弱肉強食は、同種で行われることはまずありません。ライオンがレイヨウを食べるのは異種間の戦いです。これは人が魚を食べることと大差ありません。ライオンやレイヨウが同種間内で戦うのは、より強い遺伝子を残すための戦いでありお互に殺しあうものでもありません。強いとされるライオンやヒョウなどは、食を得るための手段としての武器を備えているに過ぎません。彼らは食物連鎖の上位に位置しているだけです。環境などの急激な変化などがあると、レイヨウなどは個体数を減らして対応できますが、食物連鎖の頂点に立つものはすぐに危うくなります。絶滅危惧種の多くが、トラやシマフクロウなど食物連鎖の頂点に立つものであることを見ると良くわかります。
人間社会での競争原理は勝つか負けるかの二つに一つのように言われますが、勝つのが一人に対して、負けるのは数千あるいは数十万になるかもしれない。勝つものが極めて少数なのは、食物連鎖の頂点に立つものと同じことです。弱いのはいつも地位を案じている不安を抱く支配者なのです。
産業でも同様の構造になっています。少数の2、3次産業に比べて、社会的に下に置かれ弱者に見られがちな1次産業は本当の意味でなくてはならない強い産業です。拙書参照ください。
そりゃないよ獣医さん―酪農の現場から食と農を問う 価格:¥ 1,680(税込) 発売日:2005-10 |