熟年の文化徒然雑記帳

徒然なるままに、クラシックや歌舞伎・文楽鑑賞、海外生活と旅、読書、生活随想、経済、経営、政治等々万の随想を書こうと思う。

金融・証券トップが語る~貯蓄から投資へ

2008年05月24日 | 経営・ビジネス
   日経ヴェリタス創刊記念セミナーが、「金融・証券トップが語る」セミナーを開いた。
   大和証券G鈴木茂晴社長、三井住友銀行奥正之頭取、三菱東京UFJ銀行永易克典頭取が登壇し「貯蓄から投資へ」と言うテーマで、語るというのであるから、興味津々の聴衆で、日経ホールは一杯になった。
   しかし、鈴木社長は、一般的な経済社会情勢から、最近の証券会社の業務について当たり障りのないスピーチを行ったが、続く、奥頭取は、最初から最後まで、投資信託の窓販立ち上げから個人向けコンサルタント業務など住友三井の投資関連業務の説明に終始し、永易頭取も、銀行の貯蓄から投資への業務シフトの現状と問題点から説明を行ったが、やはり、自行の投資業務の説明に終始し、それも、パワーポイントを頼りに、原稿を読み続けるだけだから、殆ど顔を上げない。

   日経編集局長もコメントしていたが、頭取がこれだけ詳細に亘って自行の投資業務を説明するのなどは想像できないので、それなりに勉強は出来たが、もう少し、値打ちのあるマトモナ話が聞けるのではないかと思っていたので、拍子抜け、これが聴衆の偽らざる感想であろう。
   日経トップが主催者挨拶をし、本社の編集局長が司会進行を担当する日経ヴェリタスの創刊記念セミナーと言うのだから、正に日経の隠然たる威力と言うべきか、金融・銀行のトップの緊張振りも良く分かる。
   
   鈴木社長のスピーチで多少頭に残っているのは、サブプライム問題は、三月のアメリカ政府の一連のベア・スターン救済策と実質的公的資金の投入時点で山を越したということと、これからは、新興国の動向を注視することが重要で、中国のインドが身近にあり、技術を持った日本経済の出番が拡大するというコメント。
   最近では、サブプライム問題が下火になって、インフレの方が問題となっているが、実際、サブプライムは終わったのであろうか。私には、どんどん増殖を続けて行き場のなくなった膨大なマネーが、サブプライムのように本来貸し出せないような貸し出しを行って、その融資を錬金術にした金融工学の手法は益々発展して行くので、また、新しいシステムを生み出して行き、同じ様な金融危機を惹起するのは必然だと思っている。
   インドはとも角、技術については、あらゆる手段を駆使して新技術・最先端技術を収奪しようと虎視眈々の中国を相手に、日本企業が、みのり多き技術戦略で勝利は愚か、利益など長期的に得られる筈はない。
   ユニクロのように、それなりの商品を安く製造させる生産基地としての中国進出は良いであろうが、ハイテクや新技術を持って中国に進出する企業は、先が暗いと思っている。

   奥頭取は、顧客本位のパートナー、コーディネーターとしてのコンサルティング業務の展開を強調していた。
   顧客本位のFace to Faceのコンサルティング、グループ・系列を超えた顧客ニーズ重視の商品選択、ヒアリングからアフターフォローまでのPDCAによるプロセス重視の営業活動で、個人客の投資等資産運用をサポートするのだと言う。
   トータルコンサルティングを通じて「満足」と「安心」を提供し続ける「生涯のパートナー」として、長期的な信頼関係を構築して行くと言うのだが、奥頭取も強調していたように、元々、投資信託の窓販を行う為に、シティからプロを招聘し、山一の倒産により人材を確保して拡大してきた業務であり、これまでの住友を見ておれば、正直な所、額面通りに、なるほどと頷く気にはなれない。

   永易頭取は、貯蓄から投資への動向を、常識を疑うと言う視点から日本の最近の傾向を語り始めた。
   実質的な貯蓄から投資への移行はそれほど進んでいないこと。
   サブプライム以降の株価の下落にも拘らず投資信託の解約率が殆ど普遍で、外国為替レートの変動と外貨預金が極めて連動していることから、日本の金融リテラシー(金融に関する基本的な知識を持ち、それに基づいて適切な意思決定が出来ること)が向上していること。
   日本は、アメリカと比べて、金融資産は減少し続けているが実物資産は増加しており、金融資産だけではなく実物資産を含めた総資産の点検監理・有効活用が重要になって来ていること。
   マネーのグローバル化が進んでいるが、依然資金の「輸出」が「輸入」を上回っていること。

   これらを考慮して、金融資産だけではなく総資産へ、そして、資産管理に加えて資産運用を、さらに、日本市場の活性化を図って資金の輸入増を拡大すべきだと言う。
   MUFJのリテール事業は、個人のお客様の将来の幸せQuality for Youが目標で、サービスNo.1、信頼度No.1、国際性No.1を目指すのだと宣言する。
   最後に、先日のシステム障害が気になったのか、「システム統合を完了させ世界水準の商品・サービスを提供します。」と締め括った。
   私は、これまで、結構、欧米で外銀と接触したり、ロンドンで、シティでの外銀の動向を見て来たが、日本の銀行マンの知識情報等を含めての業務能力の劣勢は覆い隠すべくもなく、その後、日本銀行業の冬の時代で更に悪化している筈であるから、もっともっと、真剣に勉強すべきで、そうでないと、世界水準の商品・サービスなど提供出来る筈がないと思っている。
コメント
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