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ミステリ感想-『六色金神殺人事件』藤岡真

2006年09月25日 | ミステリ感想
~あらすじ~
古代、世界の中心は津本にあった――。
奇書「六色金神伝紀」を基にした「六色金神祭」に保険調査員・江面直美が迷い込んだとき、山幸彦が現代に甦る。
次々と起こる不可能犯罪は神のなせる業なのか。「蘇神歌」の正体とは。


~感想~
怪作というよりもバカミス、ダメミスと噂される幻の(?)作品。
もう、むちゃくちゃです。出だしからして「百六十億二千四百万年前の宇宙開闢から大和朝廷の成立までを描いた史書」なんていうトンデモ文書が飛びだし面食らっているところに、宙を飛び壁にめり込んだ死体だの、燃えながら空から降って来た死体だの、とうてい現実的な解決を望めないようなトンデモ殺人が連発。
史書の内容も、地球侵略に来た宇宙人と人類の祖先である六色金神の戦いを描いたSFだわ、その史書を大真面目に研究するわ町おこしの祭りに使うわとやりたい放題。このままでは『コズミック』や『ジョーカー』清涼院流水 になってしまうと危ぶんだところに、脱力の真相が襲いかかる。しかしそれでも気が済まず、事件の裏で進んでいた二重三重の罠が次々と発動して――。
などと書くと大傑作の気がするが(え。しない?)読後感は祭りの後のような気だるさに見舞われること請け合い。
トリックになにひとつ不明な点やアンフェアな点はない。それどころかセリフひとつ描写ひとつ取ってみても、どこまでもフェアかつ大胆不敵。だが感心するよりも「無駄にすごい」と苦笑してしまうのが今作の特徴。たとえばアンパンマンで、バイキンマンが吹っ飛ばされるところだけ世界的CG職人が手がけた超絶リアルなCGで描かれているような。(例え失敗)
普通のミステリや伝奇ミステリだと思って取り掛かると、裏切られること間違いなし。しかしゲテモノ好きにはたまらない、正真正銘バカミステリです。


06.9.25
評価:★★★★ 8
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