イスラエルが仕掛けたかレバノンのヒズボラが仕掛けたのか、実態はわからないが約5倍ほどの死者の数に反比例して、この戦争は明らかにイスラエルが失ったものが多い。非人道的な空爆、一般人の大量殺戮など国際世論の逆風だけでなく、当初目的としていたヒズボラの戦闘能力を殺ぐことすらできなかったようである。中東最大の圧倒的戦力を背景に、数日で終わるとの目論みは見事に砕かれ、ヒズボラの思わぬ攻勢にたじたじであった。戦争が終わった後に、イスラエル兵が書面で自国の首相に、戦争を本気でやる気がないと抗議文を提出する始末である。
ヒズボラは住宅がイスラエルによって破壊された場合には、平均的な収入の2年分に相当する補償を行っている。ヒズボラの豊かな財政と豊富な兵器がイランによって担保されている事実は、レバノン政府の存在すら危うくするものである。レバノン国内での、ヒズボラの評価が高まる結果にもなっている。ナスララ師が勝利宣言するする程である。
日本の総理が全く無視されたのに比べると多少はましだとは思われるが、調停に出たアメリカのライス国務長官の無能ぶりや、国連の非力があからさまになった。このような状態では今後の中東情勢は、いっそうの混迷が進むことであろう。
こんな状況で、ヒズボラは武装解除する気など毛頭なく、どの国もいかなる団体も、自らの勝利以外の戦闘終結を考えていない。武力以外の解決方法しかないことを、彼らに教えられるのは日本のような非戦闘国家であるのだが・・・