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ミステリ感想-『ゲームの名は誘拐』東野圭吾

2015年02月11日 | ミステリ感想
~あらすじ~
取引先の重役・葛城の命令でプロジェクトから外された広告プランナーの佐久間は、酔った勢いで葛城邸に押しかけ、家出してきたその娘に出くわす。
利害の一致した佐久間と彼女は、結託して葛城に狂言誘拐というゲームを挑む。

03年このミス11位


~感想~
東野圭吾の作品は普通に楽しく読み終えた後に、まったく感想がわかなくて困るケースがままあるのだが、今回もその一例だった。
一言で言えば理系変人クズの主人公に魅力は薄く、ヒロイン兼共犯者(映画版では仲間由紀恵が演じたとか。何このTRICK番外編)は共犯者としても偽被害者としても自覚に乏しく終始イラつかせる存在。
狂言誘拐のパートはわりとどうでもよく、話の本筋は誘拐事件が終わってから。意外な展開が待ち受けているが、やっぱりそう来たかと思う程度の真相で、最後まで面白くは読めたものの、誘拐物として取り立てて優れた点はない。

なにより読者として不満に思うのはやはり(以下ネタバレ→)地獄に落ちるだろうと思っていたクズ主人公が、地獄どころか無事に逃げおおせ、お小遣いももらった挙句に棚ぼた的な写真一枚撮っただけで宿敵にも認められ大勝利! という悪夢のような展開だろう。
最終的に勝利する悪役には、勝利に納得するだけの魅力が欲しいものだがこいつ完全に小物だもんな……。



15.1.31
評価:★★☆ 5
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