一ノ関からさらに盛岡へと北上し、駅ビル内で軽く腹ごしらえした後は、いよいよこの日の最終ランナーとして、IGRいわて銀河鉄道 (以下IGRと略)→青い森鉄道の快速に乗って八戸へ向かうことにしました。もちろん、仙台から新幹線で一気に八戸まで向かえば、運賃+特急料金を合わせても、在来線をわざわざ使う場合に比べて大幅にリーズナブルですが、地味に濃いぃ鉄道趣味 (^^;) を掲げる者としては是非、新幹線開業によって三セク化を余儀なくされた盛岡=八戸間の現状を確かめてみようと思ったのでした。
なお、この区間はJR時代に「北斗星」で通過したことがあるだけですので、盛岡以北から青森県内を目的地として利用すること自体はじめてです (^^;)。まぁ、ご挨拶のようなものだということで……。
それでも、701系 (IGR7000系または青い森700系) に乗るために高い運賃を払わなければならないというのは最大のネックですね (↑の画像は、たしかに運賃を払って乗ったことの証拠として、乗車中にデジカメで撮影したものです ^^;)。青春18きっぷの変わり種バージョン「北海道・東日本パス」でしたら全くフトコロも傷まず、701系のロングシートでも文句を言えないでしょうが、やはり普通運賃は高い以上、JRからの譲受ロングシート車ではなく、三セク化時に新造されたセミクロス車でないと困ります (爆)。幸いにして、盛岡駅に入線してきたこの日の103Mはセミクロス車で、ホッと一安心……(^_^)。
ただ、IGR盛岡駅の光景は、JREからお払い箱にされた不採算路線の悲哀を感じずにはいられないものでした……。JREの構内は、コンコース・改札・ホームなど全てに余裕があるのに対して (そりゃそうだ)、新設されたIGRの改札は、ヨソ者には分かりにくく狭いスペースにあるだけでなく、ホームも短めな1面2線……。そんな空間に、仕事&学校帰りの客がワンサカと押しかけ、狭いホームは人で埋まっていました。そして103Mも2両編成ですので、発車時は当然満員! 私も最初は座れませんでした。さて、売店で買ったビールを、ヌルくなる前に一体どうやって飲もうか? (爆)
幸いにして、その問題は2つ先の厨川で解決! ボックスシートに座っていた通勤客の方が降りて下さったおかげで無事席を確保し、ビールをシュパッと開けてほろ酔い加減になりながら、車内の様子を観察することができました (^o^)。
最初は満員だった客は、盛岡近郊区間の各駅に停まるごとにどんどん降りてゆき、特に渋民と好摩では大量に下車。たとえJREに捨てられようとも、IGRが岩手県北部の重要な交通機関として機能していることが確認できます。ところが、ワンマン運転で最前部のドアしか開かないため、どんどん遅延が拡大……。沼宮内で車内は相当スカスカになってしまいましたが、遅延も4分と相当なものになってしまいました。
そこで、沼宮内を発車して快速運転に入りますと、運転士から「この先八戸で特急つがる29号にお乗り換えの方がおられましたら、至急運転士までお知らせ下さい。八戸駅で連絡時間を確保してもらうよう手配します……」とのアナウンスが。私は「新幹線を使えば、単に速いだけでなく、直通運賃+特急料金乗り継ぎ割引の組み合わせもあるし……IGRを使って八戸以北まで行く人がいるのだろうか?」と思ったのですが、単純に金銭面だけをとれば盛岡〜青森間はIGR経由の方が少々安いんですよね (^^;)。そして、実際にそのような利用客が複数……。
乗客からの申し出を受けた運転士氏は、奥中山のサミットへと駆け上がるために激しく唸るモーターにさらにムチを打つかのようにノッチ全開! にわかに信じがたいほどの猛スピードで、103Mは暗い森の中を走り抜けて行きました。もちろん、一番デンジャラスだったのは奥中山越えでしたが、その先の区間でも全く手を緩めずに激走し、IGR→青い森の境界である目時を通過したのもほんの一瞬! 暗闇の中に辛うじて待合室が浮かんでいるのを確認した程度でした。
とにかく猛烈な走りに唖然としていると、やがて眼下には八戸の街の灯が! そして、運転士氏のアナウンスでは、遅れを約1分半まで回復したとのこと。いやー速い。
時刻表上でも、沼宮内→八戸間の103Mの表定速度は約75kmと、急行くりこま並みであることが確認できますが、この日の回復運転は確実にそれを上回っていました。209系やE217系のような、壊れそうな走行音の「走るんです」初期シリーズとは全く異なる701系の意外な力強さを思い知らされるとともに、長野支社115系と同じようなボックスシートを使用している701系セミクロス車の乗り心地はそれほど悪くなかったことから、「何でこの電車、最初からセミクロスで造らなかったんだろう……。全車セミクロスだったら全然評価も変わっていただろうに」と思ったのでした。
八戸ではもう、駅前のビジネスホテルで寝るだけ。というわけで、103Mとして乗ってきた編成 (上の画像) と、三戸行最終列車with臨時つがる485系をバルブ撮影し、IGRと青い森鉄道を乗り通した記念としたのでした。うーん、103Mのひとときが余りにも濃すぎて、毛嫌いしていたはずの701系すら撮影してしまったではないですか (爆)。