そりゃおかしいぜ第三章

北海道根室台地、乳牛の獣医師として、この国の食料の在り方、自然保護、日本の政治、世界政治を問う

そりゃ、家畜より大食いだろ

2006-08-13 | 環境保護と循環

石油価格の高騰でバイオ燃料がにわかに注目を受けている。ガソリンに添加するあるいはエタノールで走る車のためのエタノールを作り出す、コーン(トウモロコシ)などの生産ががかなり具体的に動き出しているようである。石油の相対的な力の低下を目論んでいるようであはあるが、アメリカは真剣な見通しも立てているようである。エタノール大国の、ブラジルを追いつくことが当面の目標だと考えられる。

コーンが、燃料に回ることで家畜の頭数の削減や畜産品の高騰なども、計算済みのようである。家畜に大量の穀物を与えるばかりか、今度はそれを燃料にしようというのである。そのような目的で、穀物を生産するとなるとただでさえ、大型大量生産の弊害が言われる生産スタイルに、曲がりなりにも動物に与えているときに考慮されていたようなことは、工業製品にするとは思えない。エタノール生産のために作付けされた穀物による環境汚染が当然のように発生するが、当然工業製品への国民の反応は弱くなる。

環境に配慮されたバイオ燃料。クリーンなイメージばかりが先行するが、よく考えるとこの地球上に10億の飢える人間がいる。車が穀物を食べる結果になるが、ここにはどうして倫理的な作用が働かないのであろうか。私は、獣医師として日本などの先進国の家畜が、大量の穀物を消費している状況を案じている。一般家庭の乗用車一台で、年間20名の消費量に匹敵する穀物を消費するという試算もある。排気ガスがなくて一見、クリーンに思えるエタノールエンジンには大きな問題があると思える。

拙書「そりゃないよ獣医さん」新風舎刊参照

そりゃないよ獣医さん―酪農の現場から食と農を問うそりゃないよ獣医さん―酪農の現場から食と農を問う
価格:¥ 1,680(税込)
発売日:2005-10

コメント (1)
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