そりゃおかしいぜ第三章

北海道根室台地、乳牛の獣医師として、この国の食料の在り方、自然保護、日本の政治、世界政治を問う

そりゃ、市場経済に合わんだロ

2006-08-19 | ゲノム編集

アメリカなどを除いて、農業は先進国では厄介者扱いになっています。商工業の発達は、幾何級数的に伸びることが可能ですが、農業はせいぜい平年作を2~5%上回る程度でしょう。しかも気候の変動を直接受けます。それでいて農業すなわち食料を必要としない国家など存在しません。先進国は、途上国の安い労働力に支えられた農産物を輸入するか、国内の農業者の賃金を抑制するか不健全な工業的な農業を奨励するしかないのです。

一方、アメリカやオーストラリアなどが農業国として世界の農産物の市場価格をリードしています。これらの国々は、ヨーロッパである程度産業革命などを経て機械依存の農業が可能になってから、先住民を殺戮し土地の収奪が行われた「新大陸」に侵略した背景があります。日本でも、規模は小さいのですが北海道がこの傾向にあります。北海道が大型農業が定着した背景に、アイヌ人などの先住民族がいたて駆逐(同化)したことを忘れてはなりません。大型農業は、価格を抑えることも見た目にきれいにすることも、規格通りのものを作ることができます。まさしく市場原理に合った農産物を生産することが可能です。ここでは農産物の内容は問われることはないのです。

農業者は少数になりながら、日本の僻地を支えています。高齢化は均等に進行しない。農村は少子高齢化が最も早く進行するところです。民主主義が、多数決を基本とするなら、農業はその論理にはそぐわない。人間の健康と環境保全を考え、自給率を高めることが独立国家の使命です。つまり、農業は民主主義も市場原理からもはずして取り組まなければならない産業なのです。そうした健全な思想を持った政治家がこの国にはいません。拙書「そりゃないよ獣医さん」参照ください。

そりゃないよ獣医さん―酪農の現場から食と農を問う

そりゃないよ獣医さん―酪農の現場から食と農を問う
価格:¥ 1,680(税込)
発売日:2005-10

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