北海道、とりわけ道東でエゾシカが、異常とも思える頭数が増殖している。かつては、北海道全域に生息していて冬になると、道東のエゾシカは道央に集まったものである。(写真は根室市、温根沼50頭近くいる)
彼らの移動を切断したのが、人が作った道路網であり農地である。移動できずに、冬になっても道東にいる。知床では、テレビなどの映像で見ると100頭単位の群になっているようである。
温暖化が、かつては雪に覆われていた笹などが捕食できるようになり、彼らの冬の餌が増えたこともある。天敵のエゾオオカミが絶滅したことも大きな要因である。
平地でも、エゾシカが増えてきている。道東は酪農地帯である。牧草地は、永年草(毎年作付しない)である。少し暖かくなったり、雪が見えなくなるといつで も餌を確保できる。
人が"かわいい”野生動物としてみていることも、大きな要因である。知床や野付半島で、ハンターたちに依頼して人為的に間引いても大きな影響はない。ハンターも一般人の冷たい目線を気にしながらの作業である。
平地でも冬になると、平気で50頭ほどの群れになっていたりする。エゾシカは、ハンターたちに追われるまでもなく、鳥獣保護区へ逃げる。
鳥獣保護区は、例外なく貴重な自然が残されている、数少ない場所である。その多くが景勝の地でもある。エゾシカたちは、此処の下草を丸坊主にするばかりでなく、木の幹を皮を剥いでしまう。樹皮を向かれた木は、やがて枯れてしまう。
樹皮をシカの頭の高さに剥がれた木々は、遠目にはマーキングされた電柱のようでもある。鳥獣保護区は、危機的状態にある。もちろん、牧草地を所有する酪農家も困っている。
エゾシカを守ることが、環境保護にはならない。環境破壊になるの。それも、長年の人間社会の開発による結果である。増えたエゾシカには罪はないが、適正な頭数にしなければならない。