自民党が執念を見せた、「テロ特措法」。いったん参議院で否決されても、一月ほどして復活した「テロ特措法」である。インド洋上で、アメリカの艦船に給油すると、アフガニスタンのテロが減るという理屈で、強硬な姿勢を貫いたのであるが、現実はどうなっているか。
アフガニスタンの首都カブールでは、7月8日にこれまで最大の自爆テロが起きている。40人以上が死亡し、120人の負傷者が出ている。パキスタン国境付近で13日に、9人ものアメリカ兵がタリバンの犠牲になっている。
851人が死亡した赤いモスク事件から一年経ったパキスタンでは、サミダレ的に連続爆破が起こり、数十人が死亡した模様である。自民党の主張するように、洋上給油を行ってなってもテロは一向に減らない。
忘れ易い日本人は、もうすっかり遠くのことだと思っていると思うが、これらの国では毎日のようにテロが起き死亡者が出ているのである。私たちの国は、このテロの関わっているのである。それも、アメリカ側に付くことで、この内戦あるいは戦争にかかわっているのである。
テロ特措法の、お題目はインチキである。テロを減らすためのものではなく、アメリカを支援するためのものである。野党も含めて、過激になるアフガニスタン情勢に無関心になっていないか。
アフガニスタンは、タリバンが息を吹き返している。彼らの主張や戦いが正しいというのではなく、自らの国家の有り様を他国の人たちが寄ってたかって、武力で国家そのものを壊しにかかっている。
イランは、ミサイルを発射して自ら威力を誇示している。イラク情勢は一向に変わることない。サミットには、中東諸国は一国も出席していない。こうしたこととの関係は不明であるが、武力が更なる新たな武力を生みだすことは、はっきりしている。
武力には、世界を再編する力がない。武力には、人々を納得させる力などない。武力には、人々を幸せにする力などない。武力は、新たな武力を生むだけである。