地味鉄庵

鉄道趣味の果てしなく深い森の中にひっそりと (?) 佇む庵のようなブログです。

第三ヤンゴン熱鉄記 (9) 旧客BDTZ10300

2015-05-01 00:00:00 | ミャンマーの鉄道


 巷の注目度が多分ゼロだからこそ気合いが入る(笑)ミャンマー客車分類ごっこ。取りあえず大英帝国の置き土産編は終了しましたので、ここからはミャンマー国鉄オリジナル車両を世代別にご紹介して参ります。そこで個人的に、英国DMU崩れを除けば最古参ではないか……と睨んでいるのが、リベット付きの標準客車です。具体的には、オーディナリーの場合BDTZ10300形、アッパークラスの場合BDUEZ10700形が該当します。17m前後の車体に薄めの屋根が乗った切妻車体は、現存するミャンマー国鉄の客車における標準仕様であり、それは現在進行形でミンゲ工場にて新造される客車についても共通なのですが、その基本的スタイルを確立したのが、このリベット付き切妻客車なのではないか……とみております。



 問題は、この鋼体構造やデザインが、如何なる外来の影響のもとで何時頃確立したのか……ということ。戦前の植民地ビルマの鉄道写真をネットでググッて見ても、出て来るのは大方泰緬鉄道にて日本に酷使された英国捕虜の話や、最前部に水タンク車を連結したSLの画像であるなど、どうにもこうにも客車のディティールが分かる写真がなかなか出て来なくて困ります。もっともここらへんは、英国ロンドンにてディストリクト・ラインに乗ってナショナル・アーカイブスを訪れ、当時の英緬鉄道省の資料を漁れば分かるのかも知れませんが、個人的にはこのシリーズの客車、英国の息がかかったものとは思えないのも確かです……。とゆーかどう考えても、日本的なデザインであるとしか思えません。
 実際、戦後日緬両国間で賠償問題が解決して国交が回復されますと、日本製客車が続々とビルマ入りしたわけで(そのシリーズと判断される客車はいずれご紹介します)、そのデザインや構造を参考にしてビルマ国鉄が古い木造客車の類を鋼体化したものの、工作技術の関係でリベット三昧の古めかしい装いになったのではないか……と勘繰っております。ともあれ遺憾ながら、ググッてみたところでそこらへんの真相はなかなか分からず、個人的限界を痛感しておりますので、さらに詳しい考証につきましては、時間と能力をお持ちの方のご尽力に俟ちたく存じます。
 ちなみに、1枚目はBDTZ10363、2枚目はBDTZ10377。いずれもヤンゴン~バゴー間を超鈍足(所要約4時間半) で走る混合列車に連結されており、この列車は他に貨車改造客車も連結した壮絶なボロ……(^^;)。編成の全容はいずれまたアップしますが、この客車の車内がどれほどボロいのかも大いに気になるところです (^^;)。