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ミステリ感想-『虹の歯ブラシ 上木らいち発散』早坂吝

2015年02月22日 | ミステリ感想
~あらすじ~
高級マンションに居を構える女子高生・上木らいちは、日替わりの固定客を相手に援助交際をしている。
周囲で起こる下ネタ満載の大事件・小事件を謎の推理力でらいちが解き明かす連作短編集。


~感想~
デビュー作「◯◯◯◯◯◯◯◯殺人事件」はトリック・推理・伏線・真相がことごとくお下劣ながら、丁寧な描写と丹念な論理性で話題をさらい2014年の本ミス6位にも輝いた。
それに続く二作目はどんな路線で来るかと期待していたら、お下劣さをさらに研ぎ澄ませてきた。いいぞもっとやれ。
都筑道夫の「泡姫シルビア」シリーズは未読だが、全編がミステリ史上に残るだろう下ネタの山で埋め尽くされ、下トリックが下ロジックで解き明かされていくのは実に痛快。
そのうえ「鳥飼否宇からの麻耶雄嵩…ッ」と唸らずにはいられない驚異の馬鹿トリックが(無駄に)緻密な伏線と論理に支えられ火を噴くのだからたまらない。
エロミスファンはもちろんのこと、下ネタに寛容な紳士淑女のミステリファンも見逃す手はないだろう。


15.2.19
評価:★★★★ 8
コメント (4)