この本は日本の真珠湾攻撃で終わっている。
続編として日米開戦から戦争末期のマリアナ諸島からのB29爆撃実施までのドキュメントがほしいものだ。アメリカ側からみたものと日本側からみたもの。
フライングタイガーを使うシナ本土からの爆撃は実現しなかった。その理由は推測するに
1・日本のシナ本土実効支配は日米開戦前よりか広がっていてほとんどシナ全土を掌握していた。すなわちゲリラ航空隊が使用できる飛行場はシナ本土になくなっていた。太平洋方面でのアメリカ軍の反攻により、日本が劣勢になってもシナ本土の実効支配は変わらなかった。
くわえて、1940年には親日的ないわゆる南京国民党政府が設立されていた。
2・航空機、人員、弾薬の輸送はいわゆるビルマ・ルートが想定されていたが、日本軍は開戦後すぐにビルマを占領した。また、東南アジア全域を制圧した。アメリカ領土だったフィリピンを含めて。したがって、爆撃計画は実行不可能となった。
ま、続編ではわたしの上記の仮説を確かめてほしい。
しかし、当初の非人道的な焼夷弾を使って民間人居住地区を無差別に襲うという方針は引き継がれたわけである。
蛇足だが、事実のドキュメントはともかくとして、本書はアメリカの行動を正当化するトーンで貫かれている。フライングタイガーの計画が実行されていれば、アメリカは真珠湾を攻撃されなかっただろうというのだ。
さらに現代のイラク・アフガニスタン戦争でもアメリカを正当化している。その出汁(だし)に真珠湾攻撃やフライングタイガーが取り上げられている。が、ドキュメントしては興味深い内容だ。
そして将来も宣戦布告なき先制攻撃(いわゆるだまし討ち)を正当化しているアメリカ極右の立場に理解をしめしている。
わたしにはこの本で参照されているドキュメントを検証することはできないが、ぜひ日本の歴史研究者にフォローしてもらいたい。
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