北海道の河川は、落差が少ないためにゆったりと流れ、蛇行を繰り返す河川が多い。根室台地の、北を流れる標津川も例外ではない。
標津川の河口近くは、武佐川などが合流して広大な湿原を形成していました。ここを、国営の草地に帰る事業が行われ、500ヘクタールもの湿原を、草地らしきものに変えました。らしきも のとは、到底草地にはならない地下水位の高い地域だからです。明渠、暗渠を縦横に張り巡らしても、牧草ははえることなく今年放棄してしまいました。
さらに、河川は蛇行部分をショートカットしてしまい、河畔林を伐採して、河川環境は極端に悪化してしまいました。周辺には、先人の遺跡が無数にあるところを見ると、この辺りがいかに豊かな山の幸や川の幸、海の幸に恵まれていたかが伺えます。
それを破壊したのが、開発局の河川周辺の開発です。それを今度は、地球にやさしそうな言葉で「蛇行復元」工事をやろうとしているのです。周辺河川の蛇行は、もともと40キロほどあったと推定されますが、復元するところは、わすが200メートルほどです。
この、200メートルほどのために50億円も投じようとしています。開発局の作った、「官製事業」がなぜ修正されなければならないのか、全く反省もなく新たな官製事業として、税金が投入されようとしているのです。
長年この河川を見続けてきた、先輩たちが立ち上がりました。一軒づつ歩いて署名活動をしました。この過疎地で、3000名を超す人たちが署名してくれました。しかも、事業を説明し署名を依頼すると、ほとんどの人が快諾してくれたと聞きました。
今この国は、何が必要なのか開発局は何もわかっていない。相も変わらず、土木事業振興が地域を守ると思っているらしい。官僚発想による土木振興事業はいらない。開発局は不要の組織である。
もう、河川をいじくりまわすことはやめてほしい。ほっておけば、河川は100年もすれば、環境はかなり復元されるであろう。