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ミステリ感想-『夜明けの街で』東野圭吾

2007年08月30日 | ミステリ感想
~あらすじ~
まもなく時効を迎える15年前の殺人事件。その容疑者と不倫の恋に堕ちた――。
渡部の働く会社に、派遣社員の秋葉がやって来たのは、去年のお盆休み明けだった。その後二人の距離は急速に縮まり、ついに越えてはならない境界線を越えてしまう。しかし、秋葉の家庭は複雑な事情を抱えていた。両親は離婚し、母親は自殺。彼女の実家では15年前、父の愛人が殺されるという事件まで起こっていた。殺人現場に倒れていた秋葉は真犯人の容疑をかけられながらも、沈黙を貫いてきた。犯罪者かもしれない女性と不倫の恋に堕ちた渡部の心境は揺れ動く。


~感想~
見るべきところがなんにもない。
筆力の高さで最後までは読ませてくれるものの、後になにも残らない。不倫の描写は類型的、ミステリ要素は取ってつけただけ。作者はこれをもってなにを描きたかったのか全く解らない。エピローグも意味あるのかあれ。
なんといってもヒロインはスーツを汚したことで謝罪を求められ「それが出来ればどれほど楽か……。素直に謝れるぐらいなら、あたし、こんなに苦しくない──」などと泣きながらのたまってしまう電波っぷりである。しかもその一言に主人公はベタ惚れするのだ。なんだこれ。
完全に言いがかりだが、このジャンル(?)では既に『イニシエーション・ラブ』という不正出の傑作が出てしまっている。それに正面から喧嘩を売るからには、なにか一つでも上回る要素が欲しかったところなのだが……。
ともあれ帯に書かれたような「最高傑作」などでは断じてない。そんなことは書いた当人が一番よく知っているだろうに。


07.8.30
評価:★☆ 3
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