全国新聞ネットの47NEWSが、
”ロシア経済、その絶望的な未来予測 同国の著名経済学者「次の冬までに死に至る」”と報じた。
編集長が昨年のノーベル平和賞を受賞したロシアの独立系新聞「ノーバヤ・ガゼータ」は、プーチン政権を批判してきた同国の著名な経済学者ウラジスラフ・イノゼムツェフ氏のインタビュー記事を掲載した。(共同通信=太田清)。 イノゼムツェフ氏は独立系シンクタンク、ポスト工業化社会研究センター所長。国内の他、米国や英国、フランスなどで多数の経済関係や社会評論の著作を出版し、ロシアの後進性を指摘、プーチン大統領の強権体制を批判し、ロシアのエネルギー産業からの脱却を主張してきた。3月14日付のノーバヤ・ガゼータに掲載されたインタビュー記事で、制裁や、ロシアの国際的孤立化による企業の収益悪化、インフレにより、次の冬までにロシア経済は「死に至る」と予測した。と言う。
「ロシアの後進性を指摘、プーチン大統領の強権体制を批判し、ロシアのエネルギー産業からの脱却を主張してきた。」という見解は、私がこれまで主張してきた考え方とも、今回のウクライナ戦争という無謀極まりない戦争によって、ロシア経済が崩壊に向かうと言う見解も同じであり、ニュースソースもしっかりしていることもあって、非常に興味を持った。のである。
私は、1993年までロンドンにいて、ベルリンの壁の崩壊から、ソ連の崩壊による冷戦の終結などについては、ヨーロッパ生活を通して、実感しており、帰国時にザンクトペテルブルク経由で帰ろうとしたのだが、ロシアの治安が異常に悪くて断念したこともあって、当時のロシアの異常な政治社会情勢はよく知っている。
1991年に新世ロシアが誕生したので、ビジネスチャンス到来千載一遇のチャンスとばかりに、米欧の企業やビジネスマン達が大挙してモスクワに押しかけていて、ロンドンに居ても大変な熱気を感じたのを覚えている。
資本主義経済やビジネス手法に全く経験と知識のないロシア人との頓珍漢なビジネス談義が興味深かったが、1990年代のロシア経済は、惨憺たる状態で国民は経済不況と貧困に喘いでいて、ソ連時代の面影さえなかった。
ところが、初期に提携した米欧の石油大手との石油や天然ガス開発が、ようやく、成功して日の目を見始めたのが21世紀に入る頃で、世界的な石油価格の高騰による石油ガスの輸出収入の増加を背景に、ロシア経済は一気に活況を呈して復興して、塗炭の苦しみに喘いでいたロシア人の生活が急速に良くなっていった。
これに呼応したように、2000年に、プーチンがトップに躍り出たので、ロシアが良くなったのは、須くプーチンのお陰であるとロシア人達は驚喜した。
しかし、プーチンの国家運営なりリーダーシップが良かったと言うよりは、プーチンは、刈り取り時期にきていた石油ブームの恩恵に預かったと言うべきであって、それに乗っただけかも知れない。濡れ手に粟の天然資源の輸出に胡座をかいて、有効な産業育成政策を怠ってきたので、いまだに、輸出の過半を原油や天然ガスなどの鉱物資源に頼っており、典型的なモノカルチャー経済から実質的に脱皮し得ていない。ロシアの鉱工業は、中心は石油・天然ガスなどの資源産業であり、製造業では防衛産業および航空機産業が目立つ程度で、ロシア製の兵器・特に戦闘機などは国際的な競争力があるものの、自動車産業でも外資の傘下にあり、めぼしい産業は育っていない。石油やガスの好調な輸出の煽りを食ってルーブル高で輸出競争力が落ちた上に、投資に積極的ではなかったので設備は老朽化して工業力はドンドン下落していったという。
プーチン自身は経済音痴なのは当然としても、経済学や産業政策に明るいテクノクラートの起用を怠った所為もあろうが、石油や天然ガスの輸出に依存しすぎて、経済構造や産業の高度化近代化をミスった失政の功罪は大きく、国力を過信して突入したウクライナ戦争のために死期(?)を早めたと言うことであろうか。一国で自立不可能な経済弱小国では、徹底的な世界規模の経済制裁を受ければ、ひとたまりもないはずなのである。
イノゼムツェフ氏は、更に、次のように説く。
米欧の石油禁輸については、中国への代替があるので、それ程落ち込みはないであろうが、深刻なのはロシア中央銀行が米国などに持つ外貨準備の凍結、銀行など金融機関に対する制裁、制裁を科した国の領空でのロシア航空機飛行禁止措置だと指摘した。
特に金融制裁について、プーチン大統領が債務者の救済措置を約束し、2300トンもの金準備を持つ中央銀行が債務支払い猶予や金融機関への低金利融資などの対策に乗り出す可能性はあるものの、近年活発となっていた国内の消費者金融や、12兆ルーブル(約12兆円)まで膨れあがった国内の不動産担保融資へ与える影響は大きいとした。
さらに、ハイテク機器の禁輸や、制裁措置には含まれないものの、外国企業の撤退やロシア企業との取引停止が与える打撃は大きく、供給網は途絶え、借入金利も高騰する中、海外への販路は絶たれ、国内消費もしぼむんだ国内の企業は追い詰められ大規模な破綻に追い込まれていくと予測。
具体的にはインフレ率は年30%に近づき、為替相場は1ドル=200ルーブルとさらにルーブル安が進む。失業者は現在の2倍、貧困層は1・5倍になると絶望的な未来予測を唱えた。
しかし、それよりももっとロシアが長期的に打撃となるのは、ロシアがカントリーリスクの最も高い国になってしまったことで、國際ビジネス環境を毀損して信用を失墜してグローバルビジネスの孤児となり、ロシア経済に大きな齟齬を来すと言うことである。誰もロシアを信用しなくなってしまった。
プーチンが経済のケも知らないと言うのはこのことで、ロシア政府が撤退する企業の資産を接収すると口にしたことで、ロシアに投資したいとかロシアに進出したいという企業を遮断することになってしまった。
この一時、取りざたされた撤退企業の「国有化」については、「国を100年前、1917年のロシア革命時に後戻りさせる」(新興財閥インターロス・グループのウラジーミル・ポターニン総裁)などの産業界の強い反対もあり、棚上げされたようだが、撤退企業の私権を制限する動きが、さらなる企業の不信を招き、将来的な海外投資を遠ざける結果に終わると懸念する声も根強い。と言うことである。
戦争の推移がどうなるかにも依るのだが、このまま、泥沼状態に突入して戦争が継続する限り、次の冬を待つまでもなく、ロシア経済が、崩壊に向かって、1998年頃のような暗黒時代を迎えるのは必然のような気がする。そして、例え、何らかの形でロシアが戦争を止めたとしても、ロシアのグローバル地位はがた落ちとなってしまって、経済が壊滅的な打撃を受けることは否めない。
経済制裁を受けても、自立に活力を投入するのでロシアはより強くなるとプーチンが強がりを言っていたが、それは、革新的かつ真面な経済システムを維持している国に言えることであって、愛国心など何のその、今や危機を察知したネズミのようにロシアを脱出して、既に20万人が頭脳流出してしまっていると言うロシアにとっては、ただの戯言にしか過ぎない。
口絵写真は、この記事から借用した、閉店前のユニクロの、そして、下記は、イケアの店頭に集まる客の列である。
ウクライナ戦争が、ロシア国民の生活を締め付け始めている。
”ロシア経済、その絶望的な未来予測 同国の著名経済学者「次の冬までに死に至る」”と報じた。
編集長が昨年のノーベル平和賞を受賞したロシアの独立系新聞「ノーバヤ・ガゼータ」は、プーチン政権を批判してきた同国の著名な経済学者ウラジスラフ・イノゼムツェフ氏のインタビュー記事を掲載した。(共同通信=太田清)。 イノゼムツェフ氏は独立系シンクタンク、ポスト工業化社会研究センター所長。国内の他、米国や英国、フランスなどで多数の経済関係や社会評論の著作を出版し、ロシアの後進性を指摘、プーチン大統領の強権体制を批判し、ロシアのエネルギー産業からの脱却を主張してきた。3月14日付のノーバヤ・ガゼータに掲載されたインタビュー記事で、制裁や、ロシアの国際的孤立化による企業の収益悪化、インフレにより、次の冬までにロシア経済は「死に至る」と予測した。と言う。
「ロシアの後進性を指摘、プーチン大統領の強権体制を批判し、ロシアのエネルギー産業からの脱却を主張してきた。」という見解は、私がこれまで主張してきた考え方とも、今回のウクライナ戦争という無謀極まりない戦争によって、ロシア経済が崩壊に向かうと言う見解も同じであり、ニュースソースもしっかりしていることもあって、非常に興味を持った。のである。
私は、1993年までロンドンにいて、ベルリンの壁の崩壊から、ソ連の崩壊による冷戦の終結などについては、ヨーロッパ生活を通して、実感しており、帰国時にザンクトペテルブルク経由で帰ろうとしたのだが、ロシアの治安が異常に悪くて断念したこともあって、当時のロシアの異常な政治社会情勢はよく知っている。
1991年に新世ロシアが誕生したので、ビジネスチャンス到来千載一遇のチャンスとばかりに、米欧の企業やビジネスマン達が大挙してモスクワに押しかけていて、ロンドンに居ても大変な熱気を感じたのを覚えている。
資本主義経済やビジネス手法に全く経験と知識のないロシア人との頓珍漢なビジネス談義が興味深かったが、1990年代のロシア経済は、惨憺たる状態で国民は経済不況と貧困に喘いでいて、ソ連時代の面影さえなかった。
ところが、初期に提携した米欧の石油大手との石油や天然ガス開発が、ようやく、成功して日の目を見始めたのが21世紀に入る頃で、世界的な石油価格の高騰による石油ガスの輸出収入の増加を背景に、ロシア経済は一気に活況を呈して復興して、塗炭の苦しみに喘いでいたロシア人の生活が急速に良くなっていった。
これに呼応したように、2000年に、プーチンがトップに躍り出たので、ロシアが良くなったのは、須くプーチンのお陰であるとロシア人達は驚喜した。
しかし、プーチンの国家運営なりリーダーシップが良かったと言うよりは、プーチンは、刈り取り時期にきていた石油ブームの恩恵に預かったと言うべきであって、それに乗っただけかも知れない。濡れ手に粟の天然資源の輸出に胡座をかいて、有効な産業育成政策を怠ってきたので、いまだに、輸出の過半を原油や天然ガスなどの鉱物資源に頼っており、典型的なモノカルチャー経済から実質的に脱皮し得ていない。ロシアの鉱工業は、中心は石油・天然ガスなどの資源産業であり、製造業では防衛産業および航空機産業が目立つ程度で、ロシア製の兵器・特に戦闘機などは国際的な競争力があるものの、自動車産業でも外資の傘下にあり、めぼしい産業は育っていない。石油やガスの好調な輸出の煽りを食ってルーブル高で輸出競争力が落ちた上に、投資に積極的ではなかったので設備は老朽化して工業力はドンドン下落していったという。
プーチン自身は経済音痴なのは当然としても、経済学や産業政策に明るいテクノクラートの起用を怠った所為もあろうが、石油や天然ガスの輸出に依存しすぎて、経済構造や産業の高度化近代化をミスった失政の功罪は大きく、国力を過信して突入したウクライナ戦争のために死期(?)を早めたと言うことであろうか。一国で自立不可能な経済弱小国では、徹底的な世界規模の経済制裁を受ければ、ひとたまりもないはずなのである。
イノゼムツェフ氏は、更に、次のように説く。
米欧の石油禁輸については、中国への代替があるので、それ程落ち込みはないであろうが、深刻なのはロシア中央銀行が米国などに持つ外貨準備の凍結、銀行など金融機関に対する制裁、制裁を科した国の領空でのロシア航空機飛行禁止措置だと指摘した。
特に金融制裁について、プーチン大統領が債務者の救済措置を約束し、2300トンもの金準備を持つ中央銀行が債務支払い猶予や金融機関への低金利融資などの対策に乗り出す可能性はあるものの、近年活発となっていた国内の消費者金融や、12兆ルーブル(約12兆円)まで膨れあがった国内の不動産担保融資へ与える影響は大きいとした。
さらに、ハイテク機器の禁輸や、制裁措置には含まれないものの、外国企業の撤退やロシア企業との取引停止が与える打撃は大きく、供給網は途絶え、借入金利も高騰する中、海外への販路は絶たれ、国内消費もしぼむんだ国内の企業は追い詰められ大規模な破綻に追い込まれていくと予測。
具体的にはインフレ率は年30%に近づき、為替相場は1ドル=200ルーブルとさらにルーブル安が進む。失業者は現在の2倍、貧困層は1・5倍になると絶望的な未来予測を唱えた。
しかし、それよりももっとロシアが長期的に打撃となるのは、ロシアがカントリーリスクの最も高い国になってしまったことで、國際ビジネス環境を毀損して信用を失墜してグローバルビジネスの孤児となり、ロシア経済に大きな齟齬を来すと言うことである。誰もロシアを信用しなくなってしまった。
プーチンが経済のケも知らないと言うのはこのことで、ロシア政府が撤退する企業の資産を接収すると口にしたことで、ロシアに投資したいとかロシアに進出したいという企業を遮断することになってしまった。
この一時、取りざたされた撤退企業の「国有化」については、「国を100年前、1917年のロシア革命時に後戻りさせる」(新興財閥インターロス・グループのウラジーミル・ポターニン総裁)などの産業界の強い反対もあり、棚上げされたようだが、撤退企業の私権を制限する動きが、さらなる企業の不信を招き、将来的な海外投資を遠ざける結果に終わると懸念する声も根強い。と言うことである。
戦争の推移がどうなるかにも依るのだが、このまま、泥沼状態に突入して戦争が継続する限り、次の冬を待つまでもなく、ロシア経済が、崩壊に向かって、1998年頃のような暗黒時代を迎えるのは必然のような気がする。そして、例え、何らかの形でロシアが戦争を止めたとしても、ロシアのグローバル地位はがた落ちとなってしまって、経済が壊滅的な打撃を受けることは否めない。
経済制裁を受けても、自立に活力を投入するのでロシアはより強くなるとプーチンが強がりを言っていたが、それは、革新的かつ真面な経済システムを維持している国に言えることであって、愛国心など何のその、今や危機を察知したネズミのようにロシアを脱出して、既に20万人が頭脳流出してしまっていると言うロシアにとっては、ただの戯言にしか過ぎない。
口絵写真は、この記事から借用した、閉店前のユニクロの、そして、下記は、イケアの店頭に集まる客の列である。
ウクライナ戦争が、ロシア国民の生活を締め付け始めている。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/61/2b/d9d80fb471ecac23d1ea237c118d3de5.jpg)