マインドマップを活用した読書感想文の書き方指導(6) 【感想文の設計図 編】

この感想文指導シリーズで一番の要所である「構想図のマインドマップ」をできるだけ早く記事にしなくてはいけないと思いながら、1週間以上過ぎてしまいました。この間、バレーボールの指導者認定講習会や教育委員会との面談、マインドマップ教育フェローの皆さんをお呼びしてのディナー会を開催したり、辰巳ジャンプの1日練習の連続など、けっこう忙しく動いていたのです。

前置きはそのくらいにして・・・・・


読書感想文の構想を立てる時の参考になるように、今日のマインドマップ画像を作ってみました。これはあくまでも参考の画像ですから、この通りにしなくてはいけないということではありません。お間違えないように!

400字の原稿用紙を3枚書くためには、6本くらいのメインブランチを伸ばすと良いでしょう。理由は、1本のメインブランチにつき200字程度文章を書くという計算からです。200字×6本=1200字。ちょうど原稿用紙3枚になります。

今回、参考として公表したマップのメインブランチには次の6本を示しました。

①はじめに何を書くか
②自分のこと!(気づき)
③自分のこと?(ふりかえり)
④本の中で印象に残った言葉
⑤読んでいて自分の心が動いた場面
⑥まとめ

感想文を書く前に、「構想マインドマップ(感想文設計図)」を書きます。そのメインブランチに①から⑥までの言葉を乗せ、さらにその後を子ども自身の力で伸ばしていきます。もし、自力で伸ばすのが困難な子には、大人がとなりで優しく問いかけながら、書きすすめていくと良いでしょう。


ここでは、①の「はじめ」のところだけ、くわしく説明をしておきます。
こんなふうに文章化されていきます。

「私がこの本を読もうとしたきっかけは、担任の先生に素晴らしい本だと紹介されたからです。先生は、夏休みに入る前に、少しだけこの本を読んでくれました。その中に登場してきた主人公がとても面白くて、このあと、どんな楽しいことをしていくのだろうと興味がわいたのです。そこで、お母さんにたのんで、すぐに買ってもらいました。読み始めて、さっそく心に残る言葉が目に入りました。
『自分が成功したいんだったら、人のいやがるトイレそうじをするんや!』
トイレそうじなんて、私はしたことがありません。では、いったいだれがそうじをしているのかと考えてみたら、お母さんがしていることに気づきました。(そうか!お母さんはみんながいやがる仕事をしてくれていたんだ!)と思うと、なんだか自分もお手伝いをしないといけないと思えてきました。
・・・・・・・・・・・・・・・」

ひとつのブランチをちょっと書いただけで300字を超えてしまっていますね。この調子で書いてしまったら1800字。原稿用紙4枚半になってしまいますから、3枚におさめるためにはマインドマップに書いた内容をけずらなくてはならないこともあるでしょう。

こんな感じで、6本のブランチを文章化するだけで、1200字という感想文はかんたんに書けてしまいます。



昨年度に担任した6年生も、マインドマップで作文設計図を書いて、その後に文章化したら、なんと1時間で4800字(原稿用紙12枚)も書いてしまった子もいるくらいです。


5000字を超えた小学生の作文
私の夢は井上先生を超えること!


マインドマップを使えば、作文が得意になりますよ!
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【本の紹介】 「運命の人」

運命の人(一)
山崎 豊子
文藝春秋

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山崎豊子先生の本を読むといつも感じることがあります。

「山崎先生は勇気ある闘争者である」

こういうことを感じます。


『運命の人』に登場する人物は、現在も存命の人です。その方々のことを生々しく小説にしていくことは、様々な考えが錯綜し、価値観が多様化している現代社会にあって、いわれなき批判も覚悟の上で取り組まないとできないことだと思います。

この小説から私が学んだことは、疑問に感じたことをとことん取材し、多角的な視点から冷静に事象を分析していく山崎豊子先生の文学に対する姿勢です。


昭和40年代の日本の姿の一面が手に取るように分かる一書です。

4館ある長編小説ですが、読み始めれば、どんどん引き込まれ、たちまち4巻を読了してしまう内容です。

井上はますます山崎小説のファンになりました。
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マインドマップを活用した読書感想文の書き方指導(5) 【①付箋活用+②あらすじ編】

マインドマップを活用した読書感想文の書き方指導。いよいよ本格的に書いていくステップに入ります。


【ステップ① 付箋の活用】

本を読むときに、ただページを開いていくだけでなく、足あとを残しておくことが大事です。そのために付箋を使います。
私の場合は、付箋に4つの効果を期待しています。

〔1〕記憶させる
本のページに付箋を貼っておくだけでなく、キーワードを書いてから貼るようにしています。少々手間がかかりますが、読後にマインドマップにまとめて、感想文を書くという作業を考えれば、ここで「キーワードを書く」という手間をかけておくことで、後の作業が楽になります。
「急がば回れ」ということわざ通りに作業をし、自分の頭だけでなく、付箋にも記憶をさせておくわけです。


〔2〕ガイド(しおり)として使う
キーワードを書いて貼ってある付箋は、マインドマップをかくときの「ガイド」となります。曲がりなりにも1冊の本を読んでいるわけですから、本にはさんであるキーワード付きの付箋を見るだけで、何が書いてあったのかを思い出せるはずです。もし思い出せなくても、付箋が貼ってあるのですから、そのページをもう一度読んでみることができます。


〔3〕整理するために使う
付箋にキーワードを書いて貼るという作業を通して、自分の脳の中で本の内容を整理する働きが生まれます。同じキーワードが何回も出てきたならば、それはもう感想文の中に書かなくてはならない言葉なのです。何度も何度も出てきた「キーワード」についてどう思ったかを書くだけで、作文が苦手な子でも100~300字は書けるのではないかと思います。


〔4〕効率をあげる
読みながら付箋を貼っていくという作業は、次にマインドマップ化するというゴール目的が明確にありますので、学習能率をあげる効果があります。脳ははっきりしたゴールがイメージされると加速化するという働きがありますし、大事な言葉をキャッチすることができ、付箋を貼った瞬間に、「よく見つけたぞ!自分っ!」と心の中で褒めてあげるのです。そうすると、「プチ達成感」を積み重ねていくことにつながって、脳が喜び、活性化されるでしょう。



【ステップ② あらすじマップのかき方】

〔1〕ミニマップにする
小さなメモ用紙で良いので、「章」ごとにメモのマインドマップをかくと良いです。その際、ミニマインドマップをかくスピードが大事なので、ていねいにかかず、自分にしか分からないような雑なマップをかくと良いと思います。
厚い本だと、このミニマインドマップが10枚とか15枚とかになるかもしれません。


〔2〕1枚の紙にまとめる(セントラルイメージに力を入れる)
ミニマインドマップを元にして、A4以上の白紙に本番のマインドマップをかきます。小学生にかかせるとすると、A4では少し小さいと思います、少なくともB4サイズの紙、できればA3サイズ以上の紙にかかせると良いでしょう。
その際、セントラルイメージは時間をかけてしっかりかいた方が良いです。なぜなら、本のテーマを絵に書くという作業は、本当に本を読めている子でないとできないからです。そしてセントラルイメージをかき終えた瞬間に、その本についてはほとんど把握している状態になるはずです。


〔3〕メインブランチに乗せる文字の例
あらすじマップを書くときに、メインブランチにどのような言葉を乗せたら良いのか、その一例を示します。誤解をされると困るので始めに書いておきますが、ここに出す例は、あくまでも私の案ですから、この通りにしなくてはいけないということはありません。大人は子どもたちが考える自由さを尊重するべきです。

≪文字例≫
①作者
②時代背景
③登場人物
④出来事
⑤言葉(セリフ)
⑥気づき

メインブランチが書けない子には、マインドマップにこの通りに書かせると良いのではないでしょうか。

写真画像の第2ブランチや第3ブランチに出しておいた言葉は参考にしていただければと思います。

こうしてできあがった「あらすじマインドマップ」をかき終えた時、私たちの心には達成感がたくさんあふれてきます。正直に言うと、ここまでの作業でも十分学習効果があります。本を読む子はどこにでもいますが、読んだ本を「マインドマップにまとめて残しておく作業」をする子はほとんどいません。ほとんどの小学生がやってういないことをするのですから、当然学力は向上します。

ただし、読書感想文を書くという宿題は消えてはくれません。
「素晴らしい読書感想文を書く」というゴールに向かうために、もう一枚のマインドマップ『読書感想文の構想マインドマップ』(作文設計図)を書く必要があります。

小学生のあなたが、この『読書感想文の構想マインドマップ』をかけるようになれば、あなたの脳力は、あなたが考えているよりも何十倍もアップしていくことでしょう。



次回はいよいよ『構想マインドマップをかく』という実践記事になります。
読んだ人はきっと読書感想文を書くのが楽になるでしょう。
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「もしドラ」を語り合う

もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『マネジメント』を読んだら
岩崎 夏海
ダイヤモンド社

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先週の土曜日、私的な研究会の総会に参加し、幅広い学び合いをしました。
今のところは、けっして公にはしないこの研究会に参加している指導陣の先生方は、無名ではありますが、授業のスペシャリスト集団です。10年は先の教育課題を語り合っている集団です。

この日、私はフランス政界のブレインであるジャック・アタリ氏の著書を題材にし、「『21世紀の歴史』から読み取る2030年の教育」というテーマで発表を行いました。

21世紀の歴史――未来の人類から見た世界
ジャック・アタリ
作品社

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発表内容については、再度整理しなおして、チャンスがあればブログにアップしても良いかと思っています。発表の中で最も伝えたかったことは、
「若いうちに『未来学』を学ぶ必要がある。未来を想定することで、現在の教育に自信を持って取り組んでいくことができる。」
ということでした。


さて、私のもうひとつの役目は、「『もしドラ』に考える学校経営のあり方」という発表に対する指定討論者でした。発表テーマは事前に知らされていましたので、事前に『もしドラ』を購入して速読しておきました。もともとこの本は、本屋でパラパラとめくりながら、読了していた本でした。しかし、再度読んでみると、はやり新たな発見があるものです。

今回の私自身の読みで立ち読み時と違っていたのは、著者の岩崎氏が師事していた秋元康氏のプロデュース活動が完全に軌道に乗ったという社会背景でした。それは「AKB48」の成功です。秋元氏がお得意の「アイドルチーム」を立ち上げ、育成し、勝負していくプロデュース活動を把握しながら、この『もしドラ』を読んでいくと非常に分かりやすいのです。


私は、指定討論者として、こんな質問をしてみました。

「岩崎氏が師事していた秋元康の存在が大きいと思うのです。実は私もAKB48のプロデュースは学校経営にも応用できるに違いないと研究していました。○○先生は、AKB48についてどう思いますか?」

○○先生は、

「この本の登場人物はAKBの子たちをモデルイメージして描かれているので、確かにAKBについて知っておいても良いと思います。」

とご回答。
まあ、AKBは置いておいても、『もしドラ』はクラス経営やバレーボールチームの運営には大いに役立つ内容ですから、ぜひお読みください。
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マインドマップを活用した読書感想文の書き方指導(4) 【活用法のスモールステップ編】

マインドマップを活用した読書感想文の書き方について、いよいよ実践編に入ります。

多くの子どもたちは本については読み始めれば、それなりに本の世界に入り込んで、楽しんで読む子が多いはずです。登場人物に自分を重ね合わせたり、まるでその物語の中に自分までいるかのように、文章情報の世界と自分の認識する世界が混ざり合って、溶け込んでいきます。私の極論になりますが、本好きな子にするためには何も感想文を書く必要もなく、本当はここまででも良いのではないかとも思います。

しかし「読書感想文」という宿題は長い休みだから余裕があるはずだとして、夏休みの課題となるのです。

そこで、嫌々やっていてもマイナスですから、この読書感想文という課題を通して、自分自身の脳を活性化してしまいましょう。


始めに作文用紙に書くまでのステップを示しておきます。

【ステップ1】付箋の活用
 本を読みながら、大事なところや感動したところ、心が動いたところに付箋を貼っておく。できればその付箋に、キーワードを書いておくようにすると、後の作業が楽になる。

【ステップ2】あらすじや要点をまとめる
 付箋を貼った場所のキーワードを使いながら、本の「あらすじマインドマップ」を1枚かく。

【ステップ3】構想マインドマップ
 感想文の構想マインドマップを1枚かく。これが感想文の「設計図」となる。子どもだけで考えるのは難しいので、後日かき方の例を公開します。

【ステップ4】感想文を書く
 構想マインドマップを元にして、感想文を書く。メインブランチをひとつの段落として文章構成していくと書きやすい。

【ステップ5】推敲作業
 書いた文章を推敲する。この作業は必ずやるようにした方が良い。より良い文章を書くという習慣を身につけることが大事である。推敲が難しい子どもは、大人がいっしょにやってあげることが必要となる。

【ステップ6】書いた文章を人に聞かせる
 書いたら終わりではなく、感想文を書く作業に関わっていない第三者に読んで聞かせると良い。別の視点が加わることで、気づかなかった長所や欠点を発見できる。




次回の記事では、【ステップ1・付箋】【ステップ2・あらすじマインドマップ】について書く予定です。
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