秋葉原ダガーマン 加藤智大の衝撃:
派遣労働者の実態というのは江戸時代の渡り中間(ワタリチュウゲン)みたいなものだね。いろんな旗本のところを短期雇用で渡り歩く。木刀を腰にさして供を務める。
あるいは、浪人かな。裏長屋で傘張りをしたり楊枝を削って内職をしている。そして必死になって仕官(正規雇用へのお直り)の道を求めている。
企業の御用組合員と自治労の役人、身分保障なる不届きな庇護のもとにあるキャリア官僚が旗本であり藩士だ。要するに士分である。
大体、このアナロジーを訂正する必要はあるまいと思われる。勿論平成の御世では、気楽でいいと好きでフリーターをしている人もいるだろう。江戸時代だっていたのさ。宮使えは嫌だといってキメテイタのさ。
しかし、多数はそうではないだろう。
とにかく事務職の大部分までが派遣で、しかも就業人口の過半をしめるというのは異常であり不健全だ。それも一握りの御用組合員のハイレベルな生活を守るためというのは。
正常に戻すには正規雇用の賃金と役人の給与を大幅に下げるしかない。派遣制度で排他的な特権を守るのは、組合員たちの高収入を守るためだからね。明治維新で藩士、旗本の禄は廃止された。そしてわずかな証書が渡されたわけ。
これは明治維新がさけて通れなかった道、成功への道、日本再生のみちだったのだ。版籍奉還と連動していたわけだが、すばらしく成功した政策だった。
わたしは司馬遼太郎というのは胡散臭さしか感じないが、その一つの理由はこのように重大な変革に全然気がつかなかったことだ。
日本の賃金水準が適正レベルに下がれば、円高は解消、海外との経済摩擦も減る。東アジアや東南アジアからの羨視もなくなる。特に東アジアのいう「歴史、歴史」という非難の連呼は羨視の裏返しだよ。その証拠にバブルの前にはそんな騒ぎは一つもなかった。金持ちはけしからん、とは言いにくいからね。インパクトもなくて、言うほうが情けなくなるからだ。
大きな問題があるというのだろう。分かってますよ。猫も杓子もバカ高い住宅ローンを組んでいる。いわばそれが日本経済の虚飾のバックボーンになっているわけだ。だから賃金水準を下げたら日本版サブプライムローン問題が起こるという。
分かってますよ。そこを乗り切る知恵をださなきゃならんのだ。
+ 今日土曜日の日経新聞に派遣や非正規雇用関係の記事がいくつかある。大機小機というコラムによると、非正規雇用者の総雇用に占める割合は33パーセントだそうだ。日経の別の記事によると(日雇い派遣原則禁止検討という記事だが)、非正規雇用というのはさらに細分化すると派遣、契約社員、パート・アルバイトとなるらしい。その比率がグラフにあるが大部分はパート・アルバイトだね。次が契約社員、一番少ないのが派遣だ。グラフのメモリではパーセントの数字は分からない。
パート・アルバイトはなんとなく分かるが、派遣と契約社員とはどう違うのかね。いちぶオーバ-ラップする概念のようにも見えるが。雇用契約が派遣会社と直になされているのが派遣かな。
ところで彼らの年金はどうなっているのかな。厚生年金で派遣会社が徴収を代行しているのか。国民保険なのか。派遣先の会社が代行することはないだろうがね。
派遣やアルバイトは頻繁に職を変わるのが常だろうし、いずれにせよ年金業務は国にとっても膨大な量になる。大変だろう。ただでさえ、記録がいい加減だ。非正規社員が増えたら年金業務はこれから幾何級数的に増えるだろう。それに耐えるだけのコンピュータがあるのかな。
終身雇用でその会社がすべての記録をもっていれば、年金の記録に間違いが起こることもあるまいが、非正規雇用が増えて、頻繁に職を変えたり、その間にブランク(失業期間)があったりすると対応できないんじゃないの。