10年ほど前までは、イスラム教の宗派間の対立はそれほどではなかった。サウジアラビア以外の中東に影響力を持ちたいアメリカは、これに、シーア派とスンニー派の対立を浮き立たせる形で利用してきた。ソビエトのアフガニスタン侵攻に抗するため、シーア派のイランを利用して来たことはよく知られるところである。その後も、フセインを押さえ込むためにシーア派を取り込みのかかった。アメリカ軍がイランに侵攻したら、バグダットではシーア派がアメリカ国旗を振って”開放”を歓迎するシナリオを描いていた。結果は、只単にアメリカ暴力がイラク国内を席巻するだけとなった。
イスラエルのユダヤ人は400万にといわれているが、アメリカ国内には600万人のユダヤ人がいる。アメリカがこれだけを見ても、中近東を均等に見ることができない姿が見える。9.11以来、アメリカは「テロ」という言葉だけで、すべてを断じようとしている。ヒズボラがテロでイランがテロ支援国家と断じている以上、話し合いすら持つことができない。その仲介も、ライスの無能さと国連の無力が際立つばかりである。
かつてアメリカは”レッドパージ”で、少しでもソビエト寄りやチャップリンなど民主的な発言をするものに対 して「アカ」として排斥した。その中で中国研究者をすべて排除し、ヴェトナム戦争の判断する、理性をなくしてしまっていた。いまこの国は同様の過ちを犯そうとしているかに見える。