バイデン勝利に対する共和党の反応として、アメリカの分断を決定づけるような興味深い報道・・・ロイターが、”米共和上院トップ、トランプ氏に「選挙不正調べる権利」”と言うタイトルで、次のように報じた。
米共和上院トップのマコネル院内総務は9日、トランプ大統領には米大統領選の「不正」を調べる権利が完全にあるとの見方を示した。上院での演説で、民主党のバイデン候補の勝利を認めないと表明。「トランプ大統領には大統領選の不正を調べ、法的な手続きを検討する権利が100%ある」と述べた。
トランプ大統領の法廷闘争によって、複数の州で再集計が行われることになれば、政権移行のための重要な手続きが数週間遅れる可能性がある。・・・米議会の共和党関係者は「法廷闘争が長引けば政権移行が遅れ、外交政策に大きな打撃となる。われわれが選挙に気をとられる間、世界はボーっと見ているわけではない」と語る。
NYTは、マコネルは、上下両院での共和党の勝利について言及し、選挙結果を認めないトランプを支持、McConnell Praises G.O.P. Wins, Yet Backs Trump’s Refusal to Accept Election
殆どの共和党上院議員はバイデン勝利を容認せず反駁 Contradiction Comes as Few G.O.P. Senators Recognize Biden’s Victory
ワシントン・ポストは、同様記事を、
”More Republicans back legal push to contest Biden’s victory”
Senate Majority Leader Mitch McConnell and other Republicans on Monday backed President Trump’s efforts to contest his loss to President-elect Joe Biden, despite the lack of evidence of significant fraud and sharp rebukes from election officials who defended the integrity of the vote.
McConnell (R-Ky.) said from the floor of the Senate that the president is “100 percent within his right” to pursue recounts and litigation. McConnell did not repeat Trump’s baseless assertions that fraud had cost him the election, but he said he had met with Attorney General William P. Barr earlier in the day and supports the president’s right to investigate all claims of wrongdoing.
私が注視したいのは、前述のWPの「マコネルと他の民主党議員は、投票の正当性を擁護している選挙役人たちから深刻な不正行為や厳しい譴責などの証拠が示されていないにも拘わらず、バイデン次期大統領への敗北に抗議しているトランプをバックアップしている」という指摘のように、マコネルの声明や共和党の選挙結果への対応が、良識の限度を超えており、ここまで、共和党と民主党の対立が熾烈を極めており、アメリカの分断が極に達しているのかという事実である。
アメリカの民主主義が、民主党と共和党の水と油の分断状態によって如何に危機に直面しているかを、これまで、スティグリッツやライシュやクルーグマンなどのリベラル学者の見解に触れながら論じてきたが、今回のような文句なく機能していた選挙制度を根本から否定する共和党の強硬姿勢を目の当たりにすると、脅威を禁じ得ない。
少し前に読んでレヴューした新著「危機のと人類」の「国家――明らかになった危機 アメリカを待ち受けるもの」で、ジャレド・ダイアモンドが、弱者を排除するなどアメリカの選挙制度が、二極化を激化させると糾弾しているのだが、その中で、今回の選挙を彷彿とさせる指摘をしていて興味深い。
「・・・アメリカ政府、あるいは州政府を手中に収めた政党が有権者登録をどんどん操作し、裁判所判事に同調者を送り込み、こうした裁判所を使って選挙結果に介入し、「法的処置」を発動し、警察や国家警備隊、陸軍予備軍や陸軍そのものを使って政治的反対勢力の抑圧をおこなうという未来が予見される。」
トランプが、9日、黒人差別撤廃を求めるデモ隊の鎮圧に正規軍を投入しようとしたトランプの意向に反対したエスパー国防相を解任したと報道されたが、このトレンドの一環であろうか。
ダイアモンドは、二極化の熾烈さは、学問分野にも及んでいて、ダイアモンドも、書評には「シャラップ!」と酷評され、対立学者から繰り返し訴えられたり、訴訟の脅しを受けたり、酷い中傷を受けたり、講演の時には、怒り狂った批評家連中から守るためにボディガードを雇うのだ。と言う。
日本の学術会議6人任命拒否は、総理大臣の行為だから、民主主義にとって、問題は、もっと深刻だが、フランスの「表現の自由」擁護の凄さは、フランス革命の洗礼が如何に貴重だったかを物語っていて、まさに、民主主義の年輪を感じる。
話が脱線してしまったが、バイデン政権の未来に期待している。
(追記)CNNが、「米司法長官、「不正選挙」の捜査促す書簡 担当高官が抗議の辞任}と次のように報じた。
バー米司法長官は9日、全米の連邦検察に向け、大統領選をめぐる不正疑惑の捜査に着手するよう促す内容の書簡を出した。これに抗議して、司法省で選挙犯罪を担当する部門の責任者が辞任した。
ただし、トランプ陣営が根拠を示さないまま主張している大規模な不正について、司法省が何らかの証拠を見つけたことを示唆する文言はなかった。
トランプ氏の最側近として知られるバー氏は最近、大統領選の不正疑惑を追及することに強い意欲を示していた。連邦当局は従来、選挙で不正疑惑が指摘されても、各州での認証前は介入を控える方針を取ってきた。司法省内部ではバー氏に対し、この方針を変えるべきではないと忠告する声が強かったという。
事情を知る関係者によると、同省高官らはバー氏の書簡に驚いた様子だった。選挙犯罪部門を率いるリチャード・ピルガー氏もその一人だ。ビルガー氏は同僚らにあてた辞任表明のメールで、承認前の不介入という長年の方針をバー氏が覆したと指摘した。
ダイアモンドの指摘した悪夢が、現実味を帯びてきた感じで、香港のケースも憂うべきだが、三権分立の精神が後退すると、民主主義は死んでしまう。
しかし、ロイターが、10日、「米大統領選、米国民の約8割がバイデン氏が当選と認識=世論調査」と報じており、アメリカの良識が、勝利すると信じている。
米共和上院トップのマコネル院内総務は9日、トランプ大統領には米大統領選の「不正」を調べる権利が完全にあるとの見方を示した。上院での演説で、民主党のバイデン候補の勝利を認めないと表明。「トランプ大統領には大統領選の不正を調べ、法的な手続きを検討する権利が100%ある」と述べた。
トランプ大統領の法廷闘争によって、複数の州で再集計が行われることになれば、政権移行のための重要な手続きが数週間遅れる可能性がある。・・・米議会の共和党関係者は「法廷闘争が長引けば政権移行が遅れ、外交政策に大きな打撃となる。われわれが選挙に気をとられる間、世界はボーっと見ているわけではない」と語る。
NYTは、マコネルは、上下両院での共和党の勝利について言及し、選挙結果を認めないトランプを支持、McConnell Praises G.O.P. Wins, Yet Backs Trump’s Refusal to Accept Election
殆どの共和党上院議員はバイデン勝利を容認せず反駁 Contradiction Comes as Few G.O.P. Senators Recognize Biden’s Victory
ワシントン・ポストは、同様記事を、
”More Republicans back legal push to contest Biden’s victory”
Senate Majority Leader Mitch McConnell and other Republicans on Monday backed President Trump’s efforts to contest his loss to President-elect Joe Biden, despite the lack of evidence of significant fraud and sharp rebukes from election officials who defended the integrity of the vote.
McConnell (R-Ky.) said from the floor of the Senate that the president is “100 percent within his right” to pursue recounts and litigation. McConnell did not repeat Trump’s baseless assertions that fraud had cost him the election, but he said he had met with Attorney General William P. Barr earlier in the day and supports the president’s right to investigate all claims of wrongdoing.
私が注視したいのは、前述のWPの「マコネルと他の民主党議員は、投票の正当性を擁護している選挙役人たちから深刻な不正行為や厳しい譴責などの証拠が示されていないにも拘わらず、バイデン次期大統領への敗北に抗議しているトランプをバックアップしている」という指摘のように、マコネルの声明や共和党の選挙結果への対応が、良識の限度を超えており、ここまで、共和党と民主党の対立が熾烈を極めており、アメリカの分断が極に達しているのかという事実である。
アメリカの民主主義が、民主党と共和党の水と油の分断状態によって如何に危機に直面しているかを、これまで、スティグリッツやライシュやクルーグマンなどのリベラル学者の見解に触れながら論じてきたが、今回のような文句なく機能していた選挙制度を根本から否定する共和党の強硬姿勢を目の当たりにすると、脅威を禁じ得ない。
少し前に読んでレヴューした新著「危機のと人類」の「国家――明らかになった危機 アメリカを待ち受けるもの」で、ジャレド・ダイアモンドが、弱者を排除するなどアメリカの選挙制度が、二極化を激化させると糾弾しているのだが、その中で、今回の選挙を彷彿とさせる指摘をしていて興味深い。
「・・・アメリカ政府、あるいは州政府を手中に収めた政党が有権者登録をどんどん操作し、裁判所判事に同調者を送り込み、こうした裁判所を使って選挙結果に介入し、「法的処置」を発動し、警察や国家警備隊、陸軍予備軍や陸軍そのものを使って政治的反対勢力の抑圧をおこなうという未来が予見される。」
トランプが、9日、黒人差別撤廃を求めるデモ隊の鎮圧に正規軍を投入しようとしたトランプの意向に反対したエスパー国防相を解任したと報道されたが、このトレンドの一環であろうか。
ダイアモンドは、二極化の熾烈さは、学問分野にも及んでいて、ダイアモンドも、書評には「シャラップ!」と酷評され、対立学者から繰り返し訴えられたり、訴訟の脅しを受けたり、酷い中傷を受けたり、講演の時には、怒り狂った批評家連中から守るためにボディガードを雇うのだ。と言う。
日本の学術会議6人任命拒否は、総理大臣の行為だから、民主主義にとって、問題は、もっと深刻だが、フランスの「表現の自由」擁護の凄さは、フランス革命の洗礼が如何に貴重だったかを物語っていて、まさに、民主主義の年輪を感じる。
話が脱線してしまったが、バイデン政権の未来に期待している。
(追記)CNNが、「米司法長官、「不正選挙」の捜査促す書簡 担当高官が抗議の辞任}と次のように報じた。
バー米司法長官は9日、全米の連邦検察に向け、大統領選をめぐる不正疑惑の捜査に着手するよう促す内容の書簡を出した。これに抗議して、司法省で選挙犯罪を担当する部門の責任者が辞任した。
ただし、トランプ陣営が根拠を示さないまま主張している大規模な不正について、司法省が何らかの証拠を見つけたことを示唆する文言はなかった。
トランプ氏の最側近として知られるバー氏は最近、大統領選の不正疑惑を追及することに強い意欲を示していた。連邦当局は従来、選挙で不正疑惑が指摘されても、各州での認証前は介入を控える方針を取ってきた。司法省内部ではバー氏に対し、この方針を変えるべきではないと忠告する声が強かったという。
事情を知る関係者によると、同省高官らはバー氏の書簡に驚いた様子だった。選挙犯罪部門を率いるリチャード・ピルガー氏もその一人だ。ビルガー氏は同僚らにあてた辞任表明のメールで、承認前の不介入という長年の方針をバー氏が覆したと指摘した。
ダイアモンドの指摘した悪夢が、現実味を帯びてきた感じで、香港のケースも憂うべきだが、三権分立の精神が後退すると、民主主義は死んでしまう。
しかし、ロイターが、10日、「米大統領選、米国民の約8割がバイデン氏が当選と認識=世論調査」と報じており、アメリカの良識が、勝利すると信じている。