~あらすじ~
絶世の美女たちが日々たわむれ遊び暮らす地上の楽園「大観園」。しかしその桃源郷に死の影が忍び寄る。
謎めいた詩をなぞるように、あるいは衆人環視下で、あるいは宙を飛び、あるいは忽然と姿を消し、殺されていく美女たち。はたして犯人は? 鬼計は? 中国の奇書「紅楼夢」を基に描かれる空前絶後の事件。
~感想~
「紅楼夢」は未読だが、中国小説の魅力を存分に味わえる。既に成立し完結した物語を本格ミステリとして組み替えるのは並大抵のことではあるまい。しかも本格ミステリとしても空前絶後の仕掛けが凝らされているのだからたまらない。
作者はこの作品を「本来の意味でのメタミステリ」として突きつけたのだが、その切っ先はただメタミステリに対してだけではなく、本格ミステリそのものの喉元に向けられている。世にはびこる勘違いしたメタミステリへの、いわゆるアンチテーゼに留まらず、本格ミステリ自体を揺るがしかねない問題をはらんだ一作なのだ。
はたしてそれがなんなのか、それは即ネタバレにつながるので明かせないが、ひとつ言うのならば、それは単に学術的な小難しい問題ではなく、本格ミステリのトリックとして、いままで見たこともない魅力的な、実に面白い問題である。
06.9.21
評価:★★★★ 8
絶世の美女たちが日々たわむれ遊び暮らす地上の楽園「大観園」。しかしその桃源郷に死の影が忍び寄る。
謎めいた詩をなぞるように、あるいは衆人環視下で、あるいは宙を飛び、あるいは忽然と姿を消し、殺されていく美女たち。はたして犯人は? 鬼計は? 中国の奇書「紅楼夢」を基に描かれる空前絶後の事件。
~感想~
「紅楼夢」は未読だが、中国小説の魅力を存分に味わえる。既に成立し完結した物語を本格ミステリとして組み替えるのは並大抵のことではあるまい。しかも本格ミステリとしても空前絶後の仕掛けが凝らされているのだからたまらない。
作者はこの作品を「本来の意味でのメタミステリ」として突きつけたのだが、その切っ先はただメタミステリに対してだけではなく、本格ミステリそのものの喉元に向けられている。世にはびこる勘違いしたメタミステリへの、いわゆるアンチテーゼに留まらず、本格ミステリ自体を揺るがしかねない問題をはらんだ一作なのだ。
はたしてそれがなんなのか、それは即ネタバレにつながるので明かせないが、ひとつ言うのならば、それは単に学術的な小難しい問題ではなく、本格ミステリのトリックとして、いままで見たこともない魅力的な、実に面白い問題である。
06.9.21
評価:★★★★ 8