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ミステリ感想-『UFO大通り』島田荘司

2006年09月03日 | ミステリ感想
~あらすじ~
密室の中で死んでいた男。頭にはヘルメット、首にはマフラー、体にはシーツをぐるぐる巻きにし、天井からは大量のガムテープを吊り下げていた。謎だらけの彼の死と、隣家の老婆が目撃した「宇宙人の戦争」に関係はあるのか?(表題作)
土砂降りの中、傘を車に轢かせて折っていた白いワンピースの女。いったいなぜ?
この謎から御手洗潔はとんでもない真相を導き出す。(傘を折る女)
馬車道時代の御手洗シリーズ中編を2作収録。


~感想~
表題作では自ら現場に赴き、行動する御手洗を。「傘を折る女」ではラジオと電話だけで推理する、安楽椅子の御手洗を描いてみせた。
島田御大ならではの奇想が冴える「UFO大通り」もさすがだが、圧巻は「傘を折る女」。
並の作家ならそこで幕を閉じるところで、さらにもう一ひねりを加えたのが見事。ラジオのネタから思いも寄らない方向に話は飛び、さらっと簡潔な描写で悲哀を描くのはまさにお家芸。ファンは黙って買って良し。


06.9.3
評価:★★★☆ 7
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