~あらすじ~
あの日、愛犬はなぜ暴走したのか? なぜ小さな友人は命を落としたのか?
せつなくほろ苦い青春ミステリー。
~感想~
世界崩壊。
主人公は妄想男。アキバ系というわけではないが、発想がいちいちキモいし、語り口も飄々を通り越してうすら寒い場面もしばしば。
親友のイケメンは二人称が「おたく」で言動は煙にまきまくる。探偵は変人。と、全く共感できない人物造形ながら、繰り広げられる青春群像はそれなりに読ませてくれる。
提示される謎、明かされる真相は小さなものだが見せ方の巧さで最後までひっぱる。作家としての幅の広さを見せたというところだろう。
そもそもこの作品で描かれる事柄は、驚天動地の大事件などではない。当たり前の日常も一皮むけばこれだけの謎が転がっているのだと、人間は誰しも一つや二つ、謎や秘密を抱えているのだという話である。
そうした人生模様から離れ、小説として、ミステリとしてどんでん返しを見せるのが終盤。まさに世界が崩壊した。それも一度目の崩壊で「この程度かよ」「ダジャレじゃん」と脱落させておき、その不意をついての第二撃。恐れ入りました。
『シャドウ』『片目の猿』につながるであろう、日常のミステリ。ふだんミステリになじみのない一般層からも評価されうる、作家としての名声をますます広めてくれそうな良作である。
07.8.16
評価:★★★★ 8
あの日、愛犬はなぜ暴走したのか? なぜ小さな友人は命を落としたのか?
せつなくほろ苦い青春ミステリー。
~感想~
世界崩壊。
主人公は妄想男。アキバ系というわけではないが、発想がいちいちキモいし、語り口も飄々を通り越してうすら寒い場面もしばしば。
親友のイケメンは二人称が「おたく」で言動は煙にまきまくる。探偵は変人。と、全く共感できない人物造形ながら、繰り広げられる青春群像はそれなりに読ませてくれる。
提示される謎、明かされる真相は小さなものだが見せ方の巧さで最後までひっぱる。作家としての幅の広さを見せたというところだろう。
そもそもこの作品で描かれる事柄は、驚天動地の大事件などではない。当たり前の日常も一皮むけばこれだけの謎が転がっているのだと、人間は誰しも一つや二つ、謎や秘密を抱えているのだという話である。
そうした人生模様から離れ、小説として、ミステリとしてどんでん返しを見せるのが終盤。まさに世界が崩壊した。それも一度目の崩壊で「この程度かよ」「ダジャレじゃん」と脱落させておき、その不意をついての第二撃。恐れ入りました。
『シャドウ』『片目の猿』につながるであろう、日常のミステリ。ふだんミステリになじみのない一般層からも評価されうる、作家としての名声をますます広めてくれそうな良作である。
07.8.16
評価:★★★★ 8