熟年の文化徒然雑記帳

徒然なるままに、クラシックや歌舞伎・文楽鑑賞、海外生活と旅、読書、生活随想、経済、経営、政治等々万の随想を書こうと思う。

世界への旅立ち・・・イギリス、わが故郷?

2005年09月04日 | 海外生活と旅
   私が今までに永住権を取った国が2カ国ある。ブラジルとイギリスである。
   ブラジルは、もう、30年以上も前に取得して、帰国してからもしばらくの間、2年毎に訪伯して永住権を維持していたが、続かなくなって消滅してしまった。
   イギリスの方は、取得したのは10数年前で最近のことなので、これも、1~2年に一回は訪英して維持している。
   外国で永住権を取得することは、大変難しいことであるが、幸い仕事の関係で取得できた。

   これまでに2年間以上滞在した外国は、4カ国、アメリカ、ブラジル、オランダ、そして、イギリスである。
   それなりに、私の人生にとっては貴重な経験を与えてくれ、思いでは数限りない。
   どの国も夫々私にとっては強烈な印象を残してくれて貴重であるが、一番、住んでいて AT HOME 即ち、気楽に暮らせるのは、イギリスである。
   何故そうなのか、色々な要因があるが、やはり、古い歴史と伝統を持った島国の所為なのか、ものの考え方なり、生活への姿勢が良く似ていて、一番異国を感じさせない国であるからだと思っている。

   モノの考え方から見れば、アメリカとブラジルは両極端にあるように思う。
   例えば、アメリカは典型的な法治国家で、何事も法律や契約で処理しようとする傾向が強い。
   色々な国から、全く生活背景や人種、民族の違った人々が、移民してきて出来上がった新しい国なので、国家社会の秩序を維持する為には、共通の価値観に基づいた法律で処理することが最善だと考えたのであろう。
   私の祖先のユダヤではこうだ、とか、いや、我々イングリッシュはこう考えるなどと言っては異民族の坩堝であるアメリカでは話にならないので、法律に基づいて契約を結んで取引をすることにしたのである。

   ところが、同じ異民族の坩堝のような国・ブラジルでは、法律は朝令暮改
で、無税だったのが急に法律が変わってパーになる等は日常茶飯事で、契約など、スッタモンダと言って無視されることが多い。
   法律や契約よりも、アミーゴとしての人間関係が総てに優先する社会なのである。
   極論すれば、アミーゴ社会で、自分達だけの集団の中だけにしか信義則、秩序はないのである。
   華僑の世界では、10億円の貸し借りでも契約書がないといわれているが、アミーゴとしての人間の信頼が総てを征する、そんな世界に近い。一度、約束を違えると村八分、その社会では生きて行けない。

   世の中は近代化グローバルかして変わって来ているが、何れにしろ、基本的なものの考え方の背後には、アメリカでは法律や契約が、ブラジルではアミーゴ社会の人間関係が、重要な位置を占めている。

   ところが、我々日本人は、この両極端の狭間で生活している。
元々アミーゴ社会に近い社会であったのが最近はアメリカナイズされて来て法化社会への転換が急である。
しかし、法律無視の役所の窓口指導や窓口規制が巾を利かせたり、紳士協定とか言って商談を纏めながら出るところに出ると契約が不備と言って争う、安値受注をして恩を売って次の工事で穴を埋めてもらう、等など、法治国家なのかアミーゴ社会なのか分からない程錯綜している。

   話が横道にそれてしまったが、要するに、アメリカやブラジルのような考え方の生活環境よりは、もっと日本人の生活感覚に近い考え方をするイギリス人の方が、私には親しみやすいと言うことかもしれない。
   日本人は、英米と言って、イギリスとアメリカとは極めて近くて同じ考え方をするモノだと思っているが、全く違うし、その差は大きい。
   やはりイギリスは歴史と伝統の国で大陸近接の島国、中々、イギリス人の懐には入り込めないが、親しくなると実に人間的で、人生の奥深さを感じさせてくれる。

   EUにありながら、ユーロにそっぽを向いたふりをし、EU憲法を脇におしやり、何か大陸ヨーロッパから距離をとるイギリス、そして、時の覇権国アメリカに親しく擦り寄るイギリス、どこかの国に似ていないであろうか。
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