ベルリンの壁の崩壊前後にヨーロッパに居て壁を行き来して、東欧の民主化と自由主義市場経済への移行の凄まじさを実感しているし、貧しくて進歩のなかった頃の中国を実際に訪れて今また今日の中国を見ているので、アメリカが楔を打ち込んだ中東が民主化するのも、時間の問題だと思っている。
禁断のりんごを食べてしまった国は、経済社会を民主化・自由化して、グローバル社会に参入する以外に生きて行く道はないのである。
アメリカは、民主化した中東をドル圏に囲い込んでおきたい。そして、その膨大な石油を将来の大消費国中国にドルで買わせたいと言うのである。
さて、その中国であるが、
現在、不動産バブルが進行中で、地方政府の経済優先政策と市場の歪みが更にバブルを煽っており、いくら中央政府が規制しても台湾等からの野放しの外資が入り込み過剰流動性のために、空室率が上昇しているにも拘わらず不動産価格が上昇し続けており崩壊寸前。
アメリカは、元首待遇で小泉訪米を厚遇したが、胡錦濤主席には冷たく当たり歓迎式典で法輪功迫害野次を許して共産党政府の非人道行為を暴き、中国政府の弾圧する「法輪功」を支援するなど民主運動を煽って政権転覆を図ろうとしていると言う。
また、中国は広大な国土に多くの民族を抱えており、改革改革路線の進行で地方との生活格差が拡大し官僚等の腐敗で、地方各地に暴動が頻発しており、これが大規模化し、国民に大打撃を与えるような経済的事件が起これば、何時政権が崩壊しても不思議ではないとも言う。
その為には、中国のバブルを膨らませれば膨らませるほど良い。既に、バブルのリスクを回避慰する為に、ある程度のアメリカ企業を退却させたが、その穴埋めを日本の金融機関に進出させて融資を加速させてバブルを更に煽ろうとしている。
豚は太るほど美味しい。中国を攻撃するには核兵器は要らない。バブル崩壊の大打撃が最大の攻撃となる。
中国は既に言論の抑圧等、突発事件対応法などで経済破綻などの混乱や暴動を回避しようとしているが、暴動の大規模化によって、政府の機能が麻痺しない為に、台湾への武力行使の準備をしている。
一たび、台湾が風雲急を告げればアメリカは中国に応戦して勝利を勝ち取り、親米的な民主政府を樹立して一挙にドル圏に巻き込む、これがアメリカの戦略だと言うのである。
増田氏の理論展開には中々ついて行けないが、アメリカがドルを死守しようとしている、これがアメリカの最重要な課題であると言う点は、十分注視しておく必要があると思う。
恐らく、アメリカが世界の唯一の覇権国家であり得るのも、軍事大国、経済大国であると言う以前に、ドルが唯一のスーパーパワーを持った機軸通貨であることによる。
ドルの威力の凄さは、「シニュレッジ」即ち「通貨発行特権の伴う恩恵」を考えれば良く、基軸通貨国として発行しているドルの6割以上が国外で流通していると言われており、これが、対外赤字を埋め合わせ、或いは、この額に見合った財を海外から吸い上げている。僅かなコストで輪転機を回してドルを印刷するだけで、これだけの権力と富を得ることが出来る巨大な打出の小槌が基軸通貨としてのドルなのである。
ヨーロッパとロシア等の急速なユーロへの傾斜が、アメリカのドル覇権に挑戦。アメリカにとっては、中東と中国をドル圏に死守することが至上命令であり最重要な国家戦略である、と言うことであろうか。
アメリカにとって最大の生命線は、ドルの防衛だと言うのである。
ユーロの創設はドル体制の最大の脅威で、その後世界中のドル拒絶反応が強くなり、徐々に侵食されてきている。
今、アメリカの最も恐れているのは、軍事的攻撃よりもロシアと中国のドルへの攻撃である。
また、OPECのドル建て石油決済は必須であり、フセインが石油取引をユーロに切り替えると宣言したことでイラクを攻撃して崩壊させたのであって、今回のイランへの対応もこの一点にかかっている。
サウジアラビアに圧力をかけ、イラクを崩壊させて、OPECの石油決済のユーロへの移行を止めたが、EUとロシアのユーロへの傾斜は止め得ないので、最後の砦は中国で、中国への戦争を仕掛けて中国を属国化してドル化させるのがアメリカの戦略だと言うのである。
まずイランであるが、あらゆる機会を利用してイランを挑発しており、イスラエルに、レバノンのイランのフロントであるヒズボラを叩かせているのはイランへの軍事的挑発で、これに乗せられてイランが動くとイスラエルと共同で、ICBMに通常弾頭をつけて大規模な軍事攻撃を仕掛ける。
イランが加盟を求めている上海同盟、即ち、中国が、ロシア、旧ソ連領西アジア諸国、インド、パキスタン等を巻き込んで形成している同盟に楔を打つことになり、中ロへの強力な圧力にもなる。
増田氏のもう一つ面白い指摘は、イラクの民主化についてである。
フセインを倒してもイラクの内戦は収束せず益々悪化しており、この為にブッシュも中間選挙に負けてしまったのだが、アメリカの目的は中東全体の民主化だと言う。
内戦が収束しないのは、イラクの民主化を最も恐れているいるサウジアラビアの王族等からのテロ資金援助であることはアメリカは百も承知しており、イラクの内戦の続く限りイラクの石油を米国の利権のために温存できる、その間にサウジアラビアの石油を掘り尽くすのだと言う。
形だけにしろ、全く民主主義など縁のなかったイラクに自由な民主主義の風土が少しづつ醸成していることは事実で、これがアルジャジーラで放映されてると、中東諸国の民主化は進展して行く、これがアメリカの狙いだと言う増田氏の指摘は正しいと思う。
ベルリンの壁の崩壊前後にヨーロッパに居て壁を行き来して、東欧の民主化と自由主義市場経済への移行の凄まじさを実感しているし、貧しくて進歩のなかった頃の中国を実際に訪れて今また今日の中国を見ているので、アメリカが楔を打ち込んだ中東が民主化するのも、時間の問題だと思っている。
禁断のりんごを食べてしまった国は、経済社会を民主化・自由化して、グローバル社会に参入する以外に生きて行く道はないのである。
アメリカは、民主化した中東をドル圏に囲い込んでおきたい。そして、その膨大な石油を将来の大消費国中国にドルで買わせたいと言うのである。
さて、その中国であるが、
現在、不動産バブルが進行中で、地方政府の経済優先政策と市場の歪みが更にバブルを煽っており、いくら中央政府が規制しても台湾等からの野放しの外資が入り込み過剰流動性のために、空室率が上昇しているにも拘わらず不動産価格が上昇し続けており崩壊寸前。
アメリカは、元首待遇で小泉訪米を厚遇したが、胡錦濤主席には冷たく当たり歓迎式典で法輪功迫害野次を許して共産党政府の非人道行為を暴き、中国政府の弾圧する「法輪功」を支援するなど民主運動を煽って政権転覆を図ろうとしていると言う。
また、中国は広大な国土に多くの民族を抱えており、改革改革路線の進行で地方との生活格差が拡大し官僚等の腐敗で、地方各地に暴動が頻発しており、これが大規模化し、国民に大打撃を与えるような経済的事件が起これば、何時政権が崩壊しても不思議ではないとも言う。
その為には、中国のバブルを膨らませれば膨らませるほど良い。既に、バブルのリスクを回避慰する為に、ある程度のアメリカ企業を退却させたが、その穴埋めを日本の金融機関に進出させて融資を加速させてバブルを更に煽ろうとしている。
豚は太るほど美味しい。中国を攻撃するには核兵器は要らない。バブル崩壊の大打撃が最大の攻撃となる。
中国は既に言論の抑圧等、突発事件対応法などで経済破綻などの混乱や暴動を回避しようとしているが、暴動の大規模化によって、政府の機能が麻痺しない為に、台湾への武力行使の準備をしている。
一たび、台湾が風雲急を告げればアメリカは中国に応戦して勝利を勝ち取り、親米的な民主政府を樹立して一挙にドル圏に巻き込む、これがアメリカの戦略だと言うのである。
増田氏の理論展開には中々ついて行けないが、アメリカがドルを死守しようとしている、これがアメリカの最重要な課題であると言う点は、十分注視しておく必要があると思う。
恐らく、アメリカが世界の唯一の覇権国家であり得るのも、軍事大国、経済大国であると言う以前に、ドルが唯一のスーパーパワーを持った機軸通貨であることによる。
ドルの威力の凄さは、「シニュレッジ」即ち「通貨発行特権の伴う恩恵」を考えれば良く、基軸通貨国として発行しているドルの6割以上が国外で流通していると言われており、これが、対外赤字を埋め合わせ、或いは、この額に見合った財を海外から吸い上げている。僅かなコストで輪転機を回してドルを印刷するだけで、これだけの権力と富を得ることが出来る巨大な打出の小槌が基軸通貨としてのドルなのである。
ヨーロッパとロシア等の急速なユーロへの傾斜が、アメリカのドル覇権に挑戦。アメリカにとっては、中東と中国をドル圏に死守することが至上命令であり最重要な国家戦略である、と言うことであろうか。