そりゃおかしいぜ第三章

北海道根室台地、乳牛の獣医師として、この国の食料の在り方、自然保護、日本の政治、世界政治を問う

何が強いか

2006-08-23 | トランプ

弱肉強食という言葉が乱用されています。弱いものが強いものに食べられるとする、基本的な考え方が間違っています。小泉内閣が格差社会を作り出した市場原理は大いに批判されてしかるべきですが、ここに強いものが勝ち弱いものが負ける、こうれは生物が地球上で長年培ってきた真理として、市場原理の正当性の保管論理として当然のように引用しています。これは真理でもなく、進化論を誤って使ったものです。

弱肉強食は、同種で行われることはまずありません。ライオンがレイヨウを食べるのは異種間の戦いです。これは人が魚を食べることと大差ありません。ライオンやレイヨウが同種間内で戦うのは、より強い遺伝子を残すための戦いでありお互に殺しあうものでもありません。強いとされるライオンやヒョウなどは、食を得るための手段としての武器を備えているに過ぎません。彼らは食物連鎖の上位に位置しているだけです。環境などの急激な変化などがあると、レイヨウなどは個体数を減らして対応できますが、食物連鎖の頂点に立つものはすぐに危うくなります。絶滅危惧種の多くが、トラやシマフクロウなど食物連鎖の頂点に立つものであることを見ると良くわかります。

人間社会での競争原理は勝つか負けるかの二つに一つのように言われますが、勝つのが一人に対して、負けるのは数千あるいは数十万になるかもしれない。勝つものが極めて少数なのは、食物連鎖の頂点に立つものと同じことです。弱いのはいつも地位を案じている不安を抱く支配者なのです。

産業でも同様の構造になっています。少数の2、3次産業に比べて、社会的に下に置かれ弱者に見られがちな1次産業は本当の意味でなくてはならない強い産業です。拙書参照ください。

そりゃないよ獣医さん―酪農の現場から食と農を問う そりゃないよ獣医さん―酪農の現場から食と農を問う
価格:¥ 1,680(税込)
発売日:2005-10

コメント (1)
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