鹿島鉄道の廃止から早くも2ヶ月。レールや駅設備の撤去や、保存対象ではない車両の解体は、折からの金属盗難問題 (-_-メ) の影響もあって相当のハイペースで進んでいるようです。さる黄金週間にフレッシュひたちで石岡駅を通った際にも、鹿島鉄道がそこにあったことを物語るものは、解体待ちのキハ602と作業棟だけとなっていました……。そのキハ602が廃止直後に解体されず、連休中で作業が行われていないのを良いことに三々五々記念写真を撮りに来た家族連れ (苦笑) の前でポツンと孤独な姿をさらしていたのは、恐らく「解体ちょっと待った!」という買い取り保存交渉があったからではないかと思われますが、それも空しく先日解体されてしまったようです (T_T)。
そんな中、明日は鉾田駅が老朽化のため取り壊される前の最後のお別れイベントがあるそうです。というわけで、恐らくその目玉になるであろう、鉾田に現存するキハ601のさよならHM姿をアップしてみましょう。
キハ601といえば、今さら詳述するまでもないキハ07の生き残り! もちろん、正面をはじめ大幅な手が加えられており、片上鉄道や門司港に現存するキハ07と比べると産業遺産としての価値は落ちるのかも知れません。でも……シルヘッダーつきの細かい二段窓! ズラリと並んだガラベン! 菱形枠の台車! 激しく唸るDMH17エンジン! 下垂してしまった台枠をだましだまし、やっとこさ生き延びている存在感……。すべてが古き良きローカル私鉄車両という雰囲気で好きでした。何故か個人的に、鹿島鉄道を訪れるとキハ602は昼寝中であることが多かったこともあり、なおさらキハ601は思い出深いですね……。
すでにさよならHMを装着した2月下旬のある日、浜→鉾田→石岡というコースで、そんなキハ601の乗り納めをしました。
この時期になると、沿線にはぽつぽつと「にわか鉄」乗車組が現れており、ニュースを聞きつけてクルマでやって来た土浦あたりのオッサン連中が浜駅にて、私の横のかなり危険な位置で撮ろうとしていたり (「非鉄」が行楽気分で「鉄」に豹変すると、だいたいこういう展開になるから困るんですよね……もちろん注意しましたが -_-)、その後も鉾田まで往復して浜に戻ってくるまでしばしば大笑いして録音鉄の不興を誘っていました (録らない私から見ても困ったもんです)。
でも、桃浦前後の区間では、静寂の車内でエンジンの鼓動を心から味わいながら、霞ヶ浦と筑波山の夕景を眺めるという贅沢を味わうことができました……。
私が鹿島鉄道に乗ったのはそれが最後でしたので、廃止直前直後の喧噪をメディアやネットで見聞した今でも、心の中の鹿島鉄道はこの「桃浦の夕景をゆくキハ601」のままで止まっています……。