小金沢ライブラリー

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このミス2017についてなんやかや

2017年12月08日 | ミステリ界隈
01.今村昌弘 屍人荘の殺人  ★★★★ 8
02.伊坂幸太郎 ホワイトラビット
03.月村了衛 機龍警察 狼眼殺手
04.貴志祐介 ミステリークロック
05.古処誠二 いくさの底
06.有栖川有栖 狩人の悪夢
07.青山文平 遠縁の女
08.辻村深月 かがみの孤城
09.柚月裕子 盤上の向日葵
10.山本巧次 開化鐡道探偵
11.市川憂人 ブルーローズは眠らない  ★★★★ 8
12.深町秋生 地獄の犬たち
13.宮内悠介 あとは野となれ大和撫子
14.藤田宜永 タフガイ
15.鮎川哲也 鮎川哲也探偵小説選
16.岡田秀文 帝都大捜査網
17.米澤穂信 いまさら翼といわれても
18.相沢沙呼 マツリカ・マトリョシカ
18.太田愛 天上の葦
18.佐藤正午 月の満ち欠け


「屍人荘の殺人」がかの「容疑者Xの献身」以来の三冠達成となった。
某先生は自身も新作を出してそこそこ評判を呼んでいたがランク外になっており、また噛み付いたりしないだろうか。どこからどう見ても「屍人荘」は本格だから大丈夫だとは思うが。

それはともかく昨年はこのミス・文春・本ミス・早ミスは4つ揃って1位が異なり話題を呼んだが、10月出版のため早ミスは対象外となり、来年の今頃に「屍人荘」をランクインさせるという失態を演じることとなった。
そもそもミステリ業界は、投票者に直近のインパクトを与えるためこのミス期限である10月に合わせて意欲作を出す傾向にあり、9月で締め切る早ミスはしばしば話題作を逃すことがあったが、今年は海外版の方でも準三冠(二冠+2位)を達成した「13・67」が9月末出版だったため取りこぼしてしまい、しかも来年のランキングにも対象外という有様で、早ミスの世界線には「13・67」が存在しなくなってしまった。あわせて五冠を華麗にスルーという醜態をさらしては、自分も前々から主張している通り、早ミスはいらない子であるということを満天下にアピール出来たのではなかろうか。

このミスに戻ると、例年通り人気作家が上位に名を連ねるなか久々に、本当に久々に古処誠二が出てきて驚いた。戦争小説専従になったと思っていたが、本作は戦争を描きつつもミステリとして優れているそうで興味津々。
昨年「半席」でランクインした青山文平はまたも時代小説で7位に。官能小説みたいな表紙でなければもっと売れたのでは。

自分が読んだのは1位の他に「ブルーローズ」だけ。今年は結構読んだのになあ。「帝都大捜査網」は微妙な評判だったから外したのに。伏線皆無の性癖レスバ…「ルビンの壺が割れた」や「N、N?」は意外にも(そう意外にも)ランクインせず。投票者にはまだ良識が残っていたらしい。
しかしそこまで傑出していたとは思えない「屍人荘」が総なめしたことからしても、やはり今年は不作の年だった、と言えるだろう。
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