~あらすじ~
類まれな推理力を持つ多根井理は、自殺した大学の先輩の父親から、遺品の原稿を預かる。
そこには先輩をモデルにした人物の他、理だけが本名で登場しており、実際に起こった連続殺人事件が描かれていた。
先輩の自殺の動機はその物語の中にあるのか?
1991年このミス17位、日本推理作家協会賞候補
~感想~
あるトリックにいの一番に気づき、ただの捨てトリックだと思っていたら物の見事にメイントリックだった。
通常ならトリックに気づいても評価は変わらないが、事前にヒントを出し過ぎだし、これに引っ掛かる読者が果たして何割いるのだろうかと危ぶむほどにわかりやすくもあるため、正直いただけない。
山ほどの伏線や挑戦状を付すフェアプレイぶり、ガチガチの論理展開は素晴らしいのだが、明らかに伏線で使われる気満々の「輪ゴムが目にするのも嫌なほど苦手」とか「裸足主義」などの設定も強引すぎるし、いかんせん端から結果のわかっている消化試合を見せられている感が強かった。
また最後に明らかになる動機が全ミステリの中でも上位を争うほど酷いもので「言えよ!! 戦えよ! 絶対に守りたいものがあるんだろ!?」と主人公を励ます相棒キャラのように声を大にして叫びたくなる。いや本当に言えって! 言えばいいじゃない!!
到底、看過できない欠点は多々あるものの、パズラーとしての魅力は非常に大きく、琴線に触れる読者も多いことだろう。
入手困難だが興味があればぜひ探してみることを勧めるし、その際にはあのトリックに気づかないことを祈るばかりで……いや絶対気づくよなあ、あれは……。
17.12.5
評価:★★★ 6
類まれな推理力を持つ多根井理は、自殺した大学の先輩の父親から、遺品の原稿を預かる。
そこには先輩をモデルにした人物の他、理だけが本名で登場しており、実際に起こった連続殺人事件が描かれていた。
先輩の自殺の動機はその物語の中にあるのか?
1991年このミス17位、日本推理作家協会賞候補
~感想~
あるトリックにいの一番に気づき、ただの捨てトリックだと思っていたら物の見事にメイントリックだった。
通常ならトリックに気づいても評価は変わらないが、事前にヒントを出し過ぎだし、これに引っ掛かる読者が果たして何割いるのだろうかと危ぶむほどにわかりやすくもあるため、正直いただけない。
山ほどの伏線や挑戦状を付すフェアプレイぶり、ガチガチの論理展開は素晴らしいのだが、明らかに伏線で使われる気満々の「輪ゴムが目にするのも嫌なほど苦手」とか「裸足主義」などの設定も強引すぎるし、いかんせん端から結果のわかっている消化試合を見せられている感が強かった。
また最後に明らかになる動機が全ミステリの中でも上位を争うほど酷いもので「言えよ!! 戦えよ! 絶対に守りたいものがあるんだろ!?」と主人公を励ます相棒キャラのように声を大にして叫びたくなる。いや本当に言えって! 言えばいいじゃない!!
到底、看過できない欠点は多々あるものの、パズラーとしての魅力は非常に大きく、琴線に触れる読者も多いことだろう。
入手困難だが興味があればぜひ探してみることを勧めるし、その際にはあのトリックに気づかないことを祈るばかりで……いや絶対気づくよなあ、あれは……。
17.12.5
評価:★★★ 6