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ミステリ感想-『訃報は午後二時に届く』夏樹静子

2016年07月05日 | ミステリ感想
~あらすじ~
造園会社を営む大北耕介は、夜中に掛かってきた間違い電話の主を案じ、電話ボックスまで迎えに出向く。
だが同時刻にその近辺で仕事上で因縁のある相手が撲殺され、大北は間違い電話は自分のアリバイを奪うための罠だったかと疑う。

83年文春8位


~感想~
解説が言うように「アリバイ崩し」ならぬ「アリバイ奪取」トリックに嵌まり、どうあがいても絶望の状況に追い込まれた主人公が、いかに窮地を切り抜けるかという物語に引きつけられる。
が、惜しむらくは中盤で起こるある意外な展開が、意外ではあるもののトリックはモロバレ状態で、しかもトリックのみならずそこから事件の真相はおろか結末までほとんど「あっ…(察し)」となってしまうのが残念。
作者はそのトリックを最後の最後まで温存して「一つだけわからないことがある」などと作中人物に語らせているが、少しばかり見通しが甘くはないだろうか。
しかし全てがバレッバレでも話自体は面白いので、ミステリとして過度の期待をしなければ、十分に楽しむことはできるだろう。


16.7.4
評価:★★★ 6
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