~あらすじ~
「犯人は●●だよ」
一行目から真犯人をずばり公開。
絶対嘘をつかない神様探偵が示す意外な真犯人に少年探偵団が迫る連作短編集。
~感想~
子供向けレーベルなのに全く子供向けではないセメントファイトで、子供はもちろん大人の読者にもトラウマを刻み込んだ「神様ゲーム」の神様探偵がカムバック。なんと一行目から真犯人をずばり公開! やっぱり麻耶は頭おかしいな!(満面の笑みで)
なにぶん犯人が明らかになっている状態なのでフーダニットは崩壊しており、謎解きはアリバイ崩しやハウダニットに限定されるように思われる。
実際、はじめの三作は厳しい制約下でもがき苦しむような窮屈な推理で、それぞれ趣向は凝らされているが(麻耶作品にしては)おとなしい印象を受ける。
しかし四作目の「バレンタイン昔語り」から急転直下、この設定でしか成し得ない驚愕の仕掛けが炸裂し、読者の度肝を抜くことは間違いない。短編集のうち一作は必ず年間ベスト級の傑作を入れてくるのだからさすがである。
つづく五作目の「比土との対決」はゲーム「スーパーダンガンロンパ2」の某事件を思い出させる、設定の裏をかく変化球。
掉尾を飾る「さよなら神様」はこれまでの定石を破りつつ、全編に張りめぐらせた伏線を回収し、「神様ゲーム」のようなトラウマを叩き込む――と思いきや凡夫がそんなの関係ねえと神様に一矢報いる(?)ちゃぶ台返しで幕を閉じる構成がにくい。
登場人物はどいつもこいつも、語彙もセリフ回しも思考も推理力もまるっきり小学生じゃないけれどそんなものは瑕疵にもならない。
「神様ゲーム」それ自体がとんでもないアイデアなのに、その神様を使ってこんなトンデモ趣向の連作短編集を仕上げてしまう、麻耶雄嵩はつくづく恐ろしい。
14.8.15
評価:★★★★ 8
「犯人は●●だよ」
一行目から真犯人をずばり公開。
絶対嘘をつかない神様探偵が示す意外な真犯人に少年探偵団が迫る連作短編集。
~感想~
子供向けレーベルなのに全く子供向けではないセメントファイトで、子供はもちろん大人の読者にもトラウマを刻み込んだ「神様ゲーム」の神様探偵がカムバック。なんと一行目から真犯人をずばり公開! やっぱり麻耶は頭おかしいな!(満面の笑みで)
なにぶん犯人が明らかになっている状態なのでフーダニットは崩壊しており、謎解きはアリバイ崩しやハウダニットに限定されるように思われる。
実際、はじめの三作は厳しい制約下でもがき苦しむような窮屈な推理で、それぞれ趣向は凝らされているが(麻耶作品にしては)おとなしい印象を受ける。
しかし四作目の「バレンタイン昔語り」から急転直下、この設定でしか成し得ない驚愕の仕掛けが炸裂し、読者の度肝を抜くことは間違いない。短編集のうち一作は必ず年間ベスト級の傑作を入れてくるのだからさすがである。
つづく五作目の「比土との対決」はゲーム「スーパーダンガンロンパ2」の某事件を思い出させる、設定の裏をかく変化球。
掉尾を飾る「さよなら神様」はこれまでの定石を破りつつ、全編に張りめぐらせた伏線を回収し、「神様ゲーム」のようなトラウマを叩き込む――と思いきや凡夫がそんなの関係ねえと神様に一矢報いる(?)ちゃぶ台返しで幕を閉じる構成がにくい。
登場人物はどいつもこいつも、語彙もセリフ回しも思考も推理力もまるっきり小学生じゃないけれどそんなものは瑕疵にもならない。
「神様ゲーム」それ自体がとんでもないアイデアなのに、その神様を使ってこんなトンデモ趣向の連作短編集を仕上げてしまう、麻耶雄嵩はつくづく恐ろしい。
14.8.15
評価:★★★★ 8