今日の練習は、たくさんの成果があらわれました。その成果についてはのちほど書きます。その成果を受けて、練習最後のミーティングでこう話しました。
「今、島崎藤村原作の『破戒』という映画がやっています。この映画に登場する小学校の先生が学校をやめなくてはならなくなり、泣きながら別れを惜しむ子供たちに、こう言います。
『どんなに苦しくても、勉強することから逃げてはならない。逃げなければ、必ず良いことはある。忍耐強く勉強しなさい。』
バレーボールならば、この勉強という言葉を、練習に変えて考えるとよい。
『どんなに苦しくても、練習することから逃げてはならない。逃げなければ、必ず良いことはある。忍耐強く練習しなさい。』」
名言というものは、このように自分自身の取組に活かしていけば、とても大きな支えになります。
さて、練習の成果を書きましょう。
その1〉やっとできたランニングパス100回
実は私の指導者経験史上、これほどまでに基礎のアンダーハンドが身につかないチームはありませんでした。それはきっと、私が3年間も指導から遠ざかっていたことが原因なのだと思います。また、試合にはあまり出られないチーム環境にもあるために、それほど厳しく指導してこなかったことも影響しています。このままではゲーム練習をさせても、これ以上のレベルにはいくことはありません。そうなるとバレーボールの本当の楽しさも感じることができません。そこでここ数週間、高学年にはランニングパスを100回続けるという課題を与えていました。このいとも簡単な目標数が、なんと大人メンバーが数人入ってもできなかったのです。
今日も最初はとうていできそうな感じがしませんでした。そこでちょっと修正。もっとも原点にもどり、直上一人アンダーが100回できた子だけで、ランニングパス100回チャレンジに参加してよいとしました。つまり、努力して個人パス練習を達成した5人しか、ランニングパス練習をさせませんでした。これでパスが安定しました。50回を超え、70回と続けたころに、体育館の空気感が変わりました。反対コートで一人アンダーの練習をしていた下級生たちも、練習の手を止めて、5人のランニングパスを見守るようになりました。いよいよ100回を超えようとした時には、5人は「まだまだ続けるよ!」という気持ちに変化しており、けっきょく138回まで続けることができました。
達成後、私からは、
「70回、80回と落とさないで続けることで、今落とすわけにはいかない、もっとていねいにつなぐんだ。ぜったいに100回続けるんだという気持ちに自然になったはず。このような気持ちが試合の中でも出てくるようになる。パスをていねいにするようになるし、ボールを落とさなくなる。どんな練習にも意味があることを忘れないこと。」
という指導をしました。
その2)アンダー10チームのサーブの工夫
7月24日のアンダー10大会に向けて、サーブ練習を徹底的にしています。入ればよいなどというサーブはダメなのです。サービスエースを取れるサーブにしないとなりません。サーブ練習に多くの練習時間をとってた後、さらに高学年チームに向かってサーブを打たせる練習をしました。それもただ打たせたのではありません。
(1)できるだけ早いサーブを打つ
(2)ねらったところに打つ
(3)サーブゾーン8mの横幅を使って、エースを取れるコースを考えながら打つ
こうした課題をもたせながら練習しました。アンダー10大会でユニホームを着られる子の条件を「サーブが安定して入ること」としたため、サーブに対する意識はとても高くなっています。全員があまりミスなく、先週とは見違えるようなサーブを打てるようになっています。この調子で練習していけば、来週に向けてさらにステージアップしたサーブになることでしょう。
本番では2試合しか試合がなく、そして今回は勝つことを目標に試合しますので、全員を試合に出すことは難しいとは思いますが、選手になりたいと思って努力することは、子供たちを急速に成長させます。ですから、部内だけの活動にとどまって自己満足するようなチームにはしません。つねに対戦する相手を意識して、実力をつけようとする、客観的にも頑張っている子供たちを育てたいのです。