小金沢ライブラリー

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ミステリ感想-『首鳴き鬼の島』石崎幸二

2007年08月13日 | ミステリ感想
~あらすじ~
相模湾に浮かぶ頸木島は、「首鳴き鬼」の伝説から首鳴き島と呼ばれていた。
首を切られた鬼の身体が首を求めて鳴きながらさまようという伝説。雑誌の取材で島を訪れた編集者・稲口は、後継者問題で資産家一族が集まる頸木島で、伝説に見立てた連続殺人事件に巻き込まれた。
孤島、嵐の夜、見立て・首切り殺人……。本格ガジェットてんこもりのド本格ミステリ!

~感想~
傑・作。前代未聞の●●●●●●トリック。
石崎幸二5年ぶりの新作、というだけに留まらず、ミステリ史に残りかねない大技を繰り出してくれた。
●●●●●●トリックにはまだこんな大技が残っていたとは。あの石崎幸二がそれを最初に見つけるとは夢にも思わなかった。
氏ならではの軽妙な(というか殺伐としてるのに妙にノリが軽い)語り口ですいすい読み進められ、孤島よりも本土に戻ってからの展開のほうが盛り上がるのがまた面白い。
終盤の横溝的な(? 以下ネタバレ→)真犯人の告白→自殺 までの一連の流れが大真面目に語られているのになぜか爆笑を誘われる。
taipeimonochromeさんのブログによる「犯人の挫折と実行はそのまま、主人公である前座探偵の挫折と眞打ちの探偵が明らかにする事件の眞相という流れを精確にトレースしていた」という指摘はまさに慧眼。
読了後にいろいろ語りたくなる大傑作。


07.8.12
評価:★★★★★ 10
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