「京阪で河内ぃ~? 河内ゆうたらアンタ、近鉄・南海・関西線に乗って行くとこやあらしまへんか。京阪沿線から河内に行こ思うたら、京橋から環状線、淀屋橋から御堂筋線に乗らなあきまへん。いくらネタがあらへんからゆうてホラ吹きにもほどがありますわ。読者をなめたらあかん……」
今回の表題をご覧になった関西の皆様は、恐らく思わずこんなことをつぶやかれるでしょうが、いえいえ私はうそ偽りは申しておりません (爆)。一昨日に発売された雑誌『東洋経済』は、最近のビジネス雑誌の一つのトレンドなのか(?)改めて鉄道大特集を組んでおり、さっそく朝の出勤時に田園都市線○K急行の車内でイッキ読みに勤しんだ次第ですが、各記事をつなぐひとつの基調して、鉄道産業は日本国内では人口減により斜陽産業となって行く可能性が高いものの、新興国では今後ますます都市鉄道建設が加速し、日本企業が大胆に「欧加鉄道メジャー何するものぞ」と打って出さえすれば無限の商機が広がっているという趣旨が強調されていたのは、やはり時勢というものでしょうか。
そんな中、とくに鉄道産業の海外進出をめぐる目玉事例として紹介されていたのが、京阪のベトナム進出計画!! 何と、現在首都ハノイで建設に向けた調査・準備が進められている5本の都市鉄道のうち、1路線(5号線)については京阪が運営と沿線デベロッパーとしての役割を全面的に担う計画であるとか……!!
というわけで、河内とは大阪のそれではなくベトナムのHa Noiのことだったのであります (^^;→ちなみに、ベトナム平地の地名は漢字に直せます。フランスに支配される前は漢文を使っていましたので)。『東洋経済』の記事を読み進めてみますと、京阪としては沿線利用客の減少(とくに某大企業の城下町である門真市や守口市の没落は大きく響いていることでしょう……)に悩まされる中、鉄道会社としてのノウハウと樟葉の開発に象徴されるようなデベロッパーとしてのノウハウを組み合わせた新興国での事業推進に注目し、その第一号の事例としてハノイに白羽の矢を立てて事業化準備を進めているとのこと。そして車両面については当面中古車を運び込んで開業コストを下げ、長期的に日本製新車を売り込んで行くためのショウウインドウ的な役割も担わせるという可能性もあるとかないとか……。
すると、ことによると10年以内に(?)京阪の中古電車がハノイを走る?!という、これまで想像すらしなかった光景が実現する可能性がそれなりにあるわけで、うぉっマジか……と思わず胸が熱くなってしまったのですが、その前に日(1・2・5号線。1・2号線は円借款で建設とのこと)、仏・中(各1路線)に共通の規格を定めるのはこれからということで、軌間は統一鉄道と同じメーターゲージ、集電は架線1500Vではなく第三軌条になるとすれば、京阪の電車が引っ越す可能性は大幅に下がることになることは否めません。
何はさておき、他に東急が別都市での事業に興味を持っているらしい等、日本的な民鉄経営&沿線開発の手法が東南アジアで花開いて行く可能性が高く、それに伴い中古電車の活躍の舞台が海を越えてさらに広がる可能性も高いというのは本当にワクワクすることです♪ しかし……恐らく1000系や卵形ボディ車はさすがに古すぎて持って行かないだろうなぁ……と (^^;)。
そういえば、通勤電車のベトナム輸出で思い出すのは……한국がソウルメトロ2号線の余剰中間車をスーパー魔改造のうえ観光列車ハロン・エクスプレスとしてデビューさせ、さらに近郊輸送用としても数編成ハノイに持って行く云々が3~4年前頃に伝えられたものでした。しかしハロン・エクスプレスは、観光列車として乗ってみたいという感情が何一つ湧き上がらず、もっぱら超バッタモノ珍車好き日本人鉄ヲタを喜ばせるためとしか思えない風貌ですので、ハノイ~ハロン湾間の移動手段がほぼ完全に速くて便利なバスに集中している中では誰も乗らずにすぐに運休となり、以来ザーラム工場の片隅に放置されています (Google Mapで確認可)。そしてどうやら、ベトナム国鉄自身が한국からのトンだ贈り物に懲りたようで、近郊輸送用車両はいつまで経っても搬入されず……(苦笑)。한국としては、ソウルメトロ2号線中古車を皮切りにハノイの鉄道シーンで大きな存在感を占め、やがてはハノイをロテム製電車とウリナラ式首都圏電鉄で埋めようと算盤を弾いていたのでしょうが、あんな使えない車両でベトナム人が喜ぶとは到底思えないわけで、むしろこんなバッタモノ車両でもベトナム人は必ず満足するに違いないと思い込んでいたというウリナラ的感覚にニヤニヤせざるを得ません(笑)。
というわけで、日本の官民によるハノイ都市鉄道建設支援・開発が한국とは全く異なり、ベトナム自身のバランスある発展と日越友好に大いに資する素晴らしいものになるよう願ってやみません。あと、競争入札で走り始めた電車が如何にもロテム臭い……という事態にならないことも祈ります。フィリピン・マニラのMRT紫線などは、電装品が日本製でも車体がモロにロテムなどというつまらない組み合わせのようですし……。