ハードボイルド小説での真犯人美女の始末の仕方だが、作家別ではなくて横断的にカテゴライズしてみた。
* 犯人を警察に渡さず、自殺に追い込む。
例1 チャンドラー 「長いお別れ」のドリームガール、アイリーンの場合
方法は服毒自殺 ハードボイルドは殺人も自殺も拳銃が多いのだがチャンドラーの場合は時々青酸化合物を使ったり睡眠薬を使ったりする。
犯人との肉体関係 キスのみ 誘惑を退ける
例2 ロバート・パーカー 「HUNDRED-DOLLER BABY」 拳銃自殺
犯人との肉体関係 何もなし、誘惑を退ける
*犯人を射殺する
例 ミッキー・スピレーン 「裁くのは俺だ」 45口径の大砲拳銃で銃弾を女の下腹にもろにぶち込む。スピレーンのスピレーンたるゆえんだ。
犯人との肉体関係 ネッキングまで。スピレーンというとあっち行ってホイ、こっちむいてホイとやたらにしまくるということで顰蹙をかっているが、犯人に設定したキャラとは何回会ってもヘビー・ペッティングまでと決めているようだ。スピレーンの定めたルールなのだろう。あるいは西部劇の倫理かな。
ハメットのマルタの鷹のように犯人を警察にお渡しするというのは、いかにもしまらないしアメリカ的でないということで進化した結果なのだろう。リンチの国でもあるしね。自警団の国でもある。