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ミステリ感想-『大相撲殺人事件』小森健太朗

2014年08月03日 | ミステリ感想
~あらすじ~
勘違いから相撲部屋へ入門した留学生のマーク。
恵まれた体格を活かし人気力士へなっていくが、彼の周囲で次々と奇妙な事件が起きる。
取組中の爆殺、密室風呂での首切り、対戦予定力士の不可解な死、女人禁制の土俵上での絞殺、力士のパーツを集めたアゾート、歴史の闇に埋もれた黒力士の暗躍……。


~感想~
面白かったのは設定だけのような。
作者の生真面目な(というほど作者のことをよく知らないが)性格が出てしまったのか、ぶっ飛んだ設定でありながら弾けるところまでは行かなかった。
日本語が不自由な外人力士探偵、彼に恋する親方の娘、ワトスンにも探偵にもなりきれない万年幕下と面白いキャラが揃い、幕内力士の半数近くが殺人事件に巻き込まれ死に絶えるような世界観でありながら、トリックはどれもおとなしめで、発生と同時に見当がつくようなものばかり。
最終章の「黒相撲館の殺人」で作者お得意の馬鹿げた陰謀譚が顔を出し、黒力士の虐げられた歴史が語られるのも時すでに遅し。各編のつながりもいまいちで、取ってつけたようなラストも浮いてしまった。
もっとふざけて、もっと馬鹿らしい話にしても良かったろうに。


14.8.1
評価:★★☆ 5
コメント (3)