新美南吉を研究中

新美南吉童話の本質と世界
北 吉郎
双文社出版


ごんぎつねのふるさと―新美南吉の生涯
大石 源三
エフエー出版


今、「ごんぎつね」の指導にあたって、新美南吉の研究に没頭しています。

調べれば調べるほど、南吉の悲しい人生が心に迫ってきます。

少年時代に母親を失った体験が、南吉の心の中に障害として残った。心の中にポッカリと空いた「寂しい空洞」を埋めるために、南吉は創造力を働かせる童話の世界に「愛情」を求めた。これは神田昌典氏が書いた小説『成功者の告白』の中にある、成功とその裏にあるマイナス要素のバランス関係を想起する、「天秤の関係」に当てはまります。

成功者の告白 5年間の起業ノウハウを3時間で学べる物語
神田 昌典
講談社


南吉作品を読んでいく時、27歳で「死を自覚」した1月の前と後では、作風に激変を起こしていることが分かります。

死との格闘を3ヶ月間した末に、ある確信に至ったことが予想されています。そのことを書き出すと、何度も連載をしないといけないほど深い内容になってしましますので、ブログでは書かないようにします。

興味のある方は、ここに紹介した本を読んでみて下さい。



読んでいただきありがとうございます。
できましたら応援の1クリックをお願い致します。


にほんブログ村 教育ブログ 小学校教育へにほんブログ村


マインドマップで作文すらすらワーク (ドラゼミ・ドラネットブックス)
クリエーター情報なし
小学館


「マインドマップで作文すらすらワーク」の中には、新美南吉の晩年の作品である「狐」を例にした「読書感想文の書き方マインドマップ」が紹介されています。
コメント ( 0 ) | Trackback (  )

フィンランドメソッド研究

「フィンランド・メソッド」で我が子の学力を伸ばす―家庭で育てる“5つの力” (家庭人BOOKS)
河野 庸介
主婦の友社


子どもの「頭のよさ」を引き出す フィンランド式教育法
小林 朝夫
青春出版社


今年の最終四半期。「マインドマップフェロー」としての私に与えられた大きな役目があります。それは他校の校内研究のお手伝いです。その学校では校長先生の強い思いから、「フィンランドメソッド」的な教育方法を取り入れられないかとしています。

なぜ私がそのお手伝いをすることになったのかという理由は次の通りです。

フィンランドで取り組まれている「カルタ」という手法はマインドマップが元になっている。これを活用することによって、フィンランドでは「PISA型読解力」で世界をリードしている。そこで、日本ではまだまだ普及されているとはいえないけれども、その効果がジワジワと広がりつつあるマインドマップを活用したい。しかしこの道具を学校教育に活用した例がほとんどない現状がある。誰か講師はいないか?というところから、私に声をかけていただいたわけです。

とはいえ、私はフィンランド教育研究の専門家でもありませんし、国語教育の専門家でもありません。正直なところ知識量が足りません。なので、適切なアドバイスを行えるかどうか自分でも手探り状態です。そこで暇さえあれば学んでいる最中です。


これまでに把握したフィンランドメソッドの一端を自分の記憶を整理するためにも記事にします。



【フィンランドメソッドで伸ばそうとしている5つの力】

日本で紹介されているフィンランドメソッドで伸ばそうとしている能力は「発想力」「論理的思考力」「表現力」「批判的思考力」「コミュニケーション能力」である。

(1)発想力
自分の考えを広げるためのツールとして活用されているのがマインドマップの考え方を元にしている「アヤトゥス・カルタ」である。中心イメージから放射状に発想を広げていく。言葉の連想から自分の脳の中から出てくるものが何なのか、ひとつひとつの考えがどうつながっているのかを紙の上に明らかにしていく。
何も与えずに、ただ「考えてみましょう。」と指示を出すから人間は思考に苦しむのである。だから、適切なツールを身につけさせることをはじめに徹底し、「守」「破」「離」の過程を通して完全に自分のものになるまで使っていく。

(2)論理的思考力
世界的に起こっている諸問題を解決していくために必要な力として「PISA型」の思考力を伸ばすということが定着してきた。PISA型の思考過程は「情報の取り出し」⇒「解釈」⇒「熟考」⇒「評価」⇒「発信」となる。このことについての詳しい解説はしないでおく。
論理的思考力を伸ばすために必要なことは、「根拠を明らかにする」という姿勢である。そのためにフィンランドの親は、子どもが小さい頃からしつこいくらいに「なぜなら~」「どうしてかというと~」「だから~」「たとえば~」「つまり~」という思考の型を当てはめて会話をしていると紹介されている。(私が実際に見たわけではないので、ぜひフィンランドの方に直接聞けたらありがたいのだが・・・)
倫理的思考力を鍛えるためには、「常に考えている」という姿勢、モチベーションを保ち続けることが大きなパワーとなる。24時間常に何かを考えている習慣を身につけたい。歩いていても、遊んでいても、街の中や周囲の人、生き物などに新しい気づきを発見し、「なんだろう?」「なぜだろう?」と考える。こうした積み重ねがあってこそ、論理的思考力が鍛えられる。

(3)批判的思考力
この思考力について、私は自分の実践というか、自分の信念から記述したいと思います。
私は世の中に流れている情報に対して、まずはじめにこのような疑問を投げかけるようにしています。

「本当にそうなのか?」
「何のためにそういうことをするのか?」
「そのように主張している根拠は何なのか?」

ということです。
これまでの人類が体験することのなかった「情報過多の時代」になっている現在、そして未来です。従来の価値観が翌日にはひっくり返ってもおかしくはありません。私の職員室の机上には「常識を疑え!」「何のためかを常に問え」という言葉を書いてはってあります。子どもたちにも批判的に考えて、物事の本質に迫っていくような能力を鍛えておく必要はあると思います。

(4)表現力
自分の考えを表現する時に必要な意識があります。
「相手意識」「目的意識」の二つです。言いかえれば、誰に伝えるのか、何のために伝えるのかということです。

このことについて江東区の情報教育部では、昨年度から授業研究してきました。自分の思いを伝える相手が決まれば、当然、目的意識も決まってきます。つまり「相手意識」が一番大事だと考えてきました。

例えば、過去4年間、私は学校サイトの中に、「キッズブログ」を設置して、子どもたちに文章を書かせてきました。ブログに自分の文章を載せるということは「全人類」が相手である。いつどこのだれが目にするか分からない。だから恥ずかしい文章を載せるわけにはいかない。そうすると、推敲に推敲を重ねて、「これで大丈夫!」というレベルまでにしないと発表もできないということになります。

このような「相手意識」は、子どもたちの表現力を確実に向上させます。

多くの学校の2年生が取り組んでいることがあります。「生活科」での体験を1年生に伝えるという活動です。
伝える内容は、「生き物の飼い方」「植物の育て方」「学校の様子」「街の中の宝物」「楽しい遊び方」など様々ありますが、1つ年下の1年生に教えるという「相手意識」は、2年生の子どもたちを実に大きく育ててくれます。

フィンランドメソッドの中の表現力には、「型」を教えるということもあるようですが、今回の記事では、私が何年も実践してきた「相手意識」にしぼって書いてみました。

(5)コミュニケーション能力
日本の子どもたち、否、教員でさえも苦手としている課題なのでしょう。しかし、ここは簡単に書いておきます。

私は多くのコミュニケーション能力の中で一番にあげたいのは「質問力」です。効果的な質問をすることによって、相手の長所を引き出し、有意義な対話を生み出す能力のことを「質問力」としたいと思います。

ソクラテスしかし、ブッダしかり、キリストしかし、孔子しかり、マホメットしかり、偉人・賢人としてその名を歴史に刻んできた方々は皆、質問や問いかけをして弟子に考えさせる名人です。相手の機根に応じて適切な質問を発し、答えを引き出し、行動化する。また、逆に弟子が師匠に質問をし、それに答えていった名言の数々が、経典となって長い年月がたっても伝えられている。

我々の日常生活には、これほどの質問力・解答力を必要とはしないでしょうが、新しいものを生み出すエネルギーになるのは「質問力」というコミュニケーション能力だと私は感じています。



以上、5つの能力について簡単にまとめてみましたが、今回、フィンランドの教育について学んでみて、最も強く心に残ったことが他にあります。それは民衆の支持率80%以上という驚異的な信頼を勝ち取っている女性大統領、タルヤ・ハロネンさんの言葉です。

「フィンランドの子どもたちは、フィンランド国民全員で育てる」

国のリーダーが、ここまで教育に力を注げば、当然、成果はあがることでしょう。国の違いはあるので、日本ではこんなに簡単に教育スローガンはできないかもしれませんが、それでもやはり「日本の教育はこうなんだ!」というスローガン的なものがあっても良いのではないかと私は思いました。


読んでいただきありがとうございます。
できましたら応援の1クリックをお願い致します。


にほんブログ村 教育ブログ 小学校教育へにほんブログ村


マインドマップで作文すらすらワーク (ドラゼミ・ドラネットブックス)
クリエーター情報なし
小学館
コメント ( 0 ) | Trackback (  )