再び増田俊男の「空前の内需拡大バブル」についてだが、最後の章で2007年の日本の経済ブームを予測している。
しかし、前座の世界の政治経済動向の動きに関するビビッドで迫力ある語り口と違って、日本経済の展望は歯切れの悪い展開で、何故、内需拡大ブームとなって景気が良くなるのか明確には理解し辛い。
2007年はブームになると言う冒頭説明は、アメリカ・イスラエルとイランとの戦争の勃発から始まる。
イランの前線部隊であるヒズボラとイスラエルが戦争状態で、従って、イスラエルと同盟関係のアメリカもイランと戦争状態に入っており、全面戦争が近づいていると言わんばかりである。
戦争が始まれば経済は必ず活性化する。何故なら、必ず軍事産業が伸びると言うのである。
ここで恐ろしいのは、軍需産業にとって戦争は最大のビジネス・チャンスであり、当事者達の幸不幸とは関係なく、無慈悲にも一人歩きしてしまうことである。
第二次世界大戦の時に、ドイツの軍需産業が「死の商人」と恐れられたし、アイゼンハワー大統領が最後の離任演説で、「軍産複合体」と言う新語で、軍と軍需産業との癒着の危険性について激しく訴えた。
ソ連の崩壊によって冷戦が収束したにも拘わらず、アメリカは仮想敵国を想定して膨大な軍事支出を継続し、全世界に軍隊を派遣して覇権を維持している、これが何よりの左証である。
恐ろしいことに、軍需産業にとっては、自国が戦場でない限り、苦しみに泣く戦場の人々や関係者の苦悩については一切関係なく、利益追求のための市場原理のみが働いて増殖して行く。
確かに、日本の戦後の復興は朝鮮戦争の特需がドライブをかけ、ヴェトナム戦争が、最長最大の経済ブーム・いざなぎ景気を牽引した。
もし、イラン戦争が勃発すれば、高度な軍需物資需要が発生して日本のお家芸である重厚長大企業が潤い、更に、戦後の復興需要の拡大で、経済の拡大間違いなしと言う。
次に、根拠不明ながら、インドやヴェトナムなどの新興国等アジアの成長市場で次々とインフラ需要が発生してゼネコンが潤うと言う。
また、国内では、郵政民営化によって300兆円の新た資金が株式市場等金融市場に流れ込むと株価が上昇して、キャピタルゲインの余力が不動産市場にも及んで不動産価格も上がって行く。
一方、日本企業のファンダメンタルが良く、株式市場が好調となると外人投資家が日本株を買う為に円需要が高まり、また、日本は金利上昇、アメリカは金利下落となるのでこの為にも円高基調となる。
株高、土地高、円高の三本高で、日本経済は好況となり、外需頼みから内需拡大経済へと向かって行く。
日本の輸出産業は殆ど海外から原材料を購入して組み立てて輸出しているのでむしろ円高の方が有利であり、また、円高で輸出が困難になったものが日本市場に向かうので内需の拡大となる。
また、小泉内閣の時に抑えていた公共投資が、メインテナンス等のため更新投資が必要となり活発化せざるを得なり、内需拡大バブルが再開する。
さて、以上の増田氏の論点についてであるが、まず、イラク戦争であれだけ国力を消耗して国民の厭戦気分が高揚しており、かつ、世界から総スカンを食っているアメリカが、もっと戦線を拡大して、もっと膨大な軍備を投入してイラン戦争を起こすなどとは考えられない。
もし、戦争状態に入ったとしてもイスラエルによる代理戦争か、核関連施設の爆撃程度であろう。
さて、多くの経済指標がネガティブなのに、現在のアメリカの株価の異常高だが、これは、ファンドなどが売り抜ける為の株価アップの兆候で、アメリカ経済の不況局面への前触れではなかろうか。
増田氏は、日本の株価上昇によってアメリカの株価をリードすると言うが、逆に、アメリカのリセッション突入・株価下落に引きつられて、日本の株価下落の公算も高いのではないかと言う気がする。
日本の物造り企業の好調見通しだが、戦争を想定しなければ、総て企業のイノベーション如何にかかっている。
郵政公社の金の動きだが、即株式市場に投入されて株価アップに貢献するとは考えられないし、むしろ、経済を大きく動かせるとするならば眠っている豊かな老人達の預貯金を如何に掘り起こして市場経済に流動させるかであろう。
土地・不動産については、価格の評価が、収益還元法に変ってから、当該土地ないし不動産が如何に価値を生むかにかかってきており、その活用状況や需給によって大きく異なり、これまでのように満遍なく一本調子で全国一律に上がっていくことは有り得ない。
モノ、サービスなどの財が過剰なほど日本の市場に流通ないし存在しており、欲しいものがなくなったと言っている日本人が何を求めるのか、容易に内需拡大などブームになるであろうか。
公共投資にしても、物理的限界が過ぎて、巨大な橋やダムが崩壊すると騒がれ続けているアメリカでさえも、放置したままで温存、一度、国民こぞって袋叩きにした公共投資が、おいそれと簡単に蘇るとも思えない。
しかし、前座の世界の政治経済動向の動きに関するビビッドで迫力ある語り口と違って、日本経済の展望は歯切れの悪い展開で、何故、内需拡大ブームとなって景気が良くなるのか明確には理解し辛い。
2007年はブームになると言う冒頭説明は、アメリカ・イスラエルとイランとの戦争の勃発から始まる。
イランの前線部隊であるヒズボラとイスラエルが戦争状態で、従って、イスラエルと同盟関係のアメリカもイランと戦争状態に入っており、全面戦争が近づいていると言わんばかりである。
戦争が始まれば経済は必ず活性化する。何故なら、必ず軍事産業が伸びると言うのである。
ここで恐ろしいのは、軍需産業にとって戦争は最大のビジネス・チャンスであり、当事者達の幸不幸とは関係なく、無慈悲にも一人歩きしてしまうことである。
第二次世界大戦の時に、ドイツの軍需産業が「死の商人」と恐れられたし、アイゼンハワー大統領が最後の離任演説で、「軍産複合体」と言う新語で、軍と軍需産業との癒着の危険性について激しく訴えた。
ソ連の崩壊によって冷戦が収束したにも拘わらず、アメリカは仮想敵国を想定して膨大な軍事支出を継続し、全世界に軍隊を派遣して覇権を維持している、これが何よりの左証である。
恐ろしいことに、軍需産業にとっては、自国が戦場でない限り、苦しみに泣く戦場の人々や関係者の苦悩については一切関係なく、利益追求のための市場原理のみが働いて増殖して行く。
確かに、日本の戦後の復興は朝鮮戦争の特需がドライブをかけ、ヴェトナム戦争が、最長最大の経済ブーム・いざなぎ景気を牽引した。
もし、イラン戦争が勃発すれば、高度な軍需物資需要が発生して日本のお家芸である重厚長大企業が潤い、更に、戦後の復興需要の拡大で、経済の拡大間違いなしと言う。
次に、根拠不明ながら、インドやヴェトナムなどの新興国等アジアの成長市場で次々とインフラ需要が発生してゼネコンが潤うと言う。
また、国内では、郵政民営化によって300兆円の新た資金が株式市場等金融市場に流れ込むと株価が上昇して、キャピタルゲインの余力が不動産市場にも及んで不動産価格も上がって行く。
一方、日本企業のファンダメンタルが良く、株式市場が好調となると外人投資家が日本株を買う為に円需要が高まり、また、日本は金利上昇、アメリカは金利下落となるのでこの為にも円高基調となる。
株高、土地高、円高の三本高で、日本経済は好況となり、外需頼みから内需拡大経済へと向かって行く。
日本の輸出産業は殆ど海外から原材料を購入して組み立てて輸出しているのでむしろ円高の方が有利であり、また、円高で輸出が困難になったものが日本市場に向かうので内需の拡大となる。
また、小泉内閣の時に抑えていた公共投資が、メインテナンス等のため更新投資が必要となり活発化せざるを得なり、内需拡大バブルが再開する。
さて、以上の増田氏の論点についてであるが、まず、イラク戦争であれだけ国力を消耗して国民の厭戦気分が高揚しており、かつ、世界から総スカンを食っているアメリカが、もっと戦線を拡大して、もっと膨大な軍備を投入してイラン戦争を起こすなどとは考えられない。
もし、戦争状態に入ったとしてもイスラエルによる代理戦争か、核関連施設の爆撃程度であろう。
さて、多くの経済指標がネガティブなのに、現在のアメリカの株価の異常高だが、これは、ファンドなどが売り抜ける為の株価アップの兆候で、アメリカ経済の不況局面への前触れではなかろうか。
増田氏は、日本の株価上昇によってアメリカの株価をリードすると言うが、逆に、アメリカのリセッション突入・株価下落に引きつられて、日本の株価下落の公算も高いのではないかと言う気がする。
日本の物造り企業の好調見通しだが、戦争を想定しなければ、総て企業のイノベーション如何にかかっている。
郵政公社の金の動きだが、即株式市場に投入されて株価アップに貢献するとは考えられないし、むしろ、経済を大きく動かせるとするならば眠っている豊かな老人達の預貯金を如何に掘り起こして市場経済に流動させるかであろう。
土地・不動産については、価格の評価が、収益還元法に変ってから、当該土地ないし不動産が如何に価値を生むかにかかってきており、その活用状況や需給によって大きく異なり、これまでのように満遍なく一本調子で全国一律に上がっていくことは有り得ない。
モノ、サービスなどの財が過剰なほど日本の市場に流通ないし存在しており、欲しいものがなくなったと言っている日本人が何を求めるのか、容易に内需拡大などブームになるであろうか。
公共投資にしても、物理的限界が過ぎて、巨大な橋やダムが崩壊すると騒がれ続けているアメリカでさえも、放置したままで温存、一度、国民こぞって袋叩きにした公共投資が、おいそれと簡単に蘇るとも思えない。