東方のあけぼの

政治、経済、外交、社会現象に付いての観察

文芸春秋って西武ライオンズみたいだね

2007-03-11 20:46:19 | 社会・経済

文芸春秋の表紙に「衝撃の新発見 小倉侍従日記 昭和天皇 戦時下の肉声」と場末の映画館の看板のような見出しがおどる。4月特別号とある。4月号とどう違うのかね。

俺の知っている人かと中を見る。解説半藤一利とある。見た名前だ。そうだ、去年宮内庁長官だった人の富田メモとかいう真贋の分からない天一坊みたいな騒ぎの時に文春の御用を務めたひとだ。たしか文芸春秋のOBなんだね。

半藤氏の解説によると小倉さんという人は明治32年生まれだそうだ。1899年ね。そうすると今年108歳になられる。存命なら随分と長寿だ。半藤氏の文章では生年だけしか書いていない。死亡していると勝手に決めては失礼だ。しかし、109歳の方から日記を入手したとなると詐取したのではないかとも考えてしまう。

まあ、ここは長寿のかたであっても80歳前後で他界されたと考えるのが妥当だろう。なぜ没年を書かないのだろうね。生きておられればそのむねを普通の解説文なら書くものだ。

亡くなられた後で遺族が日記を保存していたものが、どういうわけか文芸春秋の手に落ちたわけだ。文芸春秋がどういう経緯で入手したかを解説で書くのが普通だろう。よく著名人がなくなると、遺族が故人の遺言だとしてメモや遺品、収集していたものなどを研究用に寄贈したなんていうニュースがある。あるいは子供、孫の代になって遺族が保管を公的機関や研究機関にゆだねたなんていう報道がある。

前回の富田メモのときもそうだが、今回もニュースもメモの入手経緯を明らかにしないで場末の映画館の看板みたいなキャッチコピーをつける。まともな出版業者のすることではない。もっとも、去年の富田メモのときは日経との連携だったが。しかもそれが有名な経済人とか学者とか維新の元勲の遺品というのではない。ことは聖上にかかわるものだ。こんな解説はないだろう。

小倉という人は「最初の平民出身の侍従であった」そうだ。そういえば、例の富田もと宮内庁長官も平民の出身でしたね。公家とか旧華族の場合は、家というものが確りしているから顕職を務めた先祖の書いたものなどはしっかりと管理保存している。取り扱いにも意を用いる。

「平民」となると、本人はメモは書きっぱなして整理処分を生前にしないし、死亡すれば遺族も粗略にあつかう。遺産相続が終わればどうでもいい。西武ライオンズが学生やアマチュアの選手に日ごろから金品を渡して便宜を図っていたことが話題になっているが、文春なんかは旧奉仕者の平民の遺族に幅広く、西武ライオンズみたいに接触して今回のような成果をあげるのだろうね。

それにしても不思議なのは読者は入手経緯も不明な、しかも出版社が恣意的に抜粋したものを喜んで信じるのだろうか。

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