北陸新幹線の開業から間もなく1ヶ月。幸いにして事故や大きな混乱等はなく滑り出しは上々にして、速達の「かがやき」を中心に賑わっているようで、全く御同慶の限りとしか言い様がありません。JREの発表によりますと、高崎~軽井沢間の通過客数が、開業前と比較して1.9倍に増えたとか。それはまぁ単純に、今まで越後湯沢経由でほくほく線を利用していた客がごっそり転移したからでもあり (それを見越して上越新幹線は減便)、これに加えて開業祝賀乗車の数字も入っていることでしょう。とりあえず、この開業を機に、どのような旅客需要が今後発掘されるのか、興味深いところではあります。
しかし一方で、並行在来線の「ケチられ方」は哀しい限り……。JRW金沢駅の東西自由通路に面した在来線改札口は、私が先月利用したときには係員が一人しかおらず、サンダバ利用客をはじめ多くの客が長蛇の列……。改札を通過するのに2~3分もかかるとは……(C国の駅かよ! -_-;)。475系の6連が521系の4連に変わってしまったことによる混雑激化・積み残しという話も伝わって来ますし、その一方で泊~糸魚川間のDC単行が長大ホームに停まるさまは寂寥の一言……。
否、そのような並行在来線の凋落物語は、既に盛岡以北や八代以南、あるいは信越線のバラバラ分断などで目の当たりにしているところですが、北陸線の場合とりわけ痛ましさを感じるのは……沿線人口がこれらの地域と比べてもそれなりに多く、新幹線運行ルートではない場所への旅客流動も多かったところ、それらを一律にバッサリと切って不便を強いる度合いが極めて強いためでしょうか。北陸から新潟方面への移動需要に応えていた「北越」が消え、富山からのサンダバも本当に消え……。そして、東海道線の横浜発東京方面行き・午前9時台の列車の約半数で普通車13両が8両に減ってしまい、怒濤の激混みが現出しているのと同じように、それなりに利用客が多い通勤通学時の富山県内の列車を6連から4連にしてしまえば、そりゃぁ~利用客の怨嗟も募るというものでしょう。いっぽう、閑散時の客の少なさを思えば、急行型の3連を近郊型の2連にしてしまいたいという発想も湧くわけで、どうにも難しい問題ではあります。
というわけで、3月の改正を最後に消えた急行型電車は、近距離輸送から中長距離輸送に至るまで、地方都市及びその周辺の移動需要を絶妙に取り込み運び得た存在だったのだなぁ……ということを改めて痛感します。しかし、新幹線や高速道路・幹線道路が整備され、鉄道の経営主体もバラバラに切り刻まれてしまった今、このような急行型というジャンルがJRにおいて再生産される可能性はまずないでしょう。そんなことをつらつら思うとブルーな気分に陥るものですが、今思えば急行型電車の最後の「新塗装」としてブルーマン塗装が選択されたこと自体、期せずしてそんな気分を先取りしたものだったのかも知れません。