地味鉄庵

鉄道趣味の果てしなく深い森の中にひっそりと (?) 佇む庵のようなブログです。

小坂鉄道・樹海の咆哮 (3) 急勾配に挑む

2008-04-13 23:55:00 | 貨物列車 (臨海・専用線)


 茂内駅からとっさにダッシュして向かった先は、構内大館方の外れにある腕木信号機! 今のところ最初で最後の可能性が高い小坂鉄道訪問の機会に、大館まで重連で向かうという偶然が重なった以上、茂内駅のホームで大館行き貨物と小坂行き重連単機の発車を見送るよりも、重連と腕木の貴重過ぎる組み合わせを狙おうと思ったのでした。しかし……駅舎からここまで、ただでさえ数百mの距離があるだけでなく、自分が履いていたのは重くてゴツい革製の登山靴 (^^;)。しかも片手には重い望遠ズームレンズを装着したデジ一眼、もう片手にはこれまた重い三脚、背中にはその他機材を詰め込んだリュック……。足が思うように上がらず、しかも背後では発車の合図のホイッスルが数回鳴り響き、いよいよ「ヤバい!これは間に合わない!!」という焦りが……。それでも、何とかこのチャンスを決めたいという思いが辛うじて天に通じたのか、腕木信号機を過ぎてある程度過ぎた位置でパッと振り返り、無我夢中でフレーミングをしますと……ちょうど重連が画面内を突き進んで来るところでした!! やった……間に合った!! v(^O^)v 但し、このあと15分ほど、息が切れてヘトヘトだったのは申すまでもございません。小中学校での徒競走を含め、人生でこれだけ全身全霊を振り絞って猛ダッシュしたことはないですね……(爆)。



 ようやく呼吸が元に戻ったあとは、約2時間後、午後4時過ぎに大館から戻って来る小坂行をどう撮るか……ということで、線路脇の道路を行ったり来たりしながらロケハンをしたのですが、編成を全て入れることが出来る腕木信号機の脇の位置は、背後に場違いなゴミ焼却場の煙突が見えるためボツ……。急勾配を登ってきた編成が緩くカーブを切りながら進んで行く、絶妙なアングルだったのですが……。
 そこで目星を付けたのが、線路脇の道路を下り切った位置。ここは予想される長大編成を全部おさめることは出来ませんが、深い森の中を行くムードは満点! しかも、積雪を踏み固めて「にわかお立ち台」をつくれば、ホンの少々ですがアイポイントを上げて、列車を見下ろす構図にもなります。
 というわけで、の~んびりと待ち構えることしばし……。やがて日も傾き、「雪の照り返しがあるとしても、そろそろISO400・1/250秒 f5.6を確保するのは難しいかなぁ……」と心配になったそのとき、遠くの森からホイッスルが鳴り響き、やがて前照灯が木々の奥から見え隠れするようになりました! 時折「ウォォォォン!」とこだまするエンジン音から、DD13重連が20‰前後の急勾配で死闘を繰り広げている様子が伝わってきます。そしてついにファインダーの中に列車が登場!! いよいよエンジンの咆哮は激しく鳴り響き、人間がダッシュする程度の速度でゆっくりと登って行きます!! タキを23~4車ほど連結した怒濤の長大編成 (1/30アップの速報版をご覧ください) が茂内駅へと消えて行くまで2~3分の間、もうただただ圧倒されるのみでした……。
 小坂鉄道は現在、国土交通省に休止届を提出して受理されており、果たしてこのまま廃止となるのか、それとも新たな輸送品目を得て息を吹き返すのか、その行方は全く分かりません。しかし……何とか後者にならないだろうかと願っている貨物ファンは少なくないことでしょう。
 ともあれ、こうして心の底から小坂鉄道撮影を満喫した私は、小坂でバスを乗り継いで鹿角花輪に向かい、まずは宿で紹介してもらった近所の小料理屋 (駅からすぐそば) にて、きりたんぽ鍋 (一人前にしては超大盛でたったの1500円!) と舞茸の天ぷら (これも怒濤の山盛りでたったの350円!) に舌鼓を打ちまくって満腹!超満足! 興奮の一日を粋に締めくくるとともに、翌朝のもうひとつの感動に備えて英気を養ったのでした……。