アメリカ農務省が、カルフォルニアの精肉業者の牛肉の出荷停止を指示した。これは、少し前に動物愛護団体が、屠場で起てなくなった牛を、電気ショックの杖や機械で強制的に押し込んでいるビデオが公開されたからである。
ばれたから出荷停止を、政府は指示したのである。停止され た牛肉は1億4340万ポンド(約6万5000トン)にもなる。2006年2月まで遡及するために、膨大な量となった。これまでの出荷停止になた最高量は、1999年の3500万ポンドであるから、相当な量である。
放映されたビデオは、診療の現場では"ダウナー”と呼んでいる症状の牛である。日本語訳が"へたり牛”としているのは抵抗がある。ダウナーは、原因が特定できない起てなかったり、少しの間しか起てない症状の牛のことである。
この症状はBSE症状でもあるため、杜撰なアメリカでさえ検査を必要としている。もちろん日本では、食肉には決してならない。検査以前の問題である。
この精肉業者(ホールマーク)は、給食用にも出荷していた。今回禁止されたものの、かなりのものはすでに消費されているようである。
ビデオを見る限り、日本では想像できないような屠場の環境である。何よりも牛の頭数に比して人がいない。次に汚い。必然的にバケットカートなどの機械作業が主体になる。動けない牛など構っていられないのは、想像に難しくない。
当然個体識別も、生前の検査もルーズになる。特にカルフォルニアでは、作業員の多くはメキシカンである。時給1ドル程度とされている。結構技術を要する作業であるが、安価な労働力は魅力であろうが、彼らが習熟することはない。背骨であろうが、足であろうがお構いなく解体して分別する。
日本の”ギュードン”屋の連中は、ここでも廃棄された胸の下の肉を集めて、味付けして、ご飯に載せて売るのである。
食料を海外に求めるなら、国内と同じ基準で対応するべきである。こんな杜撰な国の食肉を輸入して、価格競争されたらたまったものではない。安価で安全な食品など存在しないのである。