熟年の文化徒然雑記帳

徒然なるままに、クラシックや歌舞伎・文楽鑑賞、海外生活と旅、読書、生活随想、経済、経営、政治等々万の随想を書こうと思う。

第46代アメリカ大統領にジョー・バイデン選出

2020年11月08日 | 政治・経済・社会
   アメリカ大統領選挙の結果が判明していると思って、パソコンを叩いて、ニューヨーク・タイムズのHPを開いたら、バイデンの得票数が279で過半数を締めていたので、決着が着いたことが分った。
   ペンシルべニアの20とネバダの6が、バイデンの勝利で加わっていたのである。
   ペンシルベニアの開票結果が決戦を制したようだが、その票差は、0.55%なので文句はなかったのであろう。
   この結果で、主要メディアが、バイデン勝利を報じたという。

   NYTのヘッドとトップ記事の大見出しは、
   BAIDEN BEATS TRUMP(バイデン、トランプを打倒)
    In Speech, Biden Urges End to ‘Grim Era of Demonization in America’(バイデンは、アメリカの極悪非道の恐ろしい時代を終らせようと訴える)
   Biden Wins Presidency, Ending Four Tumultuous Years Under Trump(トランプ政権下の恐ろしい4年間に終止譜を打とう)
      

   一方、ワシントンポストは、
   ‘A time to heal’(和解の時)
   Biden and Harris triumph over Trump, but president does not concede(バイデンとハリスはトランプに勝利、しかし、大統領は落選を認めず)
   Biden plans immediate flurry of executive orders to reverse Trump policies(バイデンは、トランプ政策に反対する緊急大統領令発令を計画)
   Trump, a president obsessed with winning, spends the day refusing to admit his loss to Biden(トランプ大統領は勝利に執着して、バイデンへの敗北承認を拒否)
   Trump supporters insist election isn’t over as they protest his loss in state capitals (トランプ支持者は、トランプの敗北に抗議して選挙は終っていないと主張)
   Trump’s bid to discredit election raises fear that he will undermine a smooth transfer of power (トランプの選挙を信用しない訴訟が、政権のスムーズな委譲を阻害する恐れを引き起こす)
   

   どのような推移になるのか、分らないが、現状は、以上の新聞見出しが十分に語っていると思うので、蛇足は避ける。

   政権委譲につて、NYTの「Trump gets the news while heading to a golf outing.」の記事で、次のように報じている。
   Aides said Mr. Trump has no plans to immediately concede defeat as his campaign vowed to continue waging the legal battle across the country in a last-ditch effort to somehow reverse the stream of ballots that delivered the White House to Mr. Biden. In a statement, Mr. Trump said Mr. Biden is trying to “falsely pose” as the winner.
   “The simple fact is this election is far from over,” the president said, less than two hours after tweeting the false claim that “I WON THIS ELECTION, BY A LOT!,” which drew a warning from Twitter that it was premature. “Beginning Monday, our campaign will start prosecuting our case in court to ensure election laws are fully upheld and the rightful winner is seated.”
   Mr. Trump’s advisers said they do not believe he will attempt to deny Mr. Biden from taking his place in the White House in January. But they described him as in complete denial that he has been fired from the presidency and said he is refusing to abandon his accusations that Democrats stole victory from him.
   The president’s tone — in his statement he accused Democrats of wanting “ballots counted even if they are fraudulent, manufactured, or cast by ineligible or deceased voters” — was a sharp contrast to Mr. Biden, who called for unity in a nationwide address Friday night as it was becoming clear that he was closing in on victory.
   Even some of Mr. Trump’s longest advisers, like former Gov. Chris Christie of New Jersey, said publicly that he needed to have actual evidence to make the claims he was making.
   トランプのアドバイザーたちは、一月にバイデンがホワイトハウスで自分の代わりになることを拒否しようとのは信じていないが、彼が大統領職から罷免されたということを完全に拒絶し、民主党が彼から勝利を奪ったという告訴を諦めることを拒否していると言う。
   バイデンや民主党への恨み辛みについてのトランプの言い分は、報道されている通りだが、古くからのアドバーザーのクリス・クリスティ前NJ知事は、トランプが提訴するには、実際の証拠を示すべきだと公言している。
   私は、アメリカの有識者たちの知性教養、良識を信じているので、どうのようにアメリカの世論を正常な社会へ誘導していけるのか、期待を持って見ていたいと思っている。

   トランプは、以降、メディアの前には姿を現さないと報道されているが、訴えのいくらかは、既に拒否されており、民主主義の根幹である選挙制度の公正性と信頼性を選挙前から疑問視するなど、大統領自らが死守すべき民主主義を否定し、殆ど根拠がなく勝ち目のない訴訟を打ち上げいる。最高裁まで行くと期待しているのかも知れないが、アメリカの民主主義の最後の砦である最高裁が、そんな低俗な茶番劇を演じるはずがない。従って、浮世であるから、潔く訴訟を取り下げて敗北宣言しなければ、これから、共和党やトランプの助言者や側近など取り巻き連中や支持者たちも徐々に去って行き、四面楚歌となって、トランプは自縄自縛に追い詰められて行くとしか思えない。

   大統領特権で保護されていたが、職を離れればタダの人、
   あれほど多くの暴露本で暴かれ、ビジネスでも、ワシントンポストに嘘2万回と揶揄された嘘と欺瞞に満ちた政治でも、したい放題のことを、行ってきたのであるから、どんなことで訴追されるか、
   トランプ・ケースとして、ビジネス・スクールの教材になってもおかしくないと思うが、まさに、アメリカの民主主義が試されることとなろう。

    私は、今度の大統領選挙の結果で、アメリカの民主主義が守られそうであり、危機に瀕している地球環境が良い方向にサステイナブルになるであろうことを願っていたので、バイデンの勝利を喜んでいる。

   Mr. Biden and Vice President-elect Kamala Harris pledged to be ready on Day 1 to tackle four main priorities for the new, Democratic administration after four years under Mr. Trump: Covid-19, economic recovery, racial equity and climate change.  バイデンは、Covid-19、経済回復、種族平等、気候変動を優先政策として、政権を立ち上げるようだが、トランプ政策逆転に意欲的に取り組むと言うことであろう。
   “A Biden-Harris administration, propelled by the foundation laid by the transition, will lead a just and equitable recovery that rebuilds a strong, inclusive middle class and builds an economy for the future,”   戦後数十年黄金時代のアメリカの民主主義を支えていた健全な中間層の復活、これが、国是として希求されれば、健全な資本主義の復活も望み得る。
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アメリカ大統領選挙・大詰め

2020年11月07日 | 政治・経済・社会
   今朝起きて、ニューヨーク・タイムズとワシントン・ポストのHPを開いても、アメリカ大統領選挙の結果は未定であったが、昨日、予報したように、ジョージアとペンシルベニアで、バイデンが躍進して、トランプを追い抜いた。
   予想外であったのは、WSJやAP,FOXなどが確定報道していたアリゾナで、トランプが追い上げてきて、バイデンとの票差が、縮まって来たことである。

   NYTの記事を見ていると、非常に興味深いことが分って、以後の選挙結果の趨勢がほぼ分ってくる。
   ペンシルベニアを例に取ると、
   参考になるのは、第2表と第3表で、郡単位で、開票結果が表示されていて、これらは、大票田のフィラデルフィアとピッツバーグで、得票数と開票率が分るので、ほぼ、以降の得票数が推測できる。
   第4表は、票田の規模が丸の大きさで表示されている。青はバイデン、赤はトランプである。
   第5表は、不在者投票の大きさとその予測で、
   いずれの指標からも、今後の開票が、都市部の不在者投票分だと考えれば、いかに、バイデンが優位であるかは良く分かる。
   最後の表は、投票者のバックグラウンド分類で、アメリカの現在の世相や分断が分って興味深い。
   
   
   
   
   
   

   ジョージアについても、バイデン優位であるが、僅差なので、数え直すと言うことなので、この結果を待つことにして、分析は、省略する。

   ここでは、もう決まっているじゃないかと言った口ぶりで、ペンシルベニアとネバダとアリゾナについて書いているNYTのNate Cohnの記事に触れて置きたいと思う。

Pennsylvania
   金曜日時点のバイデンの票差は、19500だが、未開票分の10万票は、これまでバイデンが4分の3を取った郵便投票分を含めた不在者投票分であり、その4分の1はピッツバーグのアルゲニー郡であるから、Mr. Biden’s clearest path to victoryであって、There’s no obvious path to victory for Mr. Trump in the stateだと言う。
   なぜ、主要メディアが、バイデンの勝利を報じないのか、それは、ペンシルベニアの票差が0.5%以下なら再集計すると言うハードルをクリアして、それ以上バイデンがリードを確立するのを待っているからであり、また、有効投票者なのか確認未定の仮投票の10万前後の殆ど民主党支持者の票の処理やその推移、投票日当日異常に膨大な数の共和党支持者の投票によって混乱するなど、容易に結果が出そうにないことを危惧しているのであろうと言う。
   興味深いのは、ペンシルベニアが長引くのなら、ネバダとアリゾナで決着をつければ良いではないかと言っていること。
   これは、かなり前からの予想で、私も、それで、決着がつくと思っている。

Nevada
   バイデンは、2%差を維持しており、未開票分の多くは、ラス・ヴェガスのあるクラーク郡であるから、バイデン優位だと言う。
   票差は拡大して、22,600 。
   
      

Arizona
   アリゾナは、バイデン勝利と目されていたが、トランプに追い上げられて、未開票分14万票で、その差は、29,860 人。
   しかし、残っている票の大部分は、フェニクスのあるマリポカ郡であり、バイデンが逃げ切れると言っている。
   この州は、元々レッド・ステートなので、ダブルスタンダードのトランプは訴訟していないので、決まれば、すんなりと行くはずである。
   トランプが負ければ、嫌い抜いて逝かせたマケインの祟りだと揶揄されようか。
   
   
   
   今や、ワシントン・ポストのヘッド・タイトルは、
   Biden inches closer to victory as Trump’s chances fade
   いずれにしろ、主要メディアが、結果を承認して報道することが先で、いつになるか、早い方が良く、
   バイデンが、勝利宣言をすれば、暴動が起こったとしても、世界の良識が、秩序を回復してくれると思っている。
   それが、法と秩序の世界である。

   しかし、私には、このアメリカは、若かりし頃の学び舎の故郷であって、偉大で崇高な思い出の数々はひとときも脳裏を離れたことがなく、トランプも仰ぎ見ていたはずのベンジャミン・フランクリンの銅像を思い出すと、涙がこみ上げてくるほど懐かしい。
   アメリカに幸あれと、心から祈っている。
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アメリカ大統領選挙の最新情報

2020年11月06日 | 政治・経済・社会
   朝起きて、アメリカ大統領選の結果がどうなっているのか、気になって、ニューヨークタイムズとワシントンポストのHPを開いたのだが、殆ど、前日のままで動きがない。
   しかし、ニューヨーク・タイムズが、  
   Closing in on 270: Here is where things stand in the states that could decide the presidency.で、未定州の近況をレポートしているので、これについて考えてみたい。
   当選に必要な270に対して、バイデンは、17人、トランプは56人の選挙人を獲得する必要があるが、アメリカのメディアによっては、アリゾナ州は、バイデンの勝利だとアカウントして、バイデンの獲得選挙人を264人として、残り6選挙人としており、これなら、いずれにしろ、バイデンが、他の1州を獲得すれば勝利するという構図である。

GEORGIA
Electoral votes: 16
Trump leads Biden, 49.5 percent to 49.3 percent, with more than 98 percent of the estimated vote in.
Gap: About 9,500 votes.
Keep in mind: Georgia still has about 47,000 ballots remaining to be counted, an official with the secretary of state’s office said Thursday afternoon. Most are in Democratic-leaning counties. The state aims to finish its count by the end of the day.
   トランプがリードしているが、その差は9500人で、残り47000人のうち、民主党地盤の郡が残っていて、6日中に結果が出るという。バイデンの勝利の可能性があるということであろうか。
   (注記・日本時間pm7時、バイデンが逆転して、917 人リード。と報道。
   未開封の地区を調べたら、アトランタ周辺のバイデンの地盤のギゥインネット、コブ、クレイトン各郡と、トランプの票田の、テイラー、フォーサイス、フロイドフロイドなどの小郡なので、バイデンが勝利する可能性が高いと考えられる。)

PENNSYLVANIA
Electoral votes: 20
Trump leads Biden, 49.9 percent to 48.8 percent, with about 93 percent of the estimated vote in.
Gap: About 74,000 votes.
Keep in mind: The state’s top election official said late Thursday that the counties were “still counting” and did not give a direct answer as to how many ballots were still outstanding, estimating that it was “several hundred thousand.” She did not offer any timetable as to when counting in the state would be complete. Most of the votes yet to be counted are in counties where Mr. Biden is ahead, including Philadelphia, the state’s most populous county, where Mr. Biden leads by about 61 percentage points. But plenty of votes are outstanding in dozens of Trump-leaning counties. Mr. Biden needs to win nearly two-thirds of the remaining votes to win the state. The vote tally is being continually updated.
   この州は微妙で、差は74000人で、未開票分は、数十万人だが、バイデンの強いフィラデルフィアなどの都市部だが、トランプ地盤の郡も残っていて、バイデンが勝利するためには、未開票分の3分の2以上を獲得する必要がある。
   (注記・95%開票時点で、差は18,229に縮小。
   この州も、バイデンの票田フィラデルフィアが9%、ピッツバーグが5%、未開票分で残っているので、バイデン逆転のチャンスは、かなり、あると考えられる。)

NEVADA
Electoral votes: 6
Biden leads Trump, 49.4 percent to 48.5 percent, with 89 percent of the estimated vote in.
Gap: About 11,000 votes.
Keep in mind: All of the Election Day vote has been counted, leaving only Democratic-leaning late mail and provisional ballots to be tabulated. Vote totals are being continually updated. Nevada has about 190,000 ballots still to be counted, the secretary of state said Thursday afternoon. Ninety percent of them are from Clark County, where Mr. Biden currently leads by eight percentage points. Remaining votes include mail and provisional ballots.
   バイデン有利と目されていた州だが、バイデン優位で、その差は11000人。未開票分は19万人だが、90%はバイデン優位の郡が残っていて、トランプが勝つためには残りの60%を取得する必要がある。6日夜に結果発表。

ARIZONA
Electoral votes: 11
Biden leads Trump, 50.4 percent to 48.2 percent, with 86 percent of the estimated vote in.
Gap: About 65,000 votes.
To keep in mind: Mr. Trump needs to win about 60 percent of the remaining votes to capture the state. More results are expected to be released Thursday night.
   バイデンリードで、トランプが勝つためには、未開票分の60%獲得必要。(注記・88%開票時点で、差が47,000と縮小。)
   
NORTH CAROLINA
Electoral votes: 15
Trump leads Biden, 50 percent to 48.6 percent, with 95 percent of the estimated vote in.
Gap: About 77,000 votes.
Keep in mind: With most votes now tabulated, Mr. Biden would need to win about two-thirds of the remainder to pull ahead. Mail ballots postmarked by Election Day will be accepted until Thursday, Nov. 12.
   この州は、トランプが大きくリードしていて、バイデンが勝つためには、未開票分の3分の2を獲得する必要がある。

   まだ、分らないが、以上、この段階で総括すれば、バイデン勝利と報じたメディア(下記のWSJ)もあるアリゾナの結果が確定すれば、民主党地盤のネバダで、バイデンが勝利して、過半数の選挙人を獲得という公算が強いのではないかと思われる。6日中に判明と言うことであるから、もうすぐ、選挙の結果が出るであろうし、主要メディアが結果確定を報じれば一段落つく。
   微妙なジョージアなりペンシルベニアで、バイデンが勝利すれば、確定的な結果であって、いくらトランプによってアメリカの民主主義が危機に瀕死ようとも、アメリカや世界の良識が機能して、無事に終息するような気がしている。
   
   

   大統領自ら保身のために、民主主義の根幹中の根幹、大統領選挙制度の信頼性と公正性を否定するという考えられないような暴挙がまかり通り、それに呼応して国民が暴動に走ると言う目も当てられないようなアメリカの茶番劇をどう見るのか、営々と築き上げてきた人類の文化文明の歴史が何を物語るのかを思うと、目の前の悲惨な現実が悲しい。
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わが庭・・・ツワブキ、エレガンスみゆき、野ブドウ

2020年11月05日 | わが庭の歳時記
   ツワブキが、黄色い花を咲かせ始めた。
   わが庭のツワブキは、斑入り、金紋ツワブキというのであろうか。
   この花は、園芸店で買った時には、コンパクトなプラスティック鉢に植えられら小さな鉢花だったのだが、肥沃な地面に植え替えたら、急に大きく育って蕗のような艶のある葉が広がって、豪華になった。
   千葉の庭からの移植であるから、もう、10年以上にもなる古株で、かなり、庭のあっちこっちに広がっている。
   わが庭のツワブキは、小菊のように整然とした花弁ではなくて、歪なので、美観には欠けるが、菊とは違った雰囲気に味がある。
   ずっと前になるが、旅の途中に津和野に立ち寄って、散策していると、田舎道の路傍のあっちこっちに、ツワブキが咲き乱れていたのだが、旅情を感じて思い出に残っている。
   
   

   秋咲きの桜エレガントみゆきが、二輪花を開いた。
   タキイの通販で苗木を買って庭植えして6年だが、既に、3メートル以上に育って枝を広げている。
   すらりと伸びた細い長い枝に、数珠状に、3ミリほどのピンクの小花を咲かせるのだが、今は、まだ、葉もなく花もなく、花芽がびっしりと着いているが、裸のままである。
   寒い冬に向かって、少しずつ咲き続けるので楽しみである。
   
   

   先日、雑草のタンキリマメの実について書いたが、その蔓に、野ブドウの蔓が絡みついていて、コバルトブルーの実を付けているのに気がついた。
   勿論、植えたこともないので雑草扱いなのだが、秋を感じさせてくれて嬉しい。
   
   
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米大統領選、ペンシルベニアが天王山

2020年11月02日 | 政治・経済・社会
   今夜のNHKニュース9で、大詰めのアメリカ大統領選挙の動きについて、最大の激戦州のラストベルトの動向について報道していた。
      

   まず、最初にペンシルベニアに関して報じ、ここでは雇用について論じていたが、まさに、この州は、米国経済の最大の牽引車であった鉄鋼、石油ガスと言った重工業地帯の中心部に位置しており、経済構造の激変によって、衰退と崩壊を極めたラストベルト(錆び付いた地帯)の一角である。
   前回の選挙では、雇用の拡大を説いて失業者を鼓舞したトランプが勝利した州なのだが、今回の選挙では、産業で明暗を分けて、比較的政府の保護を受けた石油関連産業の雇用は維持されたが、鉄鋼業は錆び付いたままで、共和党、民主党に支持が分かれていた。
   先の大統領選討論会で、バイデンが、石油産業への補助金を切ると言って、トランプに揚げ足を取られて、ポイントを落としたが、前回のように、低学歴の白人労働者が一挙にトランプになだれ込んで勝敗を逆転するほどのインパクトはないと思うが、世論調査の支持率が僅差なので微妙なところであろう。
   前回のペンシルベニアの選挙の速報を見ていて、クリントンが勝っていたはずが、どんどん追い上げられて、トランプが勝利したのを見ていて、この時は、世論調査と違ったクリントン敗北の逆転劇を感じ始めた。
   このペンシルベニアは、私自身、2年間、フィラデルフィアで学び生活をしていたので、ここの選挙結果については、他人ごとではないのである。
   実際には、ピッツバーグや工場地帯には行ったことがなく、フィラデルフィアとその郊外しか知らないのだが、それでも、近郊の工場地帯が廃墟のように廃れていたのを見て知っている。
   フィラデルフィアは、民主党地盤で、郊外に比較的共和党支持者が多いのであろうが、今回はブルーに変ると思っている。
   
   
   
   
   さて、今回の選挙だが、次表の通り、バイデンが316,トランプが125を確保することは確定的なようなので、バイデンは、後必要な選挙人の数は、55人。
   ペンシルベニアの20を取れば、後35人。
   大票田のテキサスは、トランプのようなのだが、フロリダを取れば御の字で、他の激戦州の支持率は、概ねバイデン優位なので、二州以上を取れば、勝利する。
   

   ニューズウィークの「アメリカ大統領選挙、勝敗決する激戦州の情勢や集計方法まとめ」 では、勝敗の予想が難しい激戦州のうち、
   ニューハンプシャー州 4,ミシガン州 16,ペンシルベニア州 20,ウィスコンシン州 10, ミネソタ州 10,アリゾナ州 11,ネバダ州 6,などの諸州では、民主党がリードと報じており、
   テキサス州 38 は共和党リードで、フロリダ州 29,ジョージア州 16、ノースカロライナ州 15,オハイオ州 18、アイオワ州 6,が五分五分でも、バイデンが勝利する構図である。
   今回は、投票日前事前投票で、9000万人以上が既に投票しており、候補者を決めていない投票者は非常に少ないと言うことであるから、隠れトランプの存在など、選挙当日のサプライズなどは、殆ど出現しなしと思っているので、バイデンの勝利を予想している。
   世論調査の支持率を信用するかどうかだが、前回は、学歴の高い人のサンプル数が多くてクリントンにバイアスが掛かったと言うことで、今回は修正されているというので、このニューズウィークの調査を信じても良かろうかと思っている。
   ただし、現職大統領が敗北したのは、カーターとブッシュ父だけなので、分らないと言うことであろうか。
   フロリダの開票が早くて、日本時間4日の午後4時には大勢が判明するようであるから、どんな結果になるのか、三流国家並みの大混乱に陥れば、アメリカの民主主義が危機に立つ。

   NHKの報道も、世論調査の支持率を参考にして、トランプが巻き返しに成功するためには、3つのハードルをクリアする必要があると、
   フロリダ、レッドステート、ラストベルトの一州確保を必要条件と報じていた。
   ヤフーの読者投票によると日本人の過半がトランプ勝利と予測しており、評論家と称する日本人にもトランプ勝利を疑っていない人物が結構いるが、興味深い現象である。
   

   トランプが負けたとしても、それは、民主党の思想哲学、民主主義擁護の政策が支持されたと言うことではない。
   景気循環の上昇局面にあった所為だとしても、経済成長と好況を歌っていたトランプ経済を、叩き潰したコロナの成せる技、
   「It’s the Economy, Stupid 問題なのは経済なんだよ、馬鹿者」と言って、ブッシュ父に勝利したクリントン同様、すべからく経済なのである。
   
   私自身は、民主主義と健全な資本主義を守るためには、リベラルな民主党の政治経済社会思想を維持すべきだと思っており、共和党政権が続く限り、地球温暖化に一顧だにせず、ますます、宇宙船地球号を窮地に追いやり、徐々に地球から貧困層の縮小に成功しつつあったグローバリゼーション・トレンドを叩き潰すなど、歴史の歯車の逆回転が続くので、これをを阻止すべきだと思っているので、どうしても、バイデン贔屓のバイアスが掛かるのだが、今の心境である。
 
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桂歌丸著「歌丸ばなし」その2

2020年11月01日 | 書評(ブックレビュー)・読書
   8高座のうち、私が聴いた歌丸の舞台は、「井戸の茶碗」「紺屋高尾」「竹の水仙」だけだと書いたが、「紙入れ」「つる」「壺算」は他の噺家で聴いている。
   歌丸の話では、他の噺家から譲り受けた話とかで、噺の内容やサゲなどには、歌丸の工夫が込められていて、独特な雰囲気が感じられて面白い。

   掲載されている噺が短い所為もあるのか、枕が長くて面白い噺が多いのだが、晩年で、誤嚥性の肺炎で苦しんでいた時期なので、必然的に、病気のトピックスが混じる。
   まず、枕の長いのは、「鍋草履」、
   ある芝居小屋で、若い衆が、客の注文の鍋を、幕がしまったら持ってこいと言われていたので、梯子段の下に置いていたのだが、一寸考え事をしていた瞬間、幕が下りて駆け下りてきた客に鍋を踏み込まれて、誰も見ていなかったからと言って、頬被りして客に出す噺、
   当然、枕は、歌舞伎の話になってしまうのだが、古今亭今輔師匠に、落語家になったら、芝居、特に歌舞伎を観るように言われたと語り始めて、最近、若者が歌舞伎について、まどろっこしい、一つ笑うのに10分もかかる芝居は嫌だと語るが、ご本人は、最初は分らなかったが、面白くなって、最近では、月に一度観に行くと語る。
   観たことがないので、連れて行ってくれと木久蔵に頼まれて、忠臣蔵の通し狂言を観に行ったら、討ち入りのシーンで、「内蔵助は間違っている、皆が刀を抜いて真剣に戦っているのに、表で、一人だけ太鼓を叩いて遊んでいる」と言われて、頭がおかしくなるので、それっきり一緒に行かなくなった。あんなに切腹の好きな芝居はないですねえ、四段目で判官、六段目で勘平、九段目で本蔵が切腹、・・・日本人が盲腸を切るようになったのは、忠臣蔵が出来てから・・・。

   男らしくて好きなのは、十段目の天河屋義平(天野屋利兵衛)だと言う、
   内蔵助に頼まれて、討ち入りのための武器、衣装装束一切を手配して調えた。それが発覚して、松野河内守に、拷問まがいの厳しい取り調べを受けるのだが、「天野屋利兵衛は男でござる」と言って、頑として口を割らなかったという義人である。
   ところが、歌丸は、内蔵助が、流行性感冒に罹って寝込んでいたので見舞いに行った利兵衛が、寝ていたので揺り動かそうとすると、布団の中に引きずり込もうとされたので、後ろへパッと飛び下がって、「天野屋利兵衛は男でござる」。これが真実だと語る。
   この話、八代目林家正蔵(彦六)の噺「天河屋義平」では、天河屋がある日、自宅へ大星由良助を招いて酒宴を開いた時に、由良助が美人の女房にぞっこん、妾になれと言い寄ったので、女房は体よくあしらおうと、「今夜、九つの鐘を合図に私の部屋に忍んで来てくださいまし」と言ったので喜んだ。女房は義平に酒を飲ませて、べろべろに酔わせ自分の部屋に寝かせた。頃良しと、由良助は、約束通り女房の部屋に忍び込んで行った。布団をめくって抱きつくと、天河屋はびっくりして飛び起きて長持ちの上に座って、 「天河屋義平は男でござる」。

   この十段目は上演されることが少なくて、先年、歌六の義平で素晴らしい歌舞伎の舞台を観て、文楽では2回、それに、最近では、松鯉の講談で一度聴いたくらいである。
   ただ、文楽は、すらりと義平の男ぶりの迫力あるストーリーを踏襲しているのだが、歌舞伎では、義平の取り調べに踏み込むのは義士で、内蔵助の義平の忠義の確認というように脚色をされていて、最後に内蔵助が正体を現して謝るという軟弱かつ稚拙な芝居(?)になっていて、拍子抜け。そのために、白けてしまうので上演が少ないのではないかと思っている。

   ところで、噺に入る前に、枕を振るのは、普通の寄席では、ネタが決まっていないので、高座に出てから、客の顔を見て、その日の客は、勘が鋭いか鈍いかを見極めるためにやって、ネタを決めるのだと言うことである。
   私など、元関西人で、上方漫才で育っていた方であるから、最初は、江戸落語には慣れておらず、勘の鈍い方であったと思う。
   大阪に居た時には、花月劇場で漫才は覚えているのだが、すぐに、東京に引っ越して海外にも出てしまったので、とうとう、米朝の落語を聴けなかったのが残念であった。
   国立演芸場でも、時々、上方落語をやるので、聴く機会が多いのだが、やはり、石川啄木のそを聞きに行く心境で、懐かしさもあってしっくりといく。

   「紙入れ」は、間男の噺であるから、枕も、その辺りの話なので面白い。
   「竹の水仙」は、左甚五郎の噺であるが、殆ど枕なしで、しっとりとした温かい人情噺を語っていて、左甚五郎の登場する「ねずみ」や「三井の大黒」同様しんみりと聴かせてくれる。
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