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ミステリ感想-『開化鐵道探偵 第一〇二列車の謎』山本巧次

2019年04月11日 | ミステリ感想
~あらすじ~
明治18年、大宮駅で脱線事故が起こり、車内から千両箱が発見される。
小判は小栗上野介の隠し財宝なのか? 脱線事故の下手人は?
井上勝鉄道局長は、元八丁堀同心の草壁と鉄道局員の小野寺に再び捜査を命じる。
開化鐡道探偵シリーズ第二弾。


~感想~
前作も良く出来てはいたもののこれがなぜ2017年にこのミス10位にという驚異的な地味さだったが、本作はそれに輪を掛けて地味。超地味。正直言ってミステリ的には自分には何をどう楽しめばいいのか見当もつかない。
扶桑社の昭和ミステリ秘宝でももう少し派手だと思うくらい地味で、ワトスン妻の綾子の活躍も某月輪龍太郎夫人と比べては余りに地味でキャラも薄い。それはまだしも真相も「ドキッ!丸ごと脇役!モブだらけのオリエント急行」みたいな真相ではっきり言ってどうでもいい。

まかり間違っても今回こそはこのミスにランクインすることはないだろうが、ちょっと真剣にミステリとしてどこをどう楽しめばいいのか識者に伺いたいくらいである。鉄道とか時代背景とかはまあそれなりに楽しめたが、たとえば読んで一週間後に読者へ犯人が誰だったか聞いたら、正解できるのは半数に満たないだろうと思えるほどで、まさか第二作でミステリとして前作を大幅に下回って来るとは思わなんだ。
作者の鉄道愛はもう十分に伝わったので、次回はもうちょっと事件と解決の方にも注力してもらいたいものである。


19.4.9
評価:★ 2
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