~あらすじ~
私立探偵の沢崎は、依頼人に会った直後に警察に身柄を拘束される。
依頼人宅は誘拐事件のさなかにあり、沢崎は犯人に陥れられ共犯者の疑いを掛けられたのだった。
さらに沢崎は犯人に身代金の運搬役を命じられ、事件の渦中に巻き込まれていく。
1989年このミス1位、文春2位、直木賞、日本推理作家協会賞候補、東西ベスト(2012)26位
~感想~
超かっこいい私立探偵沢崎が失意の底に沈みながらそれでもなお立ち上がり真実を掴み取る大人の童話第二弾。たとえば銭湯でひとっ風呂浴びてコンビニでビール買って帰りました、だけでも超絶面白く書けるだろう筆力で、絶えずニヒルな皮肉を吐き、警官に罵られようとも悪を許さず信念を曲げず、圧倒的に不利な状況で次善の策を打ち続け、憧れの目を向ける少年に甘い顔を見せず叱咤し、経費以上の報酬は受け取らず、そして必ず真実を突き止める沢崎の勇姿を描き切る。
かっこいい…なんてかっこいいんだ。かっこよすぎて今回も現実感が皆無!
ハードでボイルドな沢崎の活躍と、一字一句見逃せないような重厚かつ洒脱な描写を読んでいるだけで楽しいのに、ちょっと入り組みすぎた前作とは打って変わり、一つの誘拐事件を主軸に据えた非常にわかりやすい構成で、しかし斜め上の展開が終始続いて行き、全てが終わったその後には、本格ベスト26位に上がったほどの思いもよらないどんでん返しが現れる。
ハードボイルドとして満点なのに、ただ読んでるだけでもストーリーその他どうでもよくなるほど文章が面白いのに、それでいて本格ミステリとして予想外の真相が付いてくる。こんなの10点だろ10点。
また今で言うLGBT問題も出てくるのだが、刑事たちが理解不能とか、偏見丸出しの発言をする一方で、沢崎は中立かつ冷静な姿勢で対処してて、30年前の原尞の先見性と沢崎というキャラの完成度の高さ!と唸ったことを付記しておく。
19.4.23
評価:★★★★★ 10
私立探偵の沢崎は、依頼人に会った直後に警察に身柄を拘束される。
依頼人宅は誘拐事件のさなかにあり、沢崎は犯人に陥れられ共犯者の疑いを掛けられたのだった。
さらに沢崎は犯人に身代金の運搬役を命じられ、事件の渦中に巻き込まれていく。
1989年このミス1位、文春2位、直木賞、日本推理作家協会賞候補、東西ベスト(2012)26位
~感想~
超かっこいい私立探偵沢崎が失意の底に沈みながらそれでもなお立ち上がり真実を掴み取る大人の童話第二弾。たとえば銭湯でひとっ風呂浴びてコンビニでビール買って帰りました、だけでも超絶面白く書けるだろう筆力で、絶えずニヒルな皮肉を吐き、警官に罵られようとも悪を許さず信念を曲げず、圧倒的に不利な状況で次善の策を打ち続け、憧れの目を向ける少年に甘い顔を見せず叱咤し、経費以上の報酬は受け取らず、そして必ず真実を突き止める沢崎の勇姿を描き切る。
かっこいい…なんてかっこいいんだ。かっこよすぎて今回も現実感が皆無!
ハードでボイルドな沢崎の活躍と、一字一句見逃せないような重厚かつ洒脱な描写を読んでいるだけで楽しいのに、ちょっと入り組みすぎた前作とは打って変わり、一つの誘拐事件を主軸に据えた非常にわかりやすい構成で、しかし斜め上の展開が終始続いて行き、全てが終わったその後には、本格ベスト26位に上がったほどの思いもよらないどんでん返しが現れる。
ハードボイルドとして満点なのに、ただ読んでるだけでもストーリーその他どうでもよくなるほど文章が面白いのに、それでいて本格ミステリとして予想外の真相が付いてくる。こんなの10点だろ10点。
また今で言うLGBT問題も出てくるのだが、刑事たちが理解不能とか、偏見丸出しの発言をする一方で、沢崎は中立かつ冷静な姿勢で対処してて、30年前の原尞の先見性と沢崎というキャラの完成度の高さ!と唸ったことを付記しておく。
19.4.23
評価:★★★★★ 10