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ミステリ感想-『家守』歌野晶午 ※再読

2015年11月30日 | ミステリ感想
~収録作品とあらすじ~
ピグマリオンの神話を信じ、人間に生まれ変わる人形を造り続ける人形師。幼い頃、彼の家を訪れそして消えた友人と不可解な父の死……人形師の家で
密室で窒息死した妻。夫は事故死だと主張するが、彼の発見時の様子には不自然な点が多く……家守
認知症で過去と現実の境目を見失った父。息子は亡き弟にそっくりな男を使い、荒療治を施そうとするが……埴生の宿
山里深い離村に保養に訪れた兄弟。東京帰りの村の出身者が突如として自殺を遂げるが、そんな様子も動機もなく不審に感じる……鄙
誰かに見られていると主張する妻。気のせいだと一笑に付した夫は驚くべき事実を知る……転居先不明



~感想~
私的オールタイムベスト短編の作成のため、傑作だったという記憶しか残ってない短編集を再読中。
傑作云々よりもとにかく巧い。設定だけである程度の真相が見えてしまう作品が多いが、作中でいくつも起こる事件や事象を巧みに織り合わせ、一つの大きな流れにつなげる技術がとにかく見事。
ベストはやはり初読時と同じく「鄙」。長編でも全くおかしくない完成度に唸らされた。


15.11.25再読
評価:★★★★☆ 9
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