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ミステリ感想-『第三の時効』横山秀夫 ※再読

2015年11月29日 | ミステリ感想
~収録作品とあらすじ~
現金輸送車を襲撃した容疑者は法廷の場で、これまで一言も口にしなかったアリバイを突如として持ち出し犯行を否認した……沈黙のアリバイ
事件後、海外に渡航したため時効が一週間延長されている指名手配犯。第二の時効が刻一刻と迫る中、二係の班長・楠見は「第三の時効」の存在をほのめかす……第三の時効
3つの事件が重なり、新聞各紙が特ダネを抜こうとしのぎを削る中、記者への情報漏洩の疑惑が起こる……囚人のジレンマ
3班の刑事の見張りの目をすり抜けマンションから姿を消した容疑者。抜け穴はどこにあったのか……密室の抜け穴
13年前、子供を操り青酸カリで父親を殺させた犯人。管内でまたも起こった青酸カリ殺人は同一犯によるものか……ペルソナの微笑
一家殺害事件の容疑者に上がった2人はそれぞれ白と黒の車に乗り、唯一の目撃者は白い車を見ていた……モノクロームの反転

03年このミス4位、文春6位、山本周五郎賞候補、東西ベスト(2012)52位


~感想~
初読時に10点満点をつけたが例によって内容をほとんど忘れ再読。
「傑作揃いだった」という曖昧な印象を遥かに超える超傑作群に震撼した。
文庫版で60ページほどの分量ながら6編そろって2時間ドラマ化されたが、それも容易だったろうと思えるほどの、短編の域を超えた濃密な内容ばかりで、これを長編化しないなんて作者は無欲すぎる。
一編挙げるならやはり表題作「第三の時効」で、タイトルの意味はもちろんのこと、事件の展開にも驚かされ、まさしくドラマのラストシーンにふさわしい結末とあいまって、長編を読んだような錯覚にすら陥る。
10年後忘れた頃にまた読もう。


15.11.21再読
評価:★★★★★ 10
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