熟年の文化徒然雑記帳

徒然なるままに、クラシックや歌舞伎・文楽鑑賞、海外生活と旅、読書、生活随想、経済、経営、政治等々万の随想を書こうと思う。

ソニーの創造する3Dの世界

2010年06月19日 | イノベーションと経営
   ソニーの株主総会で、同時開催された製品展示会で、メインを占めたのは、3D World Createde by Sonyと銘打ったステージ背後の大スクリーンと、周りを取り囲んで設営された3Dテレビ受像機に映し出された3D動画の世界のデモンストレーションである。
   私たちが子供の頃に、赤と緑のセロファンのめがねを掛けて見た懐かしい立体写真の動画版と言うところだが、急に、巨大なスクリーンから眼前に飛び込んでくる自動車や水しぶきの迫力は、流石に動画ならではである。
   入り口で手渡される特殊なメガネを掛けなければならないので一寸煩いが、それ程、異質感が強いわけでもないので、慣れれば気にならなくなるであろうと思う。

   ソニーがスポンサーで放映している「世界遺産」の新しいテーマ音楽を演奏しているバンドネオン奏者小松亮太のライヴ演奏が、ステージで行われ、その映像を撮影しながら、バックスクリーンに映し出されて、観客はメガネを掛けて3D動画を愉しむと言う試みが行われた。
   この口絵写真の右上角の方形の箱が受像カメラで、このカメラをエンジニアがアームを動かして操作して画像を撮影している。
   メガネを外して見れば、普通の映像を見ているのと殆ど変わらないが、3D画像のために観客に近い部分の画像は、二重写しになっていて多少気にはなる。
   このように、殆ど位置を移動しないライブ映像は、立体的な画像としての鑑賞になるのだろうが、例えば、眼前に突進してくるようなアクション映画などでの迫力は各別かも知れない。
   ソニーが、FIFAのスポンサーなので、今夜のワールドカップの日本オランダ戦を3Dで放映したようだが、ボールが飛び込んでくる様子などは、臨場感が全く違ってくるのであろう。

   3D画像を見ていて気になるのは、あくまで、映像枠に囲われた長方形の部分に映し出された被写体のみが立体画像になるのであって、その外側の部分まで映し出されるわけではないので、多少、中途半端な画像になることである。
   私などは、どちらかと言えば、鑑賞のためにテレビを見るのは、オペラや歌舞伎と言ったパーフォーマンスアートであったり、ドキュメンタリー、ニュース番組、それに、文化芸術学術と言った教養番組、政治経済経営関連が大半なので、特に、3Dでなければならないと言うわけではなく、それ程有難いとは思わない。
   しかし、映画などの鑑賞の場合、アクション物は勿論、例えば、ジュラシックパークなどのように恐竜が鎌首を待ち上げて迫ってくるなどと言うのは、面白いかも知れない。
   
   問題は、3Dはこれからと言うことで、ソフトの蓄積がないことが致命的で、実際のTV番組においても放映はこれからで、その切り替えなどは、デジタルへの普及よりは、時間が掛かるのではないかという感じがしている。
   日本の場合、初期には、デジタルよりハイビジョンに力を入れすぎて批判されたことがあったが、実際には、ブロードバンドの普及など最先端を行ったし、現在では、ハイビジョンが高く評価され世界の主流になりつつある。
   従って、3Dの今後の動向も分からないが、メガネの利用から開放されるようなイノベーションが起これば、普及・一般化は早くなるかも知れない。

   ところで、小松亮太と仲間たちのタンゴ演奏だが、イベント会場での、ほんのさわりの演奏会だったが、軽快なリズム感が心地よく、私としては、非常に愉しませてもらった。
   私の場合、タンゴに親しんだのは、アルフレッド・ハウゼのコンサートに出かけて、碧空などのコンチネンタル・タンゴからであったが、当時も、クラシック一辺倒だったが、タンゴも実に美しかった。
   後年、実際に、ブエノスアイレスに行って、タンゴが生まれたボカのうらぶれた港町を訪れてカミニートと言うカラフルな小径を歩き、古い船底の廃墟のような佇まいのビエホ・アルマセンと言うナイトクラブで、むせ返るような熱気の中で、激しくも切ないバンドネオンの音に乗せて繰り広げられる踊りと歌に、激しい旅愁を感じたのを、ほんの昨日のことのように覚えている。
   
コメント
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