「おはよう。朝刊にもいろいろと新しい動きが出ているね。すごいスピードだ」
「あたいは亀井静香の怨念ビームが命中したんだと思うわね。老いの執念が凝り固まってビームになってホリエモンを襲ったんだと思うわ。選挙の恨みをはらすわけよ」
「なるほど、それもあるだろう。いずれにしても複合原因があるだろうからね。亀井氏はもともと警察官僚だから、裏から後輩の官僚に働きかけただろう」
「しかし、法務大臣はどうしちゃったのかな。こういう社会的影響の大きい事案は必ず高等検察会議とかいうのを開くんじゃない。赤信号みんなで渡ればこわくない、と官僚は言うわけだ。
それに大臣にも当然事前に了解を通しておくんじゃないの。新聞論調を見るとこの事件は首相に不利なように書いている。法務大臣、名前はなんていったっけ、彼は小泉首相の老いたる忠犬でしょう。たしか官房副長官だったか、平壌に言ったときもいつも小泉首相の傍でカメラに写るようにうろうろしていた」
「もし、首相をすっ飛ばしていたら天下大乱のきざしだね」
「昨日帰りに話したように、僕はやはりアメリカがリードしていると思うね。サーバーを手際よく押収したり、メールの履歴をがっちりと抑えているでしょう。日本の検察でこういうIT捜査を行う能力があるのかな。アメリカの指導を受けているんじゃないかな。聞くところによると、サーバー本体は押収して、一応業務は続けられるようにミラーサーバーに内容をコピーしてやったりしているという。それも複数の捜索場所で。日本の検察では無理じゃないかな」
「エシェロンとかで、メールのやり取りはほとんど捜索前に解明されたりしていたかもしれない」
「宮内とかいう財務担当の切れ者が仕切っていたらしいが、昨日シナから帰国したと新聞にある。金正日の訪中と重なるね。偶然かな」
「そりゃー偶然でしょうよ」とピン子はいった。
「どうかな、かれは去年のフジテレビ買収劇で600億円の追加資金を調達するために、韓国や香港にいったりしている。どういう連中が金をだそうとしたのかな。マネーロンダリングにはIT企業のマネーゲームは最適だからね」
「とにかく、これだけ早く事態が動けば毎日が楽しみダハテ」
「なーに、ダハテっていうのは」
「これはしたり、北関東の訛りが出てしまった」と口を押さえる課長であった。