地味鉄庵

鉄道趣味の果てしなく深い森の中にひっそりと (?) 佇む庵のようなブログです。

第三ジャカルタ炎鉄録 (36) 東急8611F

2012-02-01 00:00:00 | インドネシアの鉄道


 ここしばらくジャカルタ東郊にあたるブカシの工業団地を中心に過熱していた最低賃金引き上げ要求デモ・集会は、とりあえず調停が成立して沈静化の方向に云々……と伝えられていますが、ともあれ今回の事態は、人口の多さと経済の伸びしろの大きさゆえに内需が大きく、リーマンショックの影響を大して受けなかった国として、新興国の中でも有力な大国として注目著しいインドネシアにおいてすら、やはり格差やインフレの問題からは自由ではないことを赤裸々にしたようにも思われます。たとえ日本中古冷房車が隆盛を極め、約50円以上するその切符を余裕で購入できる中間層が生み出されたとはいえ、それ以上にグローバリズムの中の宝島であるジャカルタを目指してインドネシア全土から集まる労働者が多く、彼らを乗せるエコノミーは日々寿司詰めにして削減の一途、そして賃金の伸び率以上に運賃や生活費の上昇が著しいとしたら、いずれ不満のマグマが爆発し、いつ何時アジア経済危機の際の大混乱が再現されてもおかしくありません。約1年前、中東での大混乱をネット越しに眺めつつ、そんな悪い予想を拙ブログでも記したものですが、果たせるかな1年後には下手をするとそうなりかねない展開が現れてしまうとは……(まぁ今回は、参加者の皆様が日本メーカー製のバイクに跨り [→食えなさ解消よりもさらなる生活水準向上が要求のメイン?]、何やらまったりとした雰囲気も濃厚に漂っていましたが)。幸いにして今回の事態は収束するようですが、良好で密接不可分な日本・インドネシアの関係を維持発展するためにも、進出企業の利益と労働者の利益が正比例するような関係であり続けることを、具体的な利害関係を全く持たない一介の日本人鉄ヲタ観光客ながらも心から願いたいものです……。



 というわけで、昨年夏のジャカルタ撮り鉄の続きは、ブカシ線の表示を掲げた東急8611Fです~。前にメトロ7000・05系に関連して記しました通り、この両形式がデビューして以来のブカシ電留線常駐冷房車運用は、それまでの東急車・メトロ5000/東葉1000系メインが一変、一気にメトロ7000・05系中心となっているように思われるのですが、ひょっとするとこれらの車両は抵抗制御車や界磁チョッパ車と比べて東線・ブカシ線の状況 (電力不足による電圧降下など・・・?) に適合しているのかも知れません (単なる想像ですので悪しからず m(_ _)m)。とはいえ、ブカシ電留線常駐車も基本的にはデポック電車区所属で、運用的にボゴール線とつながっていることから、ボゴール線の主力として君臨している東急8000・8500系がブカシ運用に入ることも勿論あります。ただ、とにかくその確率が下がったことは確かで、とくにかつてのブカシ~ジャカルタ・コタ間機織り急行の跡を継いだかたちで設定されているブカシ~中央線~ジャカルタ・コタ間の列車は、私の滞在中ほとんどメトロ7000・05系でしたので、中央線高架にて撮影中にイキナリ8611Fが「BEKASI」を掲げてやって来たのには逆に仰天しました (笑)。もっとも、昨年末のダイヤ白紙改正の結果、ブカシ発着の電車は東線に一切入らず全てマンガライ~中央線経由となりましたので、今では中央線高架での8500系ブカシ運用を昨年夏よりもはるかに多数目にすることが出来ると思われます。
 それはある意味で、一昨年までの「ブカシ急行・東急8000・8500三昧」の再現かも知れませんが……それ以上に大きな変化として、2年前に見られた8500系の帯色は既に過去のものになったことは無視できないでしょう。この8611Fにつきましても、黄+黄緑帯が検査で剥がされ、青+黄帯になって間もない姿でしたので……。青+黄は昨年バンバン遭遇してすっかり見慣れましたが、2009年に初訪問した際の鮮やかな帯色が失われてしまったのは少々寂しいことではあります。